2020年に東京五輪を控え、早大も着々と準備を進めている。この日、早大と所沢市はイタリアオリンピック委員会(CONI)と、イタリア選手の事前トレーニングキャンプ地として所沢キャンパスの一部を提供する契約を締結した。これによりイタリア選手団…

 2020年に東京五輪を控え、早大も着々と準備を進めている。この日、早大と所沢市はイタリアオリンピック委員会(CONI)と、イタリア選手の事前トレーニングキャンプ地として所沢キャンパスの一部を提供する契約を締結した。これによりイタリア選手団は、2020年7月10日から8月4日までの間、早大所沢キャンパスのアクアアリーナ、陸上競技場、スポーツホールⅠ/Ⅱ、101号館、そして新設される合宿所兼研究員宿舎の利用が可能になる。

 契約締結式には、記名を行った鎌田薫総長(昭45法卒=東京教育大付駒場)と所沢市長の藤本正人氏(昭60一文卒=埼玉・川越)、CONI副会長のアレッサンドラ・センシーニ氏を始め、駐日イタリア特命全権大使のジョルジョ・スタラーチェ氏や日本オリンピック委員会副会長の齋藤泰雄氏らが出席。アスリートとしてはハンマー投げの室伏広治選手、早大からは競泳の渡辺一平(スポ4=大分・佐伯鶴城)とそうそうたる顔ぶれが出席し、今回の締結式の重要性を物語った。挨拶の後に三人が署名を行うと、会場からは一斉に拍手が起こる。早大が東京五輪に、ひいては日伊友好に大きな貢献を果たすことが決まった瞬間であった。


契約締結の記念撮影に応じる鎌田総長(左)、センシーニ氏(中央左)、スタラーチェ氏(中央右)、藤本氏

 この日ついに契約締結に至ったが、ことの起こりは1年半以上も前だ。東京に近く、かつ水泳、陸上、フェンシングなど様々な競技のトレーニングが同時にできる場所として、所沢に白羽の矢が立った。昨年3月に当時のCONI副事務総長カルロ・モルナーティ氏らが候補地視察のため所沢キャンパスに来訪。同年10月には大筋で合意が為され、CONI、埼玉県、所沢市及び早大間で覚書を締結した。今年の4月にはイタリア共和国の競歩チームが中国で開催されるW杯への出場にあたって、所沢市で事前キャンプを実施。こうして長い道のりを経てこの日契約締結に至り、鎌田総長は「本学が新たなオリンピックレガシーを構築できることを大変うれしく思う」と喜びを語った。


締結式後のレセプションでは参加者同士で交流を深めた

 この度CONIと契約を締結したことで、早大は東京五輪の成功を願い準備を進める団体の先駆けとなったと言えるだろう。締結式後のレセプションで、渡辺は「金メダルを目標としてイタリアの皆さんと切磋琢磨(せっさたくま)し、大会全体を盛り上げていきたい」と意気込んだ。日本の、そして早大のアスリートが東京で躍動する日は、もうすぐそこまで来ているのだ。これからも早大が世界と関わる様に着目したい。

(記事 坂巻晃乃介、写真 石塚ひなの)