早大男子ハンドボール部連載、インカレ直前特集『証』。最終回の今日は、いよいよ明後日に迫った全日本学生選手権を展望する。過去2年、2回戦敗退と悔しい思いをしてきた部員たち。『日本一』の称号を奪還するべく、関東学生春季リーグ(春季リーグ)、同…

 早大男子ハンドボール部連載、インカレ直前特集『証』。最終回の今日は、いよいよ明後日に迫った全日本学生選手権を展望する。過去2年、2回戦敗退と悔しい思いをしてきた部員たち。『日本一』の称号を奪還するべく、関東学生春季リーグ(春季リーグ)、同秋季リーグ(秋季リーグ)を戦い抜いた。積み重ねてきた強さの『証』を、大舞台で体現することができるか。攻守の要となる戦力を見ていこう。

 どのポジションからでもゴールを狙える今年のワセダオフェンス陣。勢いに乗れば誰も手をつけられないと選手たちも自負している。秋季リーグでは敵陣のディフェンスシステムにはまってしまうことがあっただけに、相手に関わらずコンスタントに点数を奪えるかがポイントになるだろう。特に秋季リーグ前半戦で不完全燃焼の感が強かったエース小畠夕輝(スポ4=岡山・総社)にかかる期待は大きい。ディフェンスの上あるいは間を多少強引にでも打ち抜くシュートが彼のバロメーターとなるはずだ。残るフローター陣はもちろん、山﨑純平主将(社4=岩手・不来方)と伊舎堂博武副将(社4=沖縄・興南)だ。「乗り切れないときに自分でどうにかしようと考えている」(伊舎堂)、「周りを生かすのがすごく上手なプレーヤー」(山﨑)とお互いを褒め合う二人が、セットオフェンスの起点となっていく。さらに圧倒的なスピードを見せる元気印・三輪颯馬(スポ4=愛知)、サイド以外でも攻撃参加が増えた清原秀介(商3=東京・早実)も重要な得点源。個性を持ったアタッカーが多彩な攻撃で襲い掛かる。


小畠のゴールで流れを引き寄せたい

 ディフェンスでは3枚目の山﨑純平、そして中村祐貴(スポ2=北海道・札幌西)が中央を締める。中村が「ディフェンスで粘れれば、失点が少なくなって速攻も増える」と語るように、劣勢でもディフェンスからリズムをつくり出すかたちが理想形だ。1対1やボールへの寄り、足を動かし続ける連動で『堅守』を実現したい。また、ゴールマウスには守護神・羽諸大雅(スポ3=千葉・市川)が待ち構える。「ずば抜けて上手いと思うので安心感がある」(齊藤孝佳、人4=城北埼玉)というように、選手たちからの信頼も厚い。コートプレーヤーのディフェンス陣が、シュートを『打たれる』のではなく『打たせる』ことができれば羽諸のセーブにつながるだろう。ペナルティスローの際は永田奈音(スポ4=宮崎・小林秀峰)の起用が濃厚。「羽諸の次のキーパーは穴だぞと言われないように」(永田)と万全な準備で臨む。


鉄のディフェンスで勝利を手繰り寄せる

 春季リーグからスターターに変更はないが、インカレは決勝まで勝ち上がれば5連戦だ。毎日60分を戦う中で、サブメンバーの活躍は必須になってくる。オフェンスでは、宮國義志(社3=沖縄・浦添)、青沼健太(社1=千葉・昭和学院)がフローター、前田理玖(スポ2=福井・高志)や宗海皓己(スポ4=高知・土佐)がサイドプレーヤーとして出番をうかがう。また、正ポスト・高橋拓也(人4=群馬・富岡)と異なるタイプの遠藤瞭(スポ2=神奈川・法政二)も高いディフェンスに対し機動力を生かしていく。ディフェンスでは四十宮実成(政経4=徳島市立)や福田友貴(スポ1=神奈川・法政二)が控える。リズムが生まれない苦しい時間帯でも起用に応えたい。ベンチにも強力な布陣をそろえるワセダ。ここぞとなる場面での出場に注目だ。

 組み合わせに目を移そう。ワセダの初戦は住吉スポーツセンターで行われる環太平洋大だ。地元の大学と相対することとなった小畠は「すごく楽しみ」と意気込んだ。ここに勝つと2、3回戦は各地区のリーグ戦でシード権を獲得した大同大、筑波大との対戦が濃厚になる。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)で大敗した筑波大が否応なしにちらつくが、一戦必勝の心得は忘れてはならない。特に2回戦の大同大は3-3ディフェンスのシステムを敷いてくることが予想され、ワセダは攻略を求められる。相手の研究、対策、そして何より自分たちのプレーを出し切れるかが勝負のカギを握るはずだ。


全員で一戦必勝。『ワセダらしさ』の真骨頂を発揮する

 インカレを勝ち上がる上でのキープレーヤーは誰か。対談でのこの質問に「4年生全員だ」と答える部員も少なくなかった。「誰が試合に出て盛り上げたとしても、絶対みんながそれに付いていきます」と清原が語るように、戦術面以前によりどころとなる最上級生だ。そして、それに加わる下級生も、全員で戦うスピリットを全うするためには不可欠な存在。勝利のためならば同じ方向を見据え奮起する。泣いても笑ってもこのチームの集大成として迎えるインカレ。確固たる思いを胸に決死の覚悟で臨むのみだ。さあ、夢にまで見た『日本一』への準備はいいか――。最後の晴れ舞台は11月10日、大阪の地で開幕する。

(記事 小松純也、写真 佐藤慎太郎 小松純也 宅森咲子)