11月3日に行なわれたVリーグ女子の開幕戦で、昨シーズン6位の東レアローズは2連覇を狙う久光製薬スプリングスに3-0のストレート負けを喫した。”女王”に出鼻をくじかれた東レだが、この試合で10得点を挙げた20歳の若きエース・黒後愛を中心に巻き返しを図る。

 今年度にシニアの全日本代表デビューを果たし、世界選手権でも存在感を示した黒後。さらなる飛躍を期して迎えたVリーグ開幕直前に、全日本で掴んだ手応えと今後の課題について聞いた。




東レのエースとして活躍が期待される黒後

--世界選手権前には「ヤバイくらい緊張してない!」と言っていましたが、実際に大会を終えていかがですか?

「本当にあっという間で、すごく幸せな時間を過ごせました」

--今年からシニアに参加し、春にはネーションズリーグ、夏にはアジア競技大会を戦いましたが、世界選手権の相手はそれまでの2大会とはひと味違ったのではないでしょうか。

「そうですね。世界選手権は1試合1試合により気迫がこもっていたので、1点を取るだけでも本当にうれしかったです。自分たちもそうでしたが、他国の代表チーム同士の試合でもそれをすごく感じて、『ああ、これが世界選手権なんだ』と思いました」

--中田久美監督は大会の終盤に、「黒後愛と古賀紗理那の育成という今年度の目標を、ある程度は実現できた」と発言していましたが。

「自分はまだ実力不足なのに、春からずっと起用してくれて感謝しかありません。厳しいときもありましたが、『試合に出続けていて、絶対にヘタにはなってないから自信を持って』という久美さんの力強い言葉が支えになりました」

--世界選手権で印象的に残っている試合はありますか?

「(3次ラウンド第2戦の)イタリア戦ですね。フルセットまでもつれ込んで、最終セットを13-15で落としてしまったことは悔しかったです。逆に、そこまで全勝できていたイタリアから2セットを取れたことは、全日本にとって大きな収穫になったと思います」

--大会を通して、試合途中から石井優希選手(久光)と交代することも多かったですね。

「もちろん悔しかったですし、コートに立ちたいという思いはありました。でも、自分がプレーしているときはユキさん(石井)がすごく背中を押してくれるので、『自分もそういう役割を全うしたい』という一心で声援を送りました」

--基本はレフトでの起用でしたが、ライトに入った試合もありました。高校時代はライトでプレーしていましたから不安はないように感じましたが。

「まったくなかったです(笑)。これからもライトに入ることはあると思うので、もっとトスを呼び込んで打っていけるようにしたいです」

--世界の強豪に勝つために、個人としてどこをブラッシュアップしなければいけないと思いましたか?

「日本のバレーは『拾ってつなぐ』が基本ですから、ディフェンス面でもっとチームに貢献できるようにしなくちゃいけませんね」

--世界選手権でのディフェンス面の自己評価は?

「サーブレシーブの精度は納得できるものではありませんでした。そこの精度がチームの明暗を分けるので、サーブレシーブを返す位置だけじゃなくて、質にもこだわらないといけない。全日本ですごく意識してやってきたことなので、それは東レに帰ってからも継続していきたいと思っています」

--石井選手は、「Aパス(セッターが動かずにトスアップできるサーブレシーブ)にこだわりすぎないほうがプレッシャーは少なくなくなる」とも言っていました。

「確かに、意識しすぎずにリラックスした状態のほうが、いいサーブレシーブができるかもしれません。自分がAパスを返すためには何が必要なのか、よく考えてやっていきたいです」

--オフェンス面では、ブロックの高い相手に対してはもう少し打点の高さがほしいとも思いましたが。

「全日本は”速いバレー”を目指していますが、打点の高さが加われば大きな武器になると思います。身長で他国に劣っていますから、私もより高さを出せるよう意識して取り組んでいきたいです」

--ちなみに、フルセットの激闘になった世界選手権の決勝は見ましたか?

「見ました! 心動かされるバレーで、本当にかっこいいと思いました。私もあそこに立ちたいという気持ちになりましたね」

--その試合でとくに注目した選手はいますか?

「両チームのエースです。イタリア代表の(パオラ・)エゴヌ選手、セルビア代表の(ブランキツァ・)ミハイロビッチ選手や(ティヤナ・)ボシュコビッチ選手ですね。3人とも、チームがほしい1点を取ってくれる。そういう選手に憧れますし、私も重要な1点が取れる選手になりたいです」

--Vリーグの新シーズンに向けた抱負を教えてください。

「昨シーズンは6位という悔しい結果になったので、自分のプレーだけでなく、チーム全員が納得できるような戦いをしたいです。その中で、東レというチームの魅力、バレーボールの魅力を多くの人に伝えられたらと思っています!」