全日本学生選手権(全日本インカレ)での総合優勝。その達成のために全てを捧げてきた今年の早大。2年前、史上初となる2度目の3連覇を果たした地・蒲郡に乗り込み、勝負の時を迎えた。初日は1位の日大に100点近い差を付けられてしまったが、2日目は…

 全日本学生選手権(全日本インカレ)での総合優勝。その達成のために全てを捧げてきた今年の早大。2年前、史上初となる2度目の3連覇を果たした地・蒲郡に乗り込み、勝負の時を迎えた。初日は1位の日大に100点近い差を付けられてしまったが、2日目は難しいコンディションに冷静に対応。失格を受けた日大が順位を落とすと、リスクを取らない堅い走りを見せた早大が総合1位に立つ。最終日、苦しい状況ながらも日大を退け、見事に総合優勝を勝ち取った。選手やサポートメンバー、そしてOBOGの歓喜の叫び声が海上に響き渡った。

 大会初日、早大はプラン通りの安定したレースを見せる。一方、日大からはワールドカップ江の島大会3位の470級スキッパー高山大智が出場し、いかんなくその実力を発揮。日大はスナイプ級も無駄を抑えた走りで、早大を上回る。早大は日大に95点差を付けられ、初日を総合2位で終えた。しかし、「負けているという雰囲気は一切なかった」(岩月大空主将、スポ4=愛知・碧南工)と、選手たちが悲観的になることはなく、前向きに翌日のレースに臨んだ。最低でも日大に並んでおきたい2日目は、風向きが頻繁に変わる難しいコンディションでのレースとなった。スナイプ級では3艇全てが30位台を取ってしまう苦しいレースがあったものの、470級には好走もあり、日大を追い詰める。さらにレース後の審問により、日大は3つの失格で合計100点以上が加算され、総合2位に後退。早大が総合1位に踊り出た。続く3日目は風が吹かなかったことからレースは開催されず。この時点で早大と日大の差は90点。3位慶大とは200点以上の差があり、優勝争いは2校にしぼられた。


出艇前、円陣を組む選手たち

 最終日、弱風で出艇したが、海上で風向が定まらず、その後は強めの風が吹く。この日行われた最初のレースは、470級で早大は田中美紗樹(スポ3=大阪・関大第一)・嶋田篤哉(文構3=神奈川・鎌倉学園)組が9位に入るものの、他の2艇は30位前後と苦しい状況に。総合優勝を争う日大にはワンツーフィニッシュを決められ、差を大きく詰められる。スナイプ級も早大勢はあまり振るわない中、日大が安定した順位でまとめてくる。42点差まで詰められたこの時点で、スナイプ級は全レース終了を迎え、470級のみもう1レース行われることに。最後のレースでは日大がまたもや1、2位を走る中、今度は早大も意地で3艇が20位以内をキープし、日大と28点の差を守り切ってのフィニッシュ。早大が悲願の王座奪還を達成した瞬間だった。陸に戻った部員たちは、目に涙を浮かべながらも笑顔で抱き合い、喜びを分かち合った。


胴上げされる岩月主将(中央)

 今大会での一番の勝因は英語(※)を付けなかったことだ。早大は昨年、英語の影響で4連覇を逃すという悔しい思いをしてから、絶対に英語を付けないということを徹底してきた。その信念があったからこそ、日大に首位に立たれてもリスクを抑えた堅実なレース運びをすることで、勝利をつかめたのだ。さらに、チームの雰囲気が勝利を引き寄せた。初日、日大に100点近い差を付けられても「宿に帰ったら下級生のみんなが朗らかに迎えてくれた」(三宅功輔、商4=東京・早大学院)と、明るいムードで翌日を迎えた。チームの雰囲気も、早大が調子を崩すことなく逆転できた一因だろう。レースに出場した選手を始め、サポートに回ったメンバーを含めた全員の力、まさに総合力が実を結んだ今大会。「これを『連覇の1勝目』にしたい」(岩月)。昨年惜しくも逃した4連覇、そして前人未到の5連覇に向け、早大は新たなチームをつくっていく。

(記事 加藤千咲、写真 大島悠希、林大貴、加藤千咲)


集合写真

※ヨット競技では反則、失格などを表す。

結果

▽470級

早大(元津志緒(スポ4=長崎工)・古橋捷太(先理4=東京・早大学院)組、田中・嶋田組、西村宗至朗(社1=大阪・清風)・秦和也(基理3=東京・早大学院)組) 436点(3位)

▽スナイプ級

早大(岩月・三宅組、入江裕太(スポ3=神奈川・逗子開成)・原潤太郎(商3=埼玉・早大本庄)組、松尾虎太郎(スポ2=山口・光)・海老原崇(法3=埼玉・川越東)/神宮泰祐(政経4=東京・早大学院)組 428点 1位

▽総合

早大 864点(1位)

★一年越しの『挑戦』、叶う

 「来年、絶対にこの借りを返そう。岩井の作った帽子を、絶対に来年みんなで被ろう」――。2017年11月5日、創部史上初の全日本インカレ4連覇を逃した後のミーティングで、関口監督(功志、平18人卒=愛知・半田)は部員たちにこう語った。あれから1年、蒲郡の地で優勝旗を奪還し、満開の笑顔で集合写真に写る部員、監督、そしてOBたち。彼らの頭には、小さく『挑戦』と記されたお揃いの白い帽子が乗っていた。
 『挑戦』――。この言葉は、昨年度早大ヨット部が全日本インカレ4連覇を目指し掲げたスローガンだ。岡田奎樹前主将(平30スポ卒=現トヨタ自動車東日本)を中心に史上最強とも言われた昨年のチーム。それでも、日ごとに表情を変える若狭湾の風に翻弄(ほんろう)され、悲願の4連覇はかなわなかった。岩井俊樹(平30基理卒=東京・早大学院)が作成したこの白い帽子は、優勝を決めた最終レース終了後、海の上で被るはずだった。サポートボートに積んであった帽子の入った段ボール箱は、開けられることのないまま。思いを後輩に託し、4年生はヨット部を引退した。「絶対に負けないチームになって帰ってくる」。残された部員たちは誓った。
 岩月主将率いる今季の早大は、結局一度も負けなかった。1年前の宣言通り、「絶対に負けないチーム」になって帰ってきたのだ。昨年福井の地で味わった悔しさが、その原動力になったことは間違いないだろう。表彰式後、関口監督が帽子の入った段ボール箱を開け、まずは昨年度の4年生たちが一人一人帽子を受け取る。そして次は現役の部員へ。昨年悔し涙をたっぷり流した分、今年は全員で二年分の喜びを精一杯に噛みしめた。しかしこの瞬間から、来年、大阪・西宮での連覇達成に向けた戦いは始まっている。さらには2年後、そして最強世代ですら届かなかった4連覇へ――。新たな『挑戦』の第一歩が、ここで刻まれたのだ。


関口監督(左)から帽子を受け取る岡田奎樹前主将

(記事、写真 松澤勇人)



コメント

関口功志監督(平18人卒=愛知・半田)

――総合優勝おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせください

ありがとうございます。去年非常に悔しい思いをして、1年間学生と共に全日本(インカレ)で勝てるチームを作ろうと、チームで勝とうということをやってきたので、それが実現できて、とてもうれしいです。

――1日目終了時点では日大に100点近い差をつけられましたが、その際には選手たちにどのような話をされましたか

多少点差はあったんですけれども、全く焦ることはなく、初日のレースの内容自体は元々のプラン通り、リスクを抑えて自分たちのスコアで戦うということを決めていたので、焦ることは全くなく、実際海から上がってきてからのミーティングでも学生にも焦りの色はなかったですし、僕らも焦ることは一切なく、良い初日を迎えられたと思っています。

――2日目は日大に対して追い上げを見せ、審問の結果日大が失格になりました

2日目は風の振れが大きくて非常に難しいコンディションでした。どの大学も順位が良かったり悪かったりを繰り返すような日だったんですけども、その中でもワセダはスタートもそうですし、マーク際の密集でもリスクを抑えて戦い字ことができて、結果的に前に出る、差を詰めるということができました。一方で日大はリスクを取った戦い方をしていたので、それが具体的に出てしまったのが審問の結果だと思っています。ワセダはそういったリスクは取らずに戦っていたので、その考え方の違いがスコアに現れたと思います。

――最終日のきょうは日大との点差を守り切るというかたちでしたが、きょうのレースを振り返っていかがですか

きょうのレースの内容は正直良くなかったです。やっぱり勝利を目の前にしてプレッシャーは掛かっていたと思うんですけど、その中でも力が出し切れたかというとそうではなくて、かなり苦しいレース展開でした。ただ、苦しい中でも全員最後まで集中して戦うことができて、少しずつ順位を上げることができていたので、そのことが総合優勝プラススナイプのクラス優勝を譲らず、勝ち切ることができた要因だと思っています。

――今シーズン全体を振り返っていただくとどのようなシーズンでしたか

今シーズンは非常に苦しい戦いが続いた1年でした。4年生に突出した選手もおらず、誰がリーダーシップをふるうのかもはっきりしない中でかなり不安なスタートでした。その中で彼らと決めたことは下級生の力を最大限引き出そうという話をしてきました。そのプロセスはいろいろなトラブルがあったり悩みを抱えながらではありましたが、最後は勝ち切れるチームを作るというところで、4年生はもちろんそうですけど、下級生も含めてチームの勝利を信じて、チームの勝利のために戦えるチームができたと思っています。結果的には全部総合優勝することができたので、最初はもっともっと苦しい結果が続くんじゃないかということを思ってたんですけど、そこを4年生が見事に強いチームを作ってくれたと思います。

――4年生に対する思いは

4年生は元々すごく突出した選手がいないというのはさっき話した通りですし、同期の中の関係も最初はすごく悪くて、彼らが4年生になってチームを引っ張っていけるのかと不安でしたが、一方で下級生を大切にして、チームで勝つということを覚悟を持って取り組んでくれて、実際に下級生も成長することができましたし、そこは本当に4年生の力だと思います。この力で突出できない分、チームの力で勝つということを信じてやり続けたということが今回の結果につながったと思います。

――最後に、今後への意気込みをお願いします

今回、結果として優勝できたわけなんですけど、持てる実力を出し切れたかというとそうではないと思っています。チーム自体はいい力を付けていたんですけれども、持っている力の7割8割くらいしか出せなかったのが今回の大会だと思っています。なので、新しい選手も入ってきますし、みんなさらにレベルアップして、ただレベルアップするだけでもなくて本番でより一層力を発揮できるように、チームとしての集中力というか戦い方にもう一段磨きをかけて、また優勝を重ねていけるといいなと思っています。

スナイプ級スキッパー岩月大空主将(スポ4=愛知・碧南工)

――総合優勝おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせください

もう感無量ですね。余韻が引かないです。

――レースを振り返って、1日目は日大に100点近く付けられ、2位での発進でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか

これはいろいろな人に聞かれたんですけど、毎回答えていたのは「うち負けてるの?」というくらい、すごくいい雰囲気で、それは無理にはっちゃけているわけではなくて、今まで培ってきたものというか今年1年やってきたものがあるからいずれ勝てるという自信があったからこそ、負けてる雰囲気が一切なくて、むしろ次どう戦っているかということを話して、「こうやっていこう、よし。」となれるくらい、みんな前向きにとらえていたので、いろいろな人に心配されたのですが、「そんな心配がいらないくらい良い雰囲気です。」という答えを毎回していました。

――2日目は日大を追い詰めて、その後の審問で逆転しました

ワセダはリスクを取らずに堅く戦っていくことが優勝のために必要なことだと考えて、英語を取らないというところはチームが一番大切にしているところで、それを忠実に守っていたからこそ、他が落ちてきたときに自分たちが堅実にやっている分他より前にいただけなので、ワセダが特別なことをしたというよりは他が脱落していったという印象です。

――日大が迫っている中で、最終日のレースを振り返っていかがですか

お互いが出し切るだけというか、別に日大に対して日大をマークするという考えは一切持たずに、いつも通りのレースをしていって、日大がどこにいるかというのは二の次。終盤で日大が近くにいたらそれは1対1の戦いになりますが、自分の力を出し切った上でフィニッシュの時に誰が近くにいるかなどをやっと考え出せばいい。まずは実力を出し切ることが大事とチームには浸透させていました。

――スナイプクラスの優勝に関してはどのように感じていますか

後輩たちがしっかり走ってくれたので、自分が苦しいときでも後輩たちが励ましてくれたりだとか、そういう点で強いチームができあがっていると感じましたし、仲間たちの安心感が違いましたね。そこが大きかったです。

――今シーズンは総合力で戦っていくとおっしゃっていましたが、今大会でその強みは発揮されましたか

存分に、ワセダのいいところが全面に出ていたと思います。それは主にサポートの面で1年生2年生がチームを支えていく。部員は40人いるんですけれども、出場できるのは12人なので、大半のメンバーがサポートに回らなきゃいけないこの部活なんですけど、その中でも「出られないからいいや。」となるメンバーはいなくて、日々一緒に成長してきた仲間を支えようというメンバーがすごくおおくて、下級生にすごく支えられたなと感じました。それは海の上でも陸上でも宿でも、全てにおいてサポートに支えられましたし、負けているときも1年生がよりいけるっていう雰囲気を出してくれたからこそ、選手も自信を持って海に出ていけたと思います。あとは総合力という面でいくと、監督・コーチの支えですね。1年間の指導もそうですけど、局面局面で安心させてくれるというか、戦い方を再認識させてくれて、焦ることなく戦えるのは監督・コーチの存在がワセダの誇れる部分だと思います。

――今シーズン全体をいま振り返るとどのような思いがありますか

これで今年負けなし。全勝したというのが、本当かどうか分からないんですけど、十数年ぶりにインカレまで勝ち続けたらしく、これは誇れることですし、チームの強さが結果に表れているんだなと思って、今年のチームは強かったなと思います。やっぱり今年のチームの秘訣は総合力。主に下級生の支えが大きかったなといますごく思います。

――早大での4年間を振り返って

部活中心の4年間だったんですけど、1年生の頃はレギュラーで出られていないですし、2年でレギュラーで日本一を経験できたと思ったら、3年でレギュラー落ちしたりだとか、ここまで波がある人もいないのかなとも思います。僕はスポーツ推薦だったんですけど、大学で実際に成績が出たかと言われれば、全然出なくて、自分としても苦しいことも多かったんですけど、最後まで諦めずにやってきたのは良かったなと思いますし、自分の財産にもなると思います。あと、いま出られていないメンバーにもいつでも出られる、諦めずに取り組んだら4年生として日本一になって笑って終われるんだぞというのは後輩に強く示していきたいと思います。

――これからの早大をつくっていく後輩へのメッセージをお願いします

僕は先日の大会前の対談でも話したんですけど、これは連覇の1勝目にしたくて、そこは有言実行できたのは大きな達成感がありますし、後輩に2連覇、3連覇、4連覇、前人未到の5連覇までいってほしいと思いますし、いけるように自分もサポートしていきたいと思います。

スナイプ級クルー神宮泰祐(政経4=東京・早大学院)

――優勝おめでとうございます!今のお気持ちは

ありがとうございます!この1年間4年生としてチームをまとめながらやってきて、それもすごく好不調の波がある中で、この4日間も日大と接戦で苦しい戦いでしたけど、みんなが一丸となってできた優勝だと思います。

――最終日についに出番が回ってきましたが、どのような経緯で出場したのですか

松尾の軽風クルーとして準備していて、今日は出艇するときは風が弱かったので、僕が乗りました。

――どんな意気込みで臨みましたか

緊張したんですけど、楽しもうと思って臨みました。

――レースを振り返って

風がかなり変わる感じで、順位変動が多くてまとめるのが大変だったんですけど、その中でも早稲田はみんながなんとか最後まで粘る強く諦めずに戦ってくれたと思います。決していい順位ではないですけど、粘り強く戦った結果優勝できたと思います。

――ラストイヤーを振り返って

夏の一番練習できる時期、レギュラーを固定し出す時期にケガをしてしまって、精神的にもとてもダメージを受けたんですけど、その中でもみんなの励ましの言葉であったり、色々の支えのおかげでこうして最後のインカレに出場することができたので、とても感謝の気持ちでいっぱいです。

――早大ヨット部での四年間はどんな四年間でしたか

初心者で入って、今までは何かに打ち込むってことはなかったんですけど、この四年間は本当にヨットに打ち込んで、そして結果も残せたので、それはすごく誇りに思うし、人生の中でも大きな財産だと思います。それを実現させてくれた、支えてくれたたくさんの方々に感謝したいです。

スナイプ級クルー鈴木奏太郎(商4=東京・早稲田)

――総合優勝を達成しました。今のお気持ちはいかがですか

一言で言えばとてもうれしいです。僕はあまりヨットに乗れない時期も多くて、選手としては順風満帆とは言えなかったんですけど、チームとして優勝するっていう目標でやってきて、それを達成できて嬉しく思います。

――4日間の早大の戦いぶりを見ていてどう感じていましたか

見ている側としては心臓が痛くなるようなレースが多くて。でもリスクを取らずに相手が自滅するかたちでリードをすることができたので、リスクを取らないセーリングをして耐えたことが勝てた要因かなと思います。結構苦しい展開ではありました。

――4年間でのヨット部での生活はいかがでしたか

苦しいことの方が多かったですけれども、勝って報われたというか、今となってはいい思い出だと思います。苦しいことが多かったですね。

――それでも4年間続けてきた理由というのはありますか

僕個人としては一度始めたことは辞めないというのが僕のマインドセットにあって。苦しいことがあっても、一度やると決めたことはやるので。それと、チームのみんなが好きだからっていうのがあって。個人として、選手としてはあまり成績を残せなかったんですけど、チームとしては勝ちたいという気持ちが強かったので、ここまでやって来れたと思います。

――たくさんいらっしゃる後輩へ向けて伝えたいことはありますか

結構人数が多いので、厳しいことを言うようですけど、僕のように選手として活躍できずに終わってしまう人も絶対にいると思うので。そういう人もチームとして勝つという気持ちを持って腐らずにやり続けてほしいですし、勝った時は選手もサポートも関わらずに達成感を感じることができるっていうのは僕自身の経験としてあるので、何があっても辞めずに続けてほしいと思います。

――4年間一緒に戦ってきた同期へメッセージはありますか

本当に1年生の頃からずっと一緒にやってきて、かけがえのない仲間だと思っています。本当に特別な仲間で、大学にも友達はいっぱいいますけど、それとは違う、僕含めて同期の9人だと思っているので。ヨット部員としてのつながりは現役としては終わってしまうんですけど、これからもどうぞよろしくおねがいします。

スナイプ級クルー松岡嶺実(先理4=東京・国学院久我山)

――優勝おめでとうございます!今のお気持ちは

ありがとうございます!もう本当に、純粋にうれしいです。

――4日間のチームの戦いぶりを振り返って

不安で仕方なかったです(笑)。全艇が前を走れるわけではなくて、本当にいいレースは少なかったですけど。

――その中で何が勝利につながったと思いますか

本当に単純なことなんですけど、失格、英語をつけなかったことですね。英語をつけないって口で言うのは簡単なんですけど、実施に2位の日大は英語を3つ取って負けて。英語がなければ勝ってたわけで。やっぱり英語をつけるかつけないかが全日本インカレにおいて重要なことなんだなって最後に改めて感じました。

――ラストイヤーを振り返って

忙しかったんですけど、いろんな経験ができて、いろんな人と関係を築けて、今まで生きてきた中で一番濃い時間だったなと思います。

――早大ヨット部での四年間はどんな四年間でしたか

長かったというのは正直なところです。楽しいことも苦しいこともたくさんあったんですけど、今後生きていく中でこの四年間は長い人生で見ればほんのわずかな時間でしかないと思うんですけど、それでも一生忘れることができない時間だったと思います。

スナイプ級クルー三宅功輔(商4=東京・早大学院)

――優勝おめでとうございます!今のお気持ちは

ありがとうございます!4年間辛い思いをしたけど、そのお釣りがくるくらいのうれしさですね。

――4日間のチームの戦いぶりを振り返って

圧倒的なチーム力で勝つことができたと思っています。チーム力って数値化できないので、実際にうちのチーム力はどうなのかってシーズン通して考えてきて、ここまでチーム力は高いのか低いのか実際には分からない中で戦ってきたシーズンでした。でも1日目にたった3レースで100点差をつけられて、普通だったらもう無理なんじゃないかって諦めてしまうかもしれないところで、宿に帰ったら下級生のみんながレースに出ていない人を含めてみんなが「お疲れ様」って朗らかに迎えてくれて。そういう下級生たちを見て、「これ勝てるんじゃないかな、いけるかもしれないな」って思い始めて、そういうのがすごく心の支えになって戦うことができました。2日目の最終レースも自分と岩月がすごく叩いちゃったんですけど、逆海面で強い風が入っていたところでも慌てることなくむしろ笑い合ってセーリングができていて、それくらい精神的に安定して戦えたのは下級生含めチーム全体の雰囲気のおかげだと思います。振り返ってみると、今年のチームは間違いなくチーム力があったと思います。チーム力で勝ったレガッタでした。

――大会前は「自分たちがカギになる」と話していましたが

4日間振り返るといい結果も悪い結果もあって。やっぱり自然相手のスポーツなのでいい結果も悪い結果もあるけど、それに動じずにどっしりと構えて4日間過ごすことができたので、主将のそういう姿はチームのみんなにも安心感を与えられていたと思います。全体の雰囲気をよくすることにもつながったと思うので、大会前に言った自分たちの役割は概ね果たせたのかなと思います。

――岩月大空選手との最後のレースでしたが、岩月主将にはどんな思いがありますか

組んですごく長いんですよ。でも2年間で、ほとんど勝てなくて。勝てたのは2年の全日本ジュニアと今年の関東個戦くらいで。正直ずっと二人で辛い思いをしてきて、ギスギスしてたときもあって周りに「岩月・三宅大丈夫か?」って心配されたこともあったんですけど、それでも最後のインカレでは完全にお互いのことを信じて、いい信頼関係で臨むことができたと思います。今までで一番いい状態でレース臨むことができたと思うので、最後の最後いいかたちで終われてよかったです。

――早大ヨット部での四年間はどんな四年間でしたか

ずっと4年間辛いことばっかりやってきたけど、これって本当にインカレ総合優勝で報われるのかなって考えてたんですけど、こうして実際最後優勝できて、それだけの価値はあったなと思います。辛いことも多かったけど、しっかりそれが報われた4年間でした。

470級スキッパー元津志緒(スポ4=長崎工)

――総合優勝おめでとうございます。いまの率直なお気持ちは

ありがとうございます。本当にうれしいです。今まで4年間やってきてきついこともたくさんあったんですけど、それが本当に報われた瞬間だったなと思います。

――470級は日大や日本経済大が上位にいました

苦しい場面がレースの中で
も多くて、日本経済大だったり日大だったりに常に前を走っている選手が必ずいて、その中でもやっぱり総合優勝を目標にしてたからこそ、総合優勝を取ることができたというのもありますし、クラス間で助け合って、スナイプチームにも470の中でも、自分自身助けられたという思いもあって、本当にみんなで勝ち取れた優勝だったなと思っています。

――今大会を通しての470級の状況はいかがでしたか

今年1年間を通してもそうなんですけど、チーム全体として最初の入りは大きく崩さないようにということで、そこから逆転していくという戦い方は今までもやってきていたので、1日目もっといけるんじゃないかという順位ではあったんですけど、焦らずしっかり1本1本徐々にいいレースをしていこうという考えで4日間戦えたので、それは最後の1レグ、最後の1艇まで抜くぞという気持ちで全員が戦えたことは良かったなと思っています。

――2日目の審問の後、日大に失格が出ました

ワセダとしては英語は特に気をつけていましたし、ケースだったりリコールだったりトラブルがないようにして、英語は絶対に付けないというのは今までずっと言ってきたことだったので、それがたまたま他の大学で起きていて、順位が変動することはあったんですけど、(他大に)英語がついたからといって自分たちが戦い方を変えることもなく、自分たちのことに集中して、自分たちは自分たちと考えて翌日もレースに臨んでいたので、1レース1レース集中できていた結果かなと思います。

――きょうの2レースでは総合2位の日大が470級でワンツーフィニッシュを飾っていましたが、どのような気持ちでレースに臨んでいましたか

正直な気持ちを言うと、少し焦りもあったんですけど、出艇前にも言っていたんですけど、仲間を信じて最後の最後まで諦めないことが優勝につながると考えていたので、少しでもいまの自分の順位を上げようと考えて、仲間や一緒に乗っているクルーだったり、本当にいろいろ人に応援してもらっていたのでそれを支えにして最後まで頑張ろうという気持ちで最後まで走っていました。

――今シーズンを通して470チームを振り返るといかがですか

関東では結構勝つことが多くて、全日本(インカレ)に来て日本経済大などのすごく走るチームがいるということはもともと想定していたことで、ただ総合優勝が目標なので1レース1レース最後まで成長できるように走っていこうということで戦えたので、470チームとしてもクラス2位だったところから3位になった点に関しては悔しい思いもあるんですけど、総合優勝を目標にしてきたのでそれが達成できたことに喜びでいっぱいです。

――きょうで早大として出場するのは最後となりましたが、四年間を振り返っていかがですか

最初は1年生2年生と自分自身はレギュラーにもなることができず、悔しい思いもしてきたんですけど、同期やチームのメンバーに支えられてここまでくることができて、3年生のときは全日本インカレは2レースしか出られなかったんですけど、4年生になって(全日本)インカレに出させてもらってこういうかたちで終わることができて本当に仲間の支えを感じましたし、監督やコーチだったりOBOGの方の支えがあってここまで来られたというのをいま感じています。4年間を振り返ってあっという間だったなという思いもあるんですけど、ここまで続けてきて良かったと思っています。本当に感謝しています。

――最後に、これからの早大をつくっていく後輩へのメッセージをお聞かせください

ワセダの強みは経験者だけじゃなくて未経験者も含めた全員一人ひとりが自分の役割を果たして、総合力で勝てることだと思うので、3年生以下はこれからも強いワセダをつくるために、大変だとは思うんですけど、未経験者やマネージャーも含めた全員で戦うという意識を常に持って取り組んでほしいと思います。本当に応援しています。

470級クルー永島慶也(政経4=神奈川・逗子開成)

――最後の全日本インカレ、総合優勝という結果ですが率直なお気持ちはいかがですか

率直な気持ちは、ほっとしたっていう気持ちが強いです。正直まだ実感はないんですが、メダルをもらって触った時に、優勝したんだっていうのは少し感じました。

――ほっとしたというのは、優勝を逃した昨年からの1年間からくるものが大きいですか

そうですね、苦しい時間の方が長かったので。そういう時間も含めて取り組みが1つの結果に身を結んだのはほっとしました。

――チームとして見ていて、今大会の早大のレースはいかがでしたか

強いなって思いました。というのも、ヨットの速さはもしかしたら日大とか飛び抜けた選手がいる大学の方が速かったのかもしれないんですけど、要所要所でちゃんと耐えることが徹底できたのは早大だと思いますし、自分でやっていても強いなって思いました。

――優勝が決まった瞬間は永島さん含め4年生は目に涙を浮かべている選手が多かったですが、どういった気持ちでしたか

嬉しかったっていうのもありましたし、自分が思っていた以上に。今までずっと堪えていた涙が全部出たのかなって思います。

――4年間のヨット部の生活はいかがでしたか

総じていい時間だったかなと思います。もちろんいいことばかりじゃなくて、なんならほとんど苦しいことばかりだったんですけど、今振り返ってみるとすごい得るものがたくさんあったかなって思います。

――ヨット部の後輩はたくさんいらっしゃいますが、メッセージなどはありますか

チーム全体としては相手を尊重しあって、どんな困難もくじけずに一致団結して乗り越えてほしいなと思います。個人個人に対してはどんなことでも正面から受け止めて逃げないでやってほしいなと思います。そうすることで最後の際に見えてくるものがあると思うので、正面から受け止めて逃げないことを信条にやっていってほしいです。

――4年間共に歩んできた同期へ向けて伝えたいことはありますか

こんなことを言うタイプじゃないんですけど、本当に感謝しています。彼ら、彼女らがいたからこそ自分があると思いますし、ただの友達とかそう言うのではなくて、戦友とかそういう類の人たちだと思っています。本当にありがとうございました!

470級クルー古橋捷太(先理4=東京・早大学院)

――総合優勝おめでとうございます

ありがとうございます!

――今の率直なお気持ちは

うれしいです。うれしい反面、寂しいです。

――今大会のレースを振り返っていかがですか

自分たちが思った以上に足を引っ張ってしまって、他の艇に迷惑をかけてしまったんですけど、他の艇は頑張ってくれているだろうって。頼っていたわけじゃないんですけど、チームとして全体で戦うっていう意識を持っていたので、いいモチベーションの中で自分たちはレースをできたんじゃないかなって思います。

――2日目までは日大にリードを許す展開でしたが、どういう気持ちで臨んでいましたか

多分あそこで下級生が落ち込んでいたら自分たちが「やってしまったな」いう気持ちになっていたと思うんですけど、宿に帰ったらみんなが「大丈夫大丈夫、100点差しかない」ってすごい励ましをもらったので。レースの無かった次の日にいい意味でリフレッシュができたなかで戦うことができたので、気持ちの面で、下級生に助けられていたなと思います。

――きょうも日大に追われる展開でした

正直きょう2レースあって、1レース目で日大がすごい前にいて、3艇目の日大も結構良くて。自分たちは早大の中で一番悪くて、早大がそんなに良くなくて、スナイプ合わせても点差があまりない状況で。点差はわからなかったんですけど、相当やばいなとは思っていましたね。ここまで追い詰められた状態でどうやって次のレースに行こうかって、すごい苦しい中での戦いでした。

――苦しい中での戦いでしたが、改めて優勝した瞬間はいかがでしたか

フィニッシュした時は結構早大はいい順位で。いけたかなっていう思い反面、いけなかったのかなとも思ったんですけど、ボートに乗っている人たちが叫んでいるのを聞いて、優勝できたんだなって実感しました。

――今大会全体を振り返って、調子の方はいかがでしたか

全体的には大きいミスはなかったので、レース運びとしては良かったんじゃないかなって自分の中では思っています。

――きょうで早大ヨット部での生活は終わりを迎えますが、4年間を振り返ってみていかがですか

長かった、短かったと言ってしまえばそれまでなんですけど、とても自分の中では価値のある人生経験だったかなと。長い目で見ればそう感じています。

――後輩へメッセージなどはありますか

この勝利の光景を常に持って、もう一度優勝するっていう思いを持って来年も、再来年も挑んで何連覇でも、いっぱい連覇して強いワセダをつくりあげていってほしいなと思います。黄金時代を築いてほしいと思います。

――4年間一緒に戦ってきた同期へ向けて一言お願いします

ヨット部での4年間だけでなく、これからも仲良く付き合ってください(笑)。

岡田香桜(文構4=神奈川・湘南)

――総合優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは

ありがとうございます。ただただほっとしています。私は最後まで不安でいっぱいで、去年代替わりしてからずっと不安で胸がいっぱいで、1年間やってきて、どんなレースで勝っても、勝って当たり前と思えたことはなくて、気づいたら勝ててたという感じで、全日本インカレも終わってみて、勝ててほっとしてる状態です。今年負けがないって他の人から言われるんですけど、それも意識してたわけではなくて、気づいたらこうやって勝ちを積み上げられてたという感じで、とにかくよかったというのが大きいです。

――全日本インカレをサポート艇からどのようなお気持ちでご覧になっていましたか

正直、あまり良くないレースとか厳しいときもあったんですけど、私たちは1年間、英語は付けないということを言い続けてきて、内容が良くなかったり結果が振るわないレースを抱えながらも、英語だけは付けないということを達成できて、それが勝ちにもつながったので、それが実践できた選手は本当にすごいなと思いました。

――早大での四年間を振り返っていかがですか

本当にたくさんのことを学んだし、仲間って大事だなとすごく思いました。特に同期には支えられたし、私も同期を支えることができたのかなと4年間を通してすごく感じます。

――今後の早大をつくっていく後輩へのメッセージをお願いします

本当に下級生に支えられた1年だったと感じていて、そんな下級生たちが上級生になってチームをつくっていくということにはすごく期待しています。新しく入ってくる下級生にも伸び伸びと自由にヨットができる環境がずっとワセダに続くといいなと思います。