メジャーではベッツが「トリプルスリー」を達成

 2018年のペナントレースで最も大きな話題の1つとなったトピックに、ヤクルト山田哲人内野手が成し遂げた、前人未到の「3回目のトリプルスリー」がある。実は、今季はMLBでもレッドソックスのムーキー・ベッツ外野手が、6年ぶりに「トリプルスリー」を達成した。

 ベッツは32本塁打、30盗塁、打率.346というMVP級の活躍。2012年にエンゼルスのマイク・トラウト(30本塁打、49盗塁、打率.326)と、ブルワーズのライアン・ブラウン(41本塁打、30盗塁、打率.319)が達成して以来6年ぶり、MLB史上27人目の偉業となった。

 しかし、アメリカではベッツの記録は、ほとんど注目されなかった。

「トリプルスリー」は、日本のプロ野球が考案した基準であり、アメリカではほとんど知られていない。1983年に阪急の蓑田浩二がこの記録に迫った時、メディアが記録を調べ直して、1953年の中西太(西鉄)以来30年ぶり4回目であることを報道。ここから注目度が高まった。

 もちろん、今季のベッツは首位打者、最多得点に輝き、MVPの有力候補だ。同時に、MLBでは「30-30」の達成者として称賛されている。「30-30」とは、30本塁打と30盗塁を同時に達成すること。この達成者は「30-30クラブメンバー」と言われ、MLBの歴史に名を刻む。

 今季はベッツとインディアンスのホセ・ラミレス(39本塁打、34盗塁)がこれを達成。「30-30クラブ」のメンバーはMLB史上延べ62人になった。

「30-30」の方が打率を問題にしない分、「トリプルスリー」よりも該当者が増えるが、MLBでは「長打と俊足」を併せ持つ選手が称賛されるのだ。野球文化の違いと言えるだろう。

 なお「30-30」の上には「40-40」もあるが、これは4人しか達成していない。

1988年 ホセ・カンセコ(アスレチックス)42本塁打40盗塁
1996年 バリー・ボンズ(ジャイアンツ)42本塁打40盗塁
1998年 アレックス・ロドリゲス(マリナーズ)42本塁打46盗塁
2006年 アルフォンソ・ソリアーノ(ナショナルズ)46本塁打41盗塁

 ちなみにソリアーノは広島でもプレーした。

NPBで「30-30」を達成したのは…

 NPBの「30-30」は延べ17人いる。参考までに打率もつける。※はトリプルスリー

1950年 別当薫(毎日)43本塁打34盗塁(打率.335)※
1950年 岩本義行(松竹)39本塁打34盗塁(打率.319)※
1953年 中西太(西鉄)36本塁打36盗塁(打率.314)※
1963年 張本勲(東映)33本塁打41盗塁(打率.280)
1980年 簑田浩二(阪急)31本塁打39盗塁(打率.267)
1983年 簑田浩二(阪急)32本塁打35盗塁(打率.312)※
1987年 秋山幸二(西武)43本塁打38盗塁(打率.262)
1989年 秋山幸二(西武)31本塁打31盗塁(打率.301)※
1990年 秋山幸二(西武)35本塁打51盗塁(打率.256)
1995年 野村謙二郎(広島)32本塁打30盗塁(打率.315)※
2000年 金本知憲(広島)30本塁打30盗塁(打率.315)※
2001年 井口資仁(ダイエー)30本塁打44盗塁(打率.261)
2002年 松井稼頭央(西武)36本塁打33盗塁(打率.332)※
2015年 山田哲人(ヤクルト)38本塁打34盗塁(打率.329)※
2015年 柳田悠岐(ソフトバンク)34本塁打32盗塁(打率.363)※
2016年 山田哲人(ヤクルト)38本塁打30盗塁(打率.304)※
2018年 山田哲人(ヤクルト)34本塁打33盗塁(打率.315)※

 トリプルスリーの顔ぶれに張本勲、井口資仁らが加わる。また秋山幸二は山田哲人とともに3回「30-30」をマーク。蓑田浩二も2回記録している。NPBでは「40-40」の達成者はまだいない。山田哲人、柳田悠岐あたりに期待したいところだ。

 今年の11月には日米野球が開催される。山田哲人も選出されているが、アメリカの友人に彼を紹介する時には「トリプルスリー3回」ではなく「30-30を3回記録したすごい選手」と紹介すべきだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)