WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス NBA(米プロバスケットボールリーグ)のスーパースター、ゴールデンステート・ウォリアーズに所属する”ステップ・カリー”ことステファン・カリー(30歳/アメ…
WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス
NBA(米プロバスケットボールリーグ)のスーパースター、ゴールデンステート・ウォリアーズに所属する”ステップ・カリー”ことステファン・カリー(30歳/アメリカ)が目指していた「PGAツアーの主催」が、着々と実現に向けて進んでいるようだ。
NBAのスーパースター、ステファン・カリー
相当なゴルフの腕前を持つカリーは、アマチュアながらも下部ツアーのウェブ・ドット・コムツアーのトーナメントに参戦。カリフォルニア州サンフランシスコ郊外で開催されているエリーマエ・クラシックに、2017年から2年連続でスポンサー推薦を受けて出場している。
2年とも予選通過は果たせなかったが、スーパースターの登場は大きな話題となって、大会自体は盛り上がった。下部ツアーながらも多くのギャラリーが詰めかけ、あらゆるメディアで取り上げられた。
そのカリーが、今度はレギュラーツアーとなるPGAツアーの大会ホストを務めるべく、水面下でスポンサー集めに奔走し、開催コースとの交渉を進めてきた。そして、大会の開催が実現しつつあると、地元紙が伝えている。
開催コースの候補に挙がっているのは、サンフランシスコにあるパブリックコースの『コリカパーク』。1927年開場の歴史のあるコースだ。
PGAツアーの実行委員たちがすでに同コースの視察に訪れており、開催時期は2019-2020年シーズンの秋になる運びのようだ。
ノースカロライナ州出身のカリー。父親が元NBAプレーヤーのデル・カリーで、弟のセス・カリーもNBAのポートランド・トレイルブレイザーズに所属しており、まさしくバスケットボール一家で育った。
地元のデビッドソン大で活躍したのち、2009年のドラフトでウォーリアーズに入団。2014-2015シーズンにNBAを制覇し、同シーズンと翌2015-2016シーズンと2年連続でMVPに輝いて、スーパースターとしての確固たる地位を築いた。
そんなカリーだが、高校時代にはゴルフ部にも所属。ジュニアゴルファーとしても活躍していた。
「一時は、ゴルフか? バスケットボールか? とプロへの道を迷ったこともあった」
以前、そう回想したカリー。ゴルフに対しての思い入れは、それほど強い。
もし、カリー主催の大会が実現すれば、PGAツアーにとっては、久しぶりの”セレブリティ”の大会となる。その分、周囲の期待は大きい。
実は、過去には”セレブ”の名前が冠に付いた大会がPGAツアーにはたくさん存在していた。
代表的なのは、歌手のビング・クロスビーが主催した『ピング・クロスビー・ペブルビーチ・ナショナル・プロアマ』。1937年からおよそ50年、クロスビーが1977年に他界したあとも、長きにわたって開催されてきた。同大会には、ハリウッドスターたちがこぞって参加。華やかなゴルフの一時代を築いた大会だった。
同じく歌手のサミー・デイビス・ジュニアは、1973年から1988年までコネチカット州で開催されていた大会を主催。喜劇俳優のボブ・ホープは、1965年からカリフォルニア州パームスプリングスで『ボブ・ホープ・クラシック』を開催した。この大会は、2003年にボブ・ホープが亡くなったあとも継続され、冠名は2011年まで残されていた。
世界的な歌手のフランク・シナトラも、1963年にラスベガスで招待試合を開催。当時、大きな話題となった。
しかし近年、そうした”セレブリティ”の名が冠に付くトーナメントは、めっきり減ってしまった。歌手で俳優のジャスティン・ティンバーレイク(アメリカ)がラスベガス開催の大会をホストしたこと、アイスホッケー界のレジェンド、ウエイン・グレツキーがウェブ・ドット・コムツアーの大会をホストしたことがあるくらいで、寂しい限りだ。
「理由は定かではないが、セレブリティの大会が減った分、選手がホストを務める大会は、依然として人気が高い」と語るのは、PGAツアーのスポークスマンであるローラ・ニール氏。確かに、3月には故アーノルド・パーマー氏の招待試合が、6月にはジャック・ニクラウスのメモリアル・トーナメントがある。昨季までは、タイガー・ウッズのファウンデーションが主催する大会もあった。
ともあれ、ニール氏は新たな”セレブリティ”のゴルフ界への参入を大いに歓迎する。
「スーパースターがゴルフ界への情熱を注いでくれることは、新たなファンの獲得へ大きな力となる。カリーのような素晴らしいアスリートと、パートナーになる可能性があることに、とても興奮している」
カリー主催の大会は来季の2戦目、9月後半の開催が有力視されている。その大会に、さすがにカリーが参戦することはなさそうだが、現在のカリーの地元で行なわれるため、新たなゴルフファン獲得につながることは間違いない。大会の実現、そして開幕が楽しみでならない。