第3回は470クルー対談だ。関東学生春季選手権(春関東インカレ)、関東学生選手権(秋関東インカレ)共にクラス優勝を果たしている今季の470チームを支えている。しかし、ここ数年、全日本学生選手権(全日本インカレ)でのクラス優勝は他大学に明け…

 第3回は470クルー対談だ。関東学生春季選手権(春関東インカレ)、関東学生選手権(秋関東インカレ)共にクラス優勝を果たしている今季の470チームを支えている。しかし、ここ数年、全日本学生選手権(全日本インカレ)でのクラス優勝は他大学に明け渡している。470級がチーム全体を率いて、クラス優勝も奪還し、ワセダを総合優勝へと導きたいところだ。そんな470チームのクルーに全日本インカレへの意気込みを伺った。

※この取材は10月18日に行われたものです。

「目の前のレースに勝ちに行くことができた」(嶋田)


レギュラーとして大会に出場してきたここまでを振り返る嶋田

――この1年を振り返っていかがですか

古橋 自分はレギュラーで1年やってきて、いまの立場で頑張ってきたという印象で、3年間レギュラーを目指していた側だったので、いざなってみると立場が違って、自分に課されることが多くなったというか、責任もその分多くなったので、この1年は自分の中では結構切羽詰まった1年だったかな。すぐ隣には下級生のライバルもいて、自分の長所をより生かせるように頑張ってきました。

嶋田  自分もずっとレギュラーじゃなくて2年間、3年目でやっとレギュラーになれて、レギュラーになって何か変わったことというと、古橋さんも言ったように責任感が多くなって、あと今年頑張ってきたことといえば、他のクルーより自分が優れていると思うこと。自分は体力面で優れてるなというのを感じていて、それをより伸ばすことであったりとかそれを海の上で出していけるような練習をしてきた1年でした。

永島  個人的には苦しい1年だったなというのが率直な感想です。チームにおける自分の役割とかポジションと今までの自分の理想とか積み重ねてきたものだと自負してきたものとのギャップをすごい感じる期間がすごく長くて、そういった意味で苦しい1年だったと思います。その中でも特に個人として結果を残すことにこだわってきたつもりなんですけど、なかなかうまくいかなくて、苦しい時間が長かったというのが率直な感想です。

 3年生になって、時間的にも部活に慣れてきた意味でも余裕は出てくるのは3年目だと思っていて、ただそれでそこに油断してると、そこまでの選手になってしまうというのはずっと思ってたので、1年生から変わらず、同じくらいヨットに努力できるような時間を過ごしてこようと思って1年間やってきました。3年目になって、これまでは先輩とかに引っ張っていてもらって良かったのを、今度は逆に導いてあげなきゃいけない部分も増えてきたので、そこの責任は感じてきた1年でした。

――今季は団体戦では負けなしのような状態ですが、チームとしてそれを振り返るといかがですか

古橋  いま負けなしって言ってたんですけど、レースに出ている側だとすごいギリギリで勝った感じがして、点数見ると「意外に差開いてるな」という印象があって、春イン(関東学生春季選手権)勝てたのは、自分たちの実力は未熟だったけどチームが全日本インカレで負けたことに対しての「春勝とう」という意識があって、それを継続して秋まで持ってこられたのかなという印象はあります。なので秋は比較的、春も勝ったから、秋も夏合宿の実力を見せるっていうことが発揮できたんじゃないかなと思います。でもその結果に誰しもおごることなく、全日本インカレを見据えての秋イン(関東学生選手権)だったし、春インだったから、選手だけでなく、サポートも全員が勝ちたいという意欲があったのかなと思います。

嶋田 自分は団体戦全部勝ってるというのは、いま思えばそうだったっていう印象で、目の前のレースにチームとして勝ちに行くことができたから、結果的に全部勝つことができたと思っていて、チームの状態としては風通しがいい雰囲気で、リラックスした状態で全員が挑めていて、チームを愛してるから勝ちたいという気持ちがサポートメンバーにもレースメンバーにも表れていて、1勝1勝勝ってきたのかなと思います。

 チームの6艇の争いがすごく激しくて、チームの練習で、ワセダの中で勝たなきゃいけないという中に、団体戦があって、また練習があって大会があってっていう流れでここまできたと感じているので、普段の厳しい争いの成果が今年の結果につながっているのかなと思います。

永島 さっきみんなも言ってた通り、実は多分あまり意識してなくて、ひとつひとつやるべきことをやって、やっちゃいけないことをやらないというのを徹底したということが先にあって、結果として勝利が続いているというかたちなので、あまりひとつひとつの勝利に対して、一喜一憂はしてこなかったなと思います。今年のチームの成績の原因を考えるに、僕は2つあると思っていて、ひとつはチーム内の競争環境がすごく激しいということがあって、これは去年、奎樹さん(岡田前主将、平30スポ卒=現東日本トヨタ自動車)や礼さん(永松、平30スポ卒=大分・別府青山)というスター選手だったり、それまでチームを支えていたクルーが多く抜けてしまった一方で、フレッシュな1年生だったり、いまの470のクルー陣であったり、スナイプもですけど、例年に比べてチームのボトムが上がっている。高いレベルで選手が一人ひとり能力を付けているなと、その結果として競争環境が上がって、チーム全体が強くなっているというのがひとつです。もう一つは風通しがいい。これは個人としても意識していたことで。一人ひとりのモチベーションを上げるには生き生きと活動できるということがベースとしてあるなと感じていて、そのためには風通しの良さや明るさは必要だなと思っていて、取り組んできました。

――風通しがいいというのはチームとしてそういう状態を目指そうと決めているのでしょうか

 4年生の努力だと思います。

――それはチームの方針として決めたのですか

永島  そうですね。最初に話し合ったときに、我々は圧倒的な技術力があるわけではない。じゃあどうやって勝っていこうかとなった時に、間違いなく下級生が助けてくれないと勝てないなという話があって、その中で風通しを良くしようというのは上級生として、そういう意見はありましたね。

古橋 下級生に支えられる代だというのはわかっていたので、下級生が活躍できる場を自分たちがどう提供していくかということは僕たちの代が始まるときには考えました。

――470チームの雰囲気はいかがですか

永島  仲はいいと思います。

古橋 470クルーは(周りに)雰囲気を合わせがちだよね。

永島 まあ仲がいいか悪いかで言ったらいいと思います。

 470はスマートさを推しています。

永島  洗練されてるので(笑)。まあ、仲の良さもありつつ、しっかりと競争するところは競争してる。そういうオンオフの切り替えはみんなできてると思います。ただの友達ではなくて、日本一を目指す上でのチームメイトっていう関係です。

――470級は特に1年生スキッパーの活躍なども大きいですが、上級生にはどのように映っていますか

 頼もしいです。

嶋田 らいねんになっても活躍してくれるというか、頼もしい存在です。

古橋 自分が引退しても、強いワセダがあるんだろうなと。将来が楽しみです。

永島 1年生の活躍はシンプルに頼もしいなというのがある反面、部内での競争もどんどん激化していくと思うので、らいねん以降大変だなと。今までのワセダって結構少数精鋭みたいなかたちのチームだったんですけど、今後部の体質が変わっていくのかなと思います。頑張ってほしいです。

「問題に対してちゃんと解決しようとしている代」(古橋)


古橋は今年からレギュラーに抜てきされ、元津(志緒、スポ4=長崎工)との4年生ペアでチームを引っ張る

――4年生と3年生はそれぞれどのような学年ですか

嶋田 3年はすごい仲が良くて、ふざけるところは全力でふざけて、ちゃんとやるところはちゃんとやる。あと3年生全体的に、経験者が3人で、未経験者が7人なんですけど、他の代に比べて運動神経がいいなと思っていて、前の競技でトップレベルで戦ってた人たちが集まった感じ。

 一人ひとりの個性が強い10人が集まっているので、それぞれが力を発揮すると、大きな一枚岩になって強い力を発揮できる学年だなと思います。

――4年生はいかがですか

古橋 秦たちの代とは逆で、みんなで活躍しないと一枚岩になれない。効率が悪いように見えるけど、問題に対してはちゃんと解決しようとしている代なのかなと思います。

嶋田  めっちゃミーティングしません?3年生のこの時期からミーティングすごいしてて、考えてるというか危機感を持ってみんなで取り組んでいる代だなと思います。

永島 これには背景があって、これまでの代に比べてずば抜けた選手がいない代で、その分ヨット以外の面で組織やチームとして働きかけるというところは2年生の頃から気をつけていた代だなと思います。ひとつ思うのは全員真面目だなと。お互いを尊重できているというのは特徴かなと思います。

 じゃあ1個、3年生の自慢ポイントとしては最初9人で入部して、途中で1人増えて、いま10人で3年生まで誰も途中で辞めることなく、このまま多分卒部していくと思うんですけど、それがすごい良い代なんだなと思います。

永島  そういう意味で対比だと、(4年生は)スピード感はないなと、まあ自分の反省なんですけど。ひとつひとつ全員でやっていく反面、もっと簡単にできるところはあったかなと。コスパは悪かったなと思うところはあります。

――早大のヨット部は経験者と未経験者が半数ずつくらいいらっしゃいますが

嶋田 経験者だから、初心者だからというのはあまりないなという印象です。1年生の時は少しあったんですけど、でも経験者が引っ張ってくれて、上級生になっていくにつれて経験者と未経験者の境はなくなったのかなと思います。

 いま嶋田が言った通り、高校までの実績とか関係なく、大学からの活躍で評価される部活だと思っていて、なので高校から大学で環境が変わるときに同じ土俵からスタートするのがいいところだなと思っています。自分も高校で競技をやってきたんですけど、いつ抜かれるかという危機感もあったし、それが逆に大学から始める人のモチベーションにもつながると思うので、いい環境だなと思います。あと、他の大学は経験者しか取ってないような大学も多いんですけど、別の競技をトップレベルでやってきた人が入ってくることで、違う意見とか考え方を取り入れられるので、団体戦としてはすごいいいバランスだなと思っています。

古橋 多分ワセダにいるから経験者と未経験者のカベはあまりないと思います。でも外部からワセダを見たときにワセダで未経験者でスキッパーをやってる人がいないので、そう考えると環境としてはカベがあるんじゃないかなとも思います。実際、慶大の未経験者のスキッパーがいま活躍してるので、そういうのを考えると今後のワセダもそういう環境づくりを目指していってほしいなと思います。

――ヨットを始めたきっかけやヨット部に入部した動機を教えてください

嶋田 僕は祖父が慶大のヨット部を卒業していて、ヨットという競技にちょっと興味がありました。あと、サッカーをずっとやってて、サッカーに限界が見えたというか。悔しかったですけど、大学ではできないなという思いがあって、1年生の頃とかはちょっと後ろめたさというか「サッカーやってたらどうなってたんだろう」とか「逃げたんだな」という思いがずっとあったんですけど、変われたきっかけとして去年のインカレで負けたときに、もっとヨットを頑張ろうって吹っ切れた感じがします。

 僕は高校で部活を考えたときに、一番競技人口が少なそうなのにしようと思ってヨットを選びました(笑)。

古橋  その時期からクセが強い(笑)!

古橋 自分は父親が大学でヨットをやっていて…

 サラブレッドじゃないですか。

古橋 いや、そんなことなくて。ちっちゃい頃からクルーザーとかに乗ったことがあったのでヨットと一応縁はあって、でも高校時代ヨット部はあったけど、(早大)学院が強かったのはアメフトかボートで、自分はアメフトっていう感じでもなかったので中学の先輩がいたボート部かなと思って、ボートで全国目指して活動していました。大学に入って、ボートを続ける道もあったんですけど、ちょっと自分はボートでそこまで活躍できないかなっていう面もあって、新しい競技も始めてみたかったので、早稲田大学ヨット部が全国を目指してるってことだったので、入部を決めました。あと、同期の神宮くん(泰祐、政経4=東京・早大学院)が中学から一緒で、その子が入るなら自分も入るみたいな雰囲気もあったので、もう(神宮と)クラスもずっと一緒だったので、入ろうということになりました。

永島 ヨットを始めたきっかけは、僕の中学は特殊でヨット部があったんですね。マジで何も考えてなくて、小学校からの友達が「ヨット部入るよ。」っていうから自分も入ろうと思ったのがきっかけです。

 でも全中(全日本中学体育大会)何番ですか?

永島 わからない。中学はヨット部に入ってみたものの、実態がすごいぬるくて、退屈でした。今でもその3年間を後悔してて、その3年間があったから今でも続けてるんですけど…中学はぬるかったんですけど、高校は厳しかったんです。なので、厳しい環境でチャレンジしたいなと思って、高校でヨット部に入ってなんとかインターハイ(全国高等学校総合体育大会)までは出たんですけど、始めての全国クラスの大会で目標としてた順位に届かなくて、その時に初めて悔しいなと思って、大学で借りを返そうと思ってワセダのヨット部に入りました。

古橋 でもウインドサーフィンに浮気してなかった(笑)?

永島  最初はウインドサーフィンをやろうかなとも思ったんですけど、でもやっぱりインターハイで負けたのはヨットだったので、ヨットで借りを返そうと思いました。

「他の部活に比べて一緒にいる時間が相当長い」(秦)


オフの日でも頻繁に部員と会うという秦

――話は変わりますが、学業との両立はいかがですか

古橋 自分は延長しちゃって…。この1年は好きな教科ばっかり取って、かつヨットもやってきたので、結構いろんな授業を取ってました。この夏から新しく研究室配属になって、年始くらいからまた忙しくなります。ヨットに集中できる1年になったので結果的には良かったかなと。

嶋田  僕はあそぶんこうなので(笑)。でも1年生からGPAがずっと下がってるんですよ。さすがに親にめちゃめちゃ怒られて、この秋学期2.5以上にしないと4年生の学費を全部返してもらうって、誓約書を書かされて(笑)。

一同 えー!

嶋田 あまり真面目にやれてなかったので、ちょっと頑張ります。

 僕は高校のときからそうなんですけど、結構綱渡り状態で。機械科学・航空学科っていうところで、航空機の仕組みとかエンジンとかについて勉強してるんですけど、それは小学生のときから好きだったことなので、充実はしてます。

永島  両立は人次第ですけど、僕はそもそも1年生2年生のときに学業に全く興味がなくて、本当に勉強しなかったんですね。それで3年生からほんのちょっと勉強するようになったら、勉強も面白いなってちょっと思えてきました。両立は可能だと思うんですけど、それにしてももうちょっと勉強しておけば良かったなとは思います。僕は留年するんですけど、だから必要ないのに卒論ならぬ留論を書いちゃうくらい、いま意識が高いので(笑)。

一同  (笑)

永島  もうちょっと勉強しておけば良かったなというのが本音です。

――オフの日に部のメンバーと会うことはないのですか

古橋  嶋田の私服初めて見た。

嶋田 夏合宿ではずっと一緒にいるので、オフのときはいいかなと。切り替えというか。たまに会いますけど、1日遊ぶというのはあまりないですね。

古橋  秦は「部員に会うとオフじゃない。」って言ってたよ。

嶋田  人によりますよ。でも秦きのう遊んでなかった

 僕きのうは、入江(裕太、スポ3=神奈川・逗子開成)と清水(詩絵、文2=埼玉・早大本庄)と戸山(萌々、先理2=東京・桜蔭)でお寿司の食べ放題に行きました。あと、古橋さんともよく映画とか喫茶店、美術館に行きますね。あと佐香(将太、スポ2=岩手・宮古)と安田海人(政経3=奈良・西大和学園)はいつメンです。(部員と会っても)ちゃんとオフになってますよ。

永島 僕もオフは基本的に部員とは会わないですね。というのもオンオフの切り替えがすごい下手なので、会っちゃうとどうしても部活のモードになっちゃうのが疲れちゃうなと思っていて、特に3年生以降は意識的に会わないようにしてます(笑)。

 なんかあったんですか(笑)?

永島 いや、全然(会っても)いいんですけど!あくまで僕たちは日本一を目指す部活なので、厳しさも必要じゃないですか。僕はオンオフの切り替えが苦手なので、厳しさを保つにはベタベタしちゃうとダメかなと思ってそうしています。でも神宮は学部が一緒で普通に友達なので、よく遊んだりしてました。引退したら部員とプライベートを過ごしてみたいなというのはあります。

 他の部活に比べて一緒にいる時間が相当長いので。

古橋 僕は4年生になって、家で休息するのがオフかなって。下級生の頃は学科の子とか高校の子とドライブ行こうとか言ってたんですけど、そんな動かなくなったっていうか。

――先ほど永島選手が引退後のことをお話しされていましたが、何かしたいことはありますか

古橋  今までずっと体育会に入っていたので、勉強しようかなっていう気はあります。同期とは今までそんなに仲良しこよしやってきたわけではないので、そういうことをやってみてもいいのなと思います。ご飯行くとかですけど。卒業旅行に行くとかみんな言ってるんですけど、多分しないと思います。

 しないんですか(笑)?

古橋  結構冷めてる感じはあるので、あんまり期待はせずに、あったら行く感じで。

古橋 4年生寂しいですね。

永島  別に寂しくないよ!

古橋  それが俺らのスタイル。

永島 僕はやってみたいことがありすぎて困ります。今までずっと狭い範囲をそれなりに深めてきたので、引退したら縦に深めるのを横に広げていきたいなと思ってます。でもオフの日に会わないので何をしてるかは知らないです。

 たまにインスタグラムで見るくらいですよね。

嶋田  最近、僕は任天堂スイッチ買いました。

一同  (笑)

嶋田  ちょっとやりたくなって、マリオパーティーを買いました。でもやってみたら、「あれ、ゲームってこんな面白くないっけ。」って大人になったなって感じました(笑)。

一同 (笑)

 僕は勉強してます。あとはこの前、山行きました。遠くに行こうと思って、奥多摩の方まで電車で行きました。緑に囲まれて。

古橋  一人旅?

 ひとりです。朝、路線図見て奥多摩行ってみようと思って。海から離れたくなりますね。

永島 オフ自体が限られてますけど、僕はあまり1日中家にこもることはないですね。友達とランチ食べたり、散歩して喫茶店に入って本読んでみたり。でも大人数でガヤガヤするというのは最近してないです。

「今年は何を失ってでも何をしてでも勝つ」(永島)


永島は4年間やってきたことを結果で証明するという強い思いを持っている

――毎年全日本インカレに向けたモチベーションアップビデオがありますが、今年も作っていらっしゃるのですか

 今年はもう後輩に。僕も先輩から引き継いだんですけど、もう代替わりしようと思って。

――どなたが作っていらっしゃるのですか

 海老塚(啓太、政経2=神奈川・鎌倉学園)と三田(祥太郎、政経1=東京・早大学院)の2人なんですけど、もうノータッチです。ヨット部は自学自習なので、何も教えてないです。1年生のときはこの時期すごく忙しくて、今度は楽しみに待つ番なので、3年生になったんだなと感じます。

――みなさん楽しみに待っているのですか

古橋  そうですね。楽しみです。

――全日本インカレに向けて気合いを入れるために何かやっていることはありますか

古橋 いつも元津とやってるのは、今までの振り返りちゃんとする。それを練る前と起きた後に見て、気合いを入れるというか冷静になる。手順を頭に入れてます。

永島  特別なことはしてないですね。日々いつどうなるのかというのはわからないんで、自分のやれる準備はしっかりやってるつもりです。

嶋田  自分は気負いすぎるとうまくいかないことが多いので、いつも平常心でいるためにいつも通りワイワイして、頭の中は冷静でいることが大切だと思ってるので、インカレもそうやっていこうかなと思います。

 ユニホームを着たらスイッチが入るので、それですね。

――全日本インカレが迫っていますが、いまの心境はいかがですか

嶋田 不安はやっぱりあるけど、やるしかない。去年の悔しい思いをちゃんとぶつけていきたいなという感じです。

 4年生が引退されてしまうので、まだ来てほしくないという気持ちと、去年のリベンジができるので楽しみな気持ちも半分です。

永島 心境は(ここまで)長かったなと。だからといって普段と変わらなくて、長かったと思っている一方で、自分のやるべきことをやるだけというのは変わらないと思うので、あまりざわついてないです。

古橋 あと2週間といっても、まだ時間はあるので、自分のできることをやって、無駄な時間を過ごさないようにしたいなというのと、去年悔しい思いをして、おととし蒲郡でうれしい思いをしたので、その地でうれしい思いができるようにやりたいです。

――現在のご自身の調子はいかがですか

嶋田  お互いが冷静でいられれば、良い順位が見えてくると思うので、インカレっていう誰もが緊張する場で平常心でいつも通りのセーリングができれば、自ずと良い順位が取れるのかなと思います。個人戦じゃないので、自分が走らなくても他の人が走ってくれるという心の拠り所が団体戦にはあって、それがすごく良いところだと思うので、そこまで緊張はしてないです。チーム全体として調子はいいと思います。

 3番艇なので気負わず、4年生の元津さん古橋さんとか、同期の田中(美紗樹、スポ3=大阪・関大第一)と嶋田に助けてもらいながら戦えばいいのかなと思います。調子もそんなに悪くはないので、最後練習はもうあと1回ですけど、やることはやって蒲郡に乗り込んでいくだけだなと思います。

古橋  前回の成績だけで言ったら、3艇の中では一番悪かったんですけど、でも調子が悪いとは思ってなくて、結果が(調子を表す)全てではないので、インカレに向けて調子を出せる調整をしていって、もし悪い結果でも下級生たちが支えてくれるという意識を持ってインカレに望めたらいいなと思います。

永島 チームとしては勝ちを積み重ねてきている上で、一体感も高まってきていると思うので、チーム全体という意味の調子はいいと思います。個人としても、もう調子は良くて、いつ何があっても対応できるように最高の準備はできています。特にこの1年の取り組みは自分の中もしっかりやってきたという感じはあります。

――昨年は4連覇を逃すかたちとなってしまいましたが、今年はさらにインカレに対して特別な思いはありますか

 今年の1年生が実力者がそろっているので、彼らに4連覇のバトンをつなげられたらいいなとは思ってるんですけど、1回負けて挑戦者として挑むので、そんなに先のことを考える余裕はなくて、まず1勝。優勝してまたらいねんの戦いがあるだけなので、去年連覇が途切れたからといって特別な意味はあまりなくて、今年の総合優勝をまず狙いたいなというだけです。

嶋田 自分は今年からレギュラーで、去年はサポートメンバーで歯がゆい思いをして、今年自分がやってやろうという気持ちはすごくあって、でも1勝目だからってことは関係なくて、本当に全日本で1番になりたい。4年生を笑顔で卒部させて、みんなで笑って帰りたいです。

永島 僕は今年勝つということに対して特別な思いがあって、自分たちが幹部としてやってきたからっていうのはあると思います。昨年度負けたときに、人生で初めて全日本インカレでの負けを経験して、今まで悔しい思いはしてきて「これが悔しさかな」ってぼんやりしたものはあったんですけど、はっきりと輪郭を持って「これが悔しいっていう感情なんだ」って強く認識しました。去年のインカレが終わったときに実は「今年は何を失ってでも何をしてでも、自分たちの代では勝つぞ。そのためになんでもやろう」と自分の中で誓ったので、そういった意味でも今年のインカレに懸ける思いは相当強いですね。

古橋 僕が1年生のときに目標として挙げていたのは、史上5連覇した大学がいないので、この学年で5連覇したいという思いがあって、去年負けちゃってそれが自分たちの代でできないっていう悲しみはあったんですけど、後輩たちが入ってきて、圧倒されるような代で、自分たちが5連覇の1歩目になれればいいかなと、発想転換して思い始めて、今年の代で勝つことで5連覇してもらえると、自分の目標がかなうじゃないですけど、そのための第一歩として今年のインカレは総合優勝したいなと思っています。

――全日本インカレでのキーパーソンを挙げるとしたら、どなたでしょうか

古橋 僕は岩月かなと思います。主将っていうこともあって、彼は彼なりにプレッシャーを感じてて、それがヨットに出てきてしまうのかなと思うので、岩月がもっと自然体でヨットに乗ってほしいなというのがあります。結構自分が3番艇っていう意識が本人の中にはあるのかもしれないんですけど、そう思わないで、自分が1番艇なんだって思える走りをしてほしいなと思います。

嶋田  元津さんと古橋さんかなと思います。2人が前を走ってると安心するというか、自分たちも頑張ろうという気になるので。470チームとしては上マークを回ってサイドマークを回るときに、(赤い)スピンが123って(上がって)回ってるのが夢です。

 僕も古橋さんと元津さんで、4年生ペアは結果だけじゃなくて、チームの精神的な柱でもあるので、470チームとしての結果を出すには、4年生ペアの励ましが大事だと思っていて、それに何度も助けられてるので、僕としてはその二人に助けられています。

永島 本当にいいことを言おうとしてるわけではなくて、良くも悪くも全員がキーパーソンだなって感じていて、こういうふうに言えるようなチームになれたことが良かったかなと思います。

――最後に改めて、全日本インカレの目標と意気込みをお聞かせください

古橋  目標は総合優勝。意気込みはみんなが喜べるようにして、悔いは残さない、です。

 僕も総合優勝で、4年生を笑わせて引退させたいと思います。

永島  目標はチームとして総合優勝することで、今年1年間は結構苦しい思いをしたので、そのプロセスを正当化したいなというふうな気概で頑張ります。

嶋田 総合優勝をチーム全員でつかみに行きます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤千咲)


チームジャージでそろえて撮って頂きました!

◆秦和也(はた・かずや)(※写真左)

1997(平9)年7月10日生まれ。175センチ。69キロ。東京・早大学院高出身。基幹理工学部3年。470級クルー。昨年、岡田奎樹前主将のクルーを務め、今年はルーキー西村選手とペアを組む秦選手。全日本インカレ初出場となる西村選手を先輩として支えてくれることでしょう!

◆古橋捷太(ふるはし・しょうた)(※写真中央左)

1996(平8)年11月28日生まれのO型。178センチ。72キロ。東京・早大学院高出身。先進理工学部4年。470級クルー。「1年生の頃は史上初の5連覇を目指していた」と話してくれた古橋選手。色紙には総合優勝を今後も継続するために『繋』の文字を書いてくれました!

◆永島慶也(ながしま・よしや)(※写真中央右)

1995(平7)年8月9日生まれのA型。178センチ。72キロ。神奈川・逗子開成高出身。政治経済学部4年。470級クルー。「今年1年は苦しい思いをしてきた」と話してくれた永島選手。最後の全日本インカレで総合優勝し、今までの思いを晴らしてほしいですね!

◆嶋田篤哉(しまだ・あつや)(※写真右)

1997(平9)年8月21日生まれのO型。178センチ。71キロ。神奈川・鎌倉学園高出身。文化構想学部3年。470級クルー。「冷静でいられれば良い順位が見えてくる」と話す嶋田選手。同期の田中選手とともに470チームを引っ張ってくれることでしょう!