ドイツ杯2回戦ドルトムント対ウニオン・ベルリンは、延長戦の末、ドルトムントが3-2で勝利を収めた。 今季は両チームとも好調で、ドルトムントは1部、ウニオンは2部でともにここまで無敗を誇る。積極的なプレスでコンパクトな守備を見せるウニオ…
ドイツ杯2回戦ドルトムント対ウニオン・ベルリンは、延長戦の末、ドルトムントが3-2で勝利を収めた。
今季は両チームとも好調で、ドルトムントは1部、ウニオンは2部でともにここまで無敗を誇る。積極的なプレスでコンパクトな守備を見せるウニオンに、ドルトムントは手を焼いた。試合後、ドルトムントのルシアン・ファブレ監督は「ときに我々はとても混乱していた。結局は大丈夫だったけど」と語っている。
ドルトムントはリーグ戦からメンバーを大幅に入れ替えてこの試合に臨んだ。GKにマルヴィン・ヒッツを、ボランチにユリアン・ヴァイグルを、そして2列目には香川真司を配した。メンバーを替えたこととウニオンの善戦で、今季ここまでの豪快でスムーズな攻撃は見られなかった。
ドイツ杯ウニオン・ベルリン戦に先発した香川真司
ドルトムントは前半40分、左クロスに香川が頭で合わせたが、これはGKの正面に。だが、そのこぼれ球をクリスティアン・プリシッチが押し込んで先制する。ところが後半になると追いつかれ、いったんはマキシミリアン・フィリップのゴールで勝ち越すものの、再び88分に追いつかれて延長戦へ突入する。延長戦で互いに4人目の交代枠を使う総力戦となったが、試合終了直前にドルトムントがPKを獲得。マルコ・ロイスがこれを落ち着いて決め、ようやく試合をものにした。
ドルトムントは先週末のヘルタ・ベルリン戦に引き分け、この日も劇的な幕切れとはいえ、格下のチームに90分で勝ち切れなかった。開幕から飛ばしてきたチームの勢いに、少し影がさしているところだ。控え選手にとってはポジション奪回のチャンスだろう。
もちろん、香川もそれを自覚している。だが、40分の先制点のシーン以外はなかなか得点に絡む場面を作れず、周囲のテンポ感ともかみ合っておらず、気合いが結果に結びついたとは言えない試合になった。結局、2-1でリードしていた78分に交代している。
香川の自己評価は厳しい。
「久しぶりの試合でしたし、このタイミング(格下と対戦するドイツ杯)ぐらいしかチャンスはないと思っていたので。勝つことはもちろんですけど、僕自身も結果がほしかったです。(先制点直前のヘディングシュートは)惜しいだけじゃ意味がないし、それは重々感じている。点を獲ったヤツが結果として残るわけで、チャンスを作っただけではあまりイメージとして残らない」
これまでリーグ戦では先発1試合、途中出場1試合にすぎない。なかなか試合に出られないなかで、いきなり先発する難しさもある。
「なかなかメンバーに絡んでないので……。試合に出て(感触を)つかんでいくものではあると思う。非常に難しい現状で、それは自分も把握しているし、日々、練習で前向きにやろう、と。(これだけ試合に出ないことは)なかなかないですし、立場も現状として非常に下のほう。そういう立場もなかなか経験のないなかで、今はやっている。でも、ここで負けたら自分自身は終わりなので、この環境で打ち勝つためにやるしかない」
チャンスは少ないが、何かしらのアピールをして、少しずつ立場を改善していかなくてはならない。そのことは香川もわかっている。ただ今季のチームについては、苦笑いしつつも、その好調ぶりを認めざるを得なかった。
「強いね(笑)。めちゃめちゃ強い。出た選手、出た選手が活躍して結果を残しているのがその強さなのかな。その波に(自分が)乗るか、乗らないか。その準備をするか、しないか。諦めるか、諦めないか。自分自身を信じてやるしかない」
この日、たとえ自らが活躍できなくてもチームが負けなかったことは、次につながる好材料ではあるだろう。これまでにない苦境を香川がどう乗り越えていくのか。好調ドルトムントの試合にどう関わっていくのか。苦しみながら、香川は必死に乗り越えようとしている。