創部史上初の4連覇が懸かった昨年の全日本学生選手権(全日本インカレ)。両クラスに全日本トップレベルの選手のいる、申し分ない実力で福井の地に乗り込んだものの、不運が重なり、まさかの2位。あのときの屈辱を晴らすため、1年間この大会だけを見据え…

 創部史上初の4連覇が懸かった昨年の全日本学生選手権(全日本インカレ)。両クラスに全日本トップレベルの選手のいる、申し分ない実力で福井の地に乗り込んだものの、不運が重なり、まさかの2位。あのときの屈辱を晴らすため、1年間この大会だけを見据え、邁進してきた。ついに全日本インカレが幕を開けた。今年の早大はどんな戦いを見せてくれるだろうか。

 470チームは絶対的エースであった岡田奎樹前主将(平30スポ卒=現東日本トヨタ自動車)が抜けた穴は大きいかと思われた。しかし、今年は新たな戦力を獲得。レギュラーでの出場可能性が高い西村宗至朗(社1=大阪・清風)を始め、蜂須賀晋之介(スポ1=茨城・霞ケ浦)や小泉凱皇(スポ1=山口・光)といった世代トップの選手がそろっている。1年生が加わり、レギュラー争いが激化したことにより、全艇がチーム内で大きな成長を果たしている。西村にとっては初めての全日本インカレだが、この組がどれだけ安定できるかが焦点となるだろう。さらに、岡田奎樹前主将に代わって470級のエースとなったのは田中美紗樹(スポ3=大阪・関大第一)・嶋田篤哉(文構3=神奈川・鎌倉学園)組だ。田中は今年、3つの国際大会に出場し、ヨットに対する意識が高まったという。実力のあるこのペアは、特に低い順位に抑え470チームをけん引したい。また、4年生となった元津志緒(スポ4=長崎工)・古橋捷太(先理4=東京・早大学院)組は「いまあんまり調子が良くない」(元津)と話すが、最後の全日本インカレに懸ける思いは並ではないはずだ。元津は470級クラスリーダーとして、堅実な走りが求められる。
470級では日大や同大がライバルに挙げられるだろう。日大は9月に行われたワールドカップ江の島大会で3位入賞を果たした高山大智を擁している。高山が出場していない関東学生選手権(秋関東インカレ)では早大がクラス優勝を果たしているが、今大会に出場するとなると、戦況が変わってくる可能性もある。昨年の総合優勝校である同大にも全日本個選2位の矢野航志など学生トップレベルの選手がそろっている。レギュラー争いでレベルアップした470級ではあるが、不要な点数を稼ぐことは避けたいところだ。


レギュラーとしての出場が見込まれる西村・秦和也(基理3=東京・早大学院)組

 今季のスナイプチームを率いるのは松尾虎太郎(スポ2=山口・光)・海老原崇(法3=埼玉・川越東)組だ。9月に行われた全日本学生個人選手権(全日本個選)では2年生スキッパーながら、堂々の優勝を果たし、いま波に乗っている。夏季には470級で国際大会に出場するなど、違う艇種での経験も積んだ。松尾・海老原組ができる限り上位でまとめることがひとつのカギとなるだろう。また、今季着実に力を付けている入江裕太(スポ3=神奈川・逗子開成)・原潤太郎(商3=埼玉・早大本庄)組も焦らずに、順位を安定させることが重要だと言える。そして、早大全体の成績を最も左右すると考えられるのが、岩月大空主将(スポ4=愛知・碧南工)・三宅功輔(商4=東京・早大学院)組である。このペアは7月の関東学生個人選手権で見事優勝を果たしたが、全日本個選では惨敗。「総合優勝とカギになるのはスナイプのスコアの安定」(岩月)と話すように、大きく崩さず、安定した成績を残したい。
スナイプ級で警戒すべきは慶大だろう。全日本個選では慶大から出場した上位3艇が7位以内に入る好成績を収めている。また、秋関東インカレでも早大にBFDがあったとはいえ、クラス優勝を許している。どんなコンディションであってもスナイプチームが崩さないことで総合優勝に大きく近づくだろう。


早大全体のカギとなるであろう岩月・三宅組

 昨年は両クラスにトップ選手を置くかたちだった早大だが、今年はフレッシュな戦力を投入し、総合力で勝負する。今シーズンの団体戦や定期戦では全て総合優勝を収めているが、選手は口をそろえて「常に不安だった」と話す。全日本インカレで勝って初めて本当の喜びが得られるのだろう。2年前、史上初の2度目の総合優勝を達成した地で、早大は『逆襲』を見せつけてくれるに違いない。

(記事、写真 加藤千咲)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません