これが鹿島アンドラーズの底力か。 10月31日に行なわれた鹿島対セレッソ大阪。中2日で11月3日にACL(アジアチャンピオンズリーグ)決勝ペルセポリス戦のファーストレグを迎える鹿島は、10月24日に行なわれたACL準決勝の水原三星戦から先…

 これが鹿島アンドラーズの底力か。

 10月31日に行なわれた鹿島対セレッソ大阪。中2日で11月3日にACL(アジアチャンピオンズリーグ)決勝ペルセポリス戦のファーストレグを迎える鹿島は、10月24日に行なわれたACL準決勝の水原三星戦から先発9人を入れ替えて臨んだ。

 リーグ戦出場5試合にも満たない若手選手を数多く使いながらも、後半7分、得意のセットプレーで勝負を決めた。左コーナーキックからプロ2年目の小田逸稀がヘディングで初ゴールを決め、1-0で逃げ切った。

 


セレッソ大阪戦にフル出場、勝利に貢献した小笠原満男

前半こそ、硬さの見える若い選手がC大阪に押し込まれるシーンもあったが、先制してからは若手選手が躍動した。その原動力となったのが、39歳のベテラン小笠原満男だった。

 両サイドから攻める選手に必ずサポートに入る。攻撃が詰まったら小笠原に一度戻し、そこから再び攻撃の起点となっていた。前線の選手が動き出せば、そこに正確無比なパスを供給しチャンスに結びつける。的確なポジショニングでセカンドボールを拾っていく。そして守備でも、C大阪の攻撃の中心であるソウザにボールが入るとプレッシャーをかけ、ほとんど仕事をさせなかった。若い選手たちが思い切ってプレーできたのは、小笠原の存在があったからだ。

 圧巻は後半37分のシーンだ。C大阪のコーナーキックの直前、前線にひとり残る山口一真に向かって「パスを出すから、こういう感じで走れ」というようなジェスチャーをしていた。

 果たしてコーナーキックのこぼれ球を小笠原がダイレクトで蹴ったパスは、山口の独走を演出した。山口のシュートは惜しくもC大阪のGKキム・ジンヒョンに阻まれたが……。

 1点リードしている後半37分の相手コーナーキックである。普通なら大きくクリアして時間を稼ぐものだろう。でも、小笠原はチャンスがあるなら、相手にスキがあるなら、もう1点奪って試合を決める。「それが鹿島のサッカーだ」ということを、若い選手たちに伝えようとしているようなプレーだった。

 昨季、大岩剛監督が就任してからはなかなか出場機会に恵まれずにいた小笠原は、第12節のV・ファーレン長崎戦以来のフル出場を果たしている。鹿島の伝統が染みついている小笠原は、ACL決勝でも貴重な存在となるはずだ。