2018年の日本女子ツアーも、わずか4試合を残すのみとなった。 注目の賞金女王争いは、優勝賞金3240万円という破格の高額大会であるNOBUTA GROUP マスターズGCレディース(10月18日~21日/兵庫県)を制し、今季5勝目を…

 2018年の日本女子ツアーも、わずか4試合を残すのみとなった。

 注目の賞金女王争いは、優勝賞金3240万円という破格の高額大会であるNOBUTA GROUP マスターズGCレディース(10月18日~21日/兵庫県)を制し、今季5勝目を飾ったアン・ソンジュ(韓国)が、獲得賞金を1億6539万1000円まで上積み。賞金ランキング2位の申ジエ(韓国)に3600万円以上の差をつけて、4年ぶり4度目の女王獲得を目前にしている。

 それでも、数字の上ではまだ、賞金ランキング5位の比嘉真美子(獲得賞金9350万300円)までは、逆転女王のチャンスがある。アン・ソンジュ自身、賞金女王については「まだまだ(どうなるかわからない)。最後まで私もがんばらなければいけない」と、決して安全圏とは思っておらず、気持ちを緩めることはない。

 そんななか、逆転女王の可能性をわずかに残す面々は、どんなスタンスでいるのか。賞金ランキング3位の鈴木愛(獲得賞金1億2719万6000円)、4位の成田美寿々(獲得賞金9856万2633円)、そして5位の比嘉に話を聞いてみた。



賞金ランク4位の成田美寿々(左)と同5位の比嘉真美子。photo by Getty Images

 残り4試合のうち、最低でも3勝して、アン・ソンジュがほとんどの試合で下位に沈まない限り、逆転の目がない成田と比嘉は、すでに賞金女王のことは頭の中にはないようだ。成田に話を聞くと、すかさず「賞金女王は狙っていませんよ」ときっぱり。そして、こう語った。

「あと4試合しかないですけど、当初の予定どおり、年間5勝を目標(現在3勝)にして戦っていくだけ。最終戦の(メジャー大会である)LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップと、あと1試合勝てれば……。

 賞金女王は、あとからついてくるもの。年間で一番安定していた人っていうことじゃないですか。今季の自分は……、安定感はなかったなって感じですよね(笑)。でも、調子のいいときにうまくはまって3勝できたということは、成長はできているのかな、と思います。

 上位との差は、やっぱりショートゲームになるのかなと思いますね。また、自分が得意とするショットも、まだまだ一番にはなれていない状態。自分でショットメーカーと言うわりには、パーオン率も悪いですから(※ツアー15位。10月30日時点)。

 ピンを狙いつつ、グリーンにオンさせるショットをさせないと、と思っているんですけど、(セッティングによって)ピン位置を振られたときに、グリーンを外すミスが出てしまう。来年は、そういったパーオン率とか、ショットの精度を上げていきたいと思っています」

 すでに来季に目を向ける成田だが、2020年の東京五輪を見据えて、賞金ランキング2位の座はまだ諦めていない。

「(東京五輪まで)もう日がないので、ガンガン世界ランキングの順位を上げていかなければいけない。そのためにも、来年は海外メジャーのすべてに出場したいと思っています。

 それで、賞金ランキング2位までには入っておきたいな、というのはあります。2位に入れれば、(来季の海外メジャー初戦の)ANAインスピレーションにも出られますし。だから、これからの目標は、あと2勝」

 比嘉も、賞金女王については「考えていない」と言う。

「あと4試合あるので、そのなかで優勝できたらいいな、と思っています。(以前、25歳までには賞金女王を獲りたいと話していたが?)今は、そういう意識はないです。

 自分にとって重要なことは、目の前の試合に集中すること。今は、そこが一番大事ですね。ですから、残り4試合、一試合、一試合、集中してがんばるだけです」



2年連続の賞金女王獲得が期待される鈴木愛。photo by Getty Images

 翻(ひるがえ)って、昨季の賞金女王で、逆転女王への可能性もまだ十分に残されている鈴木はどうだろうか。直撃すると、2年連続の女王奪取は「諦めていない」と語った。ただ、そのトーンは決して高くはなかった。

「(賞金女王は)狙っていますけど……、でも、かなり厳しいとは思っています」

 トップのアン・ソンジュとは、およそ3800万円差。その差は確かに大きい。逆転が容易ではないことは、傍から見てもよくわかる。だが、鈴木が「厳しい」と感じているのは、今季途中で手首などを負傷して、今なお万全な状態ではないからだろう。

「先日(4位に入ったNOBUTA GROUP マスターズGCレディース)も、そんなに調子は悪くなかったんですけど。でも、まだ”う~ん”という感じです。(今季)前半戦はよかったんですけど、後半戦は思うようにいっていないですし。(ケガの影響?)はい。そうですね……」

 泣いても、笑っても、残り4試合。賞金女王争いはもちろん、今季の女子ツアーを盛り上げてきた、鈴木、成田、比嘉、それぞれの”戦い”を最後まで注目していきたい。