第2回はこの1年部を率いてきた4年生3人と、1年生からレギュラーとして出場し、470級を引っ張る田中美紗樹(スポ3=大阪・関大第一)の4人の女子対談。学年を越えた仲の良さも垣間見える中、真剣な眼差しで全日本学生選手権(全日本インカレ)への…

 第2回はこの1年部を率いてきた4年生3人と、1年生からレギュラーとして出場し、470級を引っ張る田中美紗樹(スポ3=大阪・関大第一)の4人の女子対談。学年を越えた仲の良さも垣間見える中、真剣な眼差しで全日本学生選手権(全日本インカレ)への意気込みを語ってくれた。

※この取材は10月21日に行われたものです。

「常に不安だった。」(松岡)


対談は終始和やかな雰囲気で行われた

――今年1年を振り返ってどんな1年でしょうか

田中  個人的には今年は国際大会に3大会出させていただいて、結構レベルの高いレースの中で揉まれながらレースをするっていうのが新鮮というか、自分がチャレンジャーでありながらレースをするというのが成長につながったかな。そこで改めて必要なことと不必要なことを自分の中でしっかりと選別ができて、それが学生の大会の中でもうまく生かせてるなと思います。

元津 あっという間だなというのが一番です。4年生になって初めてチームの運営に携わって、クラスリーダーをしたり、今年はジュニアワールドとかにも行かせてもらって、チームから離れることもあったりして、いろいろ感じる部分は多くて、はじめての経験というのも多くてそれをこなしてるうちにあっという間に1年過ごしていたんだなって感じで、もうすぐ1年が終わるんだなっていう実感があまりなくて、っていう感じです。

岡田  私は個人的には楽しい1年だなと感じていて、4年生になってチームをつくっていかなきゃいけない立場になって、運営をする中で、過去の4年生が「4年生が一番大変だった」と辛そうにしてる姿を見てきたので、そして去年の4年生がリーダーシップも競技力もあってすごく不安だったんですけど、自分たちが4年生になって始まってみたらやることはたくさんあってあっという間で、その中でもすごく下級生の力が大きくて、そういった中で日々過ごしてチームを少しずつ私たちの代でつくっていくっていうことをして、結果も付いてきているので、個人的に振り返って楽しくできているなと思います。

松岡 今年1年を振り返ってすごい人間の輪が広がった1年だなと思っていて、4年生という立場になって、部内だけじゃなくて部外でも人との関わりはすごくありました。自分に関しては学連に入っていて、そこでの人とのつながり、他大学であったり、あとはいろいろ大人の人と会話をしたりしてワセダというのが、内からも外からもどういうふうに見られているのかっていうのを、いい意味でも悪い意味でも学ぶことができましたし、それをいかに部に還元していくかを考えました。それを生かせた部分もあれば生かせなかった部分もある感じです。

――改めて今年のチームはどんなチームですか

元津 今までとか去年に比べて4年生にあまり競技力の面では圧倒的な実力がある人がいるというチームではなかったので、下級生の力を借りて、ここまでの大会も越えてこられたし、全日本インカレもチーム一丸となって戦わないといけないなと感じていて、本当に下級生に助けられてできているチームだなというのは今も感じていて、全日本インカレもその勢いでいけたらなと思います。もちろん自分たちがやるべきことは4年生としてやらなきゃいけないなと感じています。

岡田 代の特徴というかカラーがすごくはっきりしている年だなと思って。それを顕著に感じたのが、秋イン(関東学生選手権)の前にミーティングをしたときに、各代でミーティングをしてもらって、チームのここまでを振り返って、自分たちの代で何ができるかとか、どういったことをしたいかというのを出してもらって、それぞれが自分たちの代でこうしたいというのを言ってくれて、それも一年生だからこう、2年生、3年生だからこうというよりも、代の特徴をすごく捉えて、みんな勝ちたいと思って、自分たちの代を自分たちの言葉で表してくれたので、そのときにすごく良かったなって思ったし、私たちがこれまでしてきたことも間違ってなかったのかなって思って、それで今年のチームを感じました。

松岡 自分のいた4年間と比較して、上から下までカベがないチームだなっていうのは感じていて、個人の意見もその代の意見をしっかり言える、さっき香桜(岡田)も言っていたように、自分たちの言葉で自分たちのカラーを出していけるというところは今までの4年間ではそんなになかったので、そういう意味で上から下までしっかり独立して、でもチームとしてちゃんと部に関わっていたと思います。

田中 去年は特になんですけど、4年生に付いていく、引っ張ってもらってるという感じで、みんながインカレに向けて一直線に向かってる感じがしてたんですけど、今年はすごい自由だなと。特に私もいろんなところに行かせてもらったりだとか、最初は悪い意味で言うとルーズでまとまりがないチームだなって思ってたんですけど、最近秋イン六大学(秋季東京六大学定期戦)と続いてきて、インカレというものがカウントダウンできるくらい目の前に迫ってきている中で、そこで優勝したいっていう気持ちが1人ずつ芽生えてきてるのかなって。インカレに対して一直線にみんなで行くんじゃなくて、全体的に集まってきてるみたいな、不思議だなって感じてます。結構自由で、規律とかが嫌いな子もいるんですけど、そういう人たちも最初は文句言ってたりもしたんですけど、インカレに向けて自分の持ち場でしっかりと責任持ってやり始めてるのが結構具体的に目についてきたので、いろんな方向からちゃんと目標に向かって集まってきてるなって感じてます。

――学年のカベがないとおっしゃっていましたが、そのようなチームをつくるために、上級生として心掛けていることはありますか

元津 最初に新体制になるときに4年生でミーティングをしたときなんですけど、ひとつみんなが言っていたのは、一人ひとりがちゃんと意見を言いやすいようなチームにしたいね、ということから始まっていて、下級生がちゃんと思ってることとか自分はこうしたいってことを言えるようなチームでありたいねということは話していて、それが大会だったり大事な場面でチームを助け合うことにもなるのかなっていうふうに私は思っていて、言いたいことが言えるっていうのは大事なことだなと思ってチームをつくってきました。

田中 3年ってちょっと微妙な立場だと思うんですけど、代としてはレギュラーも多いので、レースで成績を出して部の勢いをつけようってやってたんですけど、 個人的には下級生のちょっとした発言を大切にしようと思ってて、私も思ったこととかを口に出していろんな人に伝えるんですけど、それが真剣でないような感じで通っちゃって意見が流されてしまうことが多くて、それで勝手に不満を溜めて、みたいなこともあったので、下級生のちょっとした一言を拾って、上に投げようっていう間の役割を果たそうって心掛けてました。

岡田 個人的には話しやすい人になろうっていうのを今年意識していて、下級生のころはみんなと仲良くすることが苦手で、これだけ人数がいるので、どうしても合う人と合わない人っていうのを感じてて、苦手な人と話したりするのも、合宿生活が長くなると自分も向こうもお互いにストレスが溜まったりっていうことがよくあったんですけど、4年生になってからはなるべく分け隔てなく誰とでもちょっとしたことでも話せる人に、4年の中でそういう立ち位置になりたいと思っていて。ちょっとレースでミスをしてしまったりとか、調子が悪そうな人はなんとなくちょっと暗くなってたりしょぼんとしてたりするんですけど、そういったときって普段仲いい人でもちょっと話しづらい空気があったり、ちょっと部の中で浮いてたりっていうのがあるので、そういうときにちょろっと声をかけることを意識して、合宿生活とか部活動の中で、孤立したり沈んでどうしようもなくなるとか、そういうふうにならないように、できたかどうかは別として意識的に声をかけたり、みんなのことをよく見たりというのはしようと思っていました。あと、ひとつこれは効果的だったなと思うのは、選手に対して、私はマネージャーとして海に出ることは多くて、でもマネージャーの私から「これがよかった」とか「あれがすごかった」とかって言うことよりも、「コーチがこう褒めてた」とか言われるのってみんな、特に下級生の男の子とか嬉しいんじゃないかと思って。やっぱり全体のミーティングになるとレースメンバーであったり、結構主力でその時気に懸けられてる選手に対してのコメントが多くなるんですけど、海上でコーチとかが見てる時って何気なくいろんな選手に向かってポロポロ言ってるんですね。なので、なるべくそれを伝えて。やっぱり小松さん(一憲コーチ)とか関口監督(功志、平6人卒=愛知・半田)に褒められることって選手はすごくうれしいので(笑)。「きょう、『うまくなった』って言ってたよ」とか「『あのスタートがすごく良かった』とかちゃんと見てもらえてたよ」みたいなことをちょろちょろって言ってたんですけど、それはすごくモチベーションになった人とかもいたみたいなので、良かったかなって思います。

松岡 うーん、4年になって・・・

田中 嶺実(松岡)さんすごく下級生にとって言いにくいタイプですよね(笑)。

一同 (笑)。

松岡 っていうのは自分でもわかってるんですけど、なので結構自分から絡みにいくっていうことはするようにはしていたかな、っていうのはあります。 自分が選手として出るときもあるんですけど、サポートのボートに乗って、監督とかコーチがいないときに、レースでサポートボートを自分が運転して出すっていうことも今年は多かったので、そういう時に(選手に)近寄って、大体全艇に近寄って、「いまのレースどうだった?」とか「良かったじゃん」とか。技術のことに関してはあんまり口出しできないんで、悪かったら、「ドンマイ」みたいな。

一同  (笑)。

松岡 次を促せるような声掛けをしてたかな。コーチが近寄ってくときって、このレースで「どこが駄目だった」とかなので、そういうときにこそっと「次頑張れよ」っていうふうに言ったりとか、そういう心がけは今年1年結構意識的にしてきたかな。それは去年と違うところです。その他では、なるべく笑うようにはしてました。

岡田・田中 知らなかった(笑)。

松岡 今年は笑うようにしてました。

岡田 でも4年の最初のミーティングでも言ってたよね。

松岡  基本的に表情筋があまり動かないらしいので。動かしていくことを最初のミーティングでも話していて、まあ後半そのこと忘れてましたけど。

元津 今年のインカレのテーマ『笑顔』だから。

松岡 自分から笑っていけたらいいかな、と。なるべく自然な笑いを。

元津 インカレで嶺実の笑顔が見られる。

岡田  楽しみだな(笑)。

田中 じゃあ笑顔じゃなかったら言いますね。

松岡 ちなみにいま笑ってるんだけど。っていうふうに明るい人間にね。

――今シーズンは成績を見ると団体戦では勝っている印象ですが、実際にレースに出ていて感じることはありますか

松岡 常に不安だった。

元津  わかる。

松岡 成績で見ると確かに総合優勝してたりとか、クラスでもちゃんと優勝してたりとかしてるんだけど、常に不安。「勝てるかな」とか「本当に大丈夫かな」っていう不安がもちろんレース中も。レース後も「勝ったけど」の「けど」が常に付きまとう状態。まだまだな部分が多いなって。それは秋インでも感じたし、六大学戦(秋インの1週間後に行われた)でも感じた。みんな絶好調でレースを終えてるわけではない、いい成績を残してる人もいれば、振るわなかった人もいて、常にそういう不安の中でのレースが今年は多かったかなと思います。

元津 すごい嶺実が言ってることと同じようなことなんですけど、秋インって全日本インカレの前哨戦で、勝つと今まではもっと盛り上がってたかなと私は思ってて、勝って「よっしゃー!」みたいな感じに。今年、勝てたんですけど、自分自身感じてたこととしては内容でこのままで本当にインカレで勝てるのかっていう思いの方が大きくて、うれしいはうれしいけど、ほっとしたっていう方が大きくて、勝ててほっとしたけど、まだこれからなんだって。っていう大会が今年は多かったかなって思っていて、終わってみたら結果がたまたま良かったということで、いまも同じような気持ちではいるんですけど。やっぱり目指すところは全日本インカレで、今までやってきたので、本当にそこで勝たないと一番喜べるって感じではないんだなって感じてます。

田中 どんなに勝ったレースも負けたレースも同じだと思うんですけど、場所とかポイントによっていい悪いがあって、完璧なレースってどんな選手でもできないと思うので、ひとつひとつミスがあると思うんですけど、そのミスが具体的に順位につながる、今回はつながったのかとかって選手によってバラバラで、そこで順位を落とすんだって個人差が明確に秋インとか六大学で見れたので、それに対して声をかけたりとかしていこうかなって後半は考えてました。何の話だっけ(笑)。レースで勝ったのは勝ったんですけど、内容以上の収穫があったというか。みなさん言ってた通り、勝った気がしない、っていうのも変なんですけど(笑)。収穫が多いレースが多かったかなと思います。

岡田 私は慶大の同期でマネージャーをしてる人と話すことがあったんですけど、「ワセダは勝ってもいつも淡々としてるっていうか、クールにすかしてて、俺らはすごく勝ちたいけど結局いつも勝てなくて、すごく悔しい思いをしてるのに、勝ってもボートで喜んでないワセダを見て余計に悔しい」ってことを言ってて。

一同 (笑)。

岡田 そうやって映ってるんだって思って、なんでだろうってずっと考えてたんですけど、結局勝ち方が、慶大とか日大のミスだったり、英語だったりに救われてる部分がすごく大きくて。実際にそれだけの点数で勝ってるわけじゃないときもあるんですけど、ライバルのミスでってところが多くて、その英語がなかったら負けてるとか、英語で向こうの勢いが落ちて崩してってことが多いような気がして、それがなかったら負けてる可能性だって全然あったというのがひとつ大きいのかなって思って。幸いにも自分たちにすごく目立ったミスが少なくて向こうに多くて、勝ててるっていう状況があるので。私たちもミスやトラブルがないわけじゃなくて、それがたまたまそんなに響かなかったとか多くなかったっていうだけで、全日本インカレでそういったぼろが出ないようにしないといけないっていうのは再認識しましたし、まだまだ気を抜いちゃいけないって気持ちをみんな持ってるから、そういうことを言ってるのかなって思います。

松岡 そうやって見られちゃうのってさ、4年生が全体的に勝ってうれしいっていうよりは「ほっとした」とかっていう気持ちで、「良かった~」みたいな感じだから、多分下級生もその空気に流されてあの雰囲気になってる。

岡田 去年の4年生はすごく「うおー!」って盛り上がるタイプで、その人たちを見てみんな「ワー!」って感じだったんですけど、今年はみんななんか…。

田中 秋インのときに、スナイプがどうなるかわからなかったですけど、とりあえず470がクラス優勝したので、私が一番最初にフィニッシュしてて、「勝ったー!」って他の2艇に言いに行ったんですよ、そしたらなんか「ああ。」くらいの勢いで、「え、ちょっと待って」みたいな。

一同 (笑)。

田中 こっちも喜ぶ勢いをつくりにいったのに、2艇とも「いやーなんか」みたいな感じで。

岡田 私もそうだった。フィニッシュのボートで得点計算して、私もすごく嬉しくて結構ウキウキしてみんなに見せに行こうとかしたんですけど、470は先にスナイプのフィニッシュを待たずに(陸に)帰ってて、「あ、秋インってそうなのか」って。 OBも「きょうはよくやった」くらいの感じで。

元津 正直あの時は慶大と私がケースがあって、審問になるならないっていう話もあって、勝ちは勝ちなんですけど、陸に結局持ち帰って、コーチも「しっかり最後までスポーツとして戦おう」ってことで、勝ってはいたんですけど、全日本インカレでもそういうケースっていうのもあると思うので、ここでしっかり最後まで戦い抜こうって意味で、陸に審問持ち帰るってこともあって、私も審問は好きじゃないので、ちょっと複雑な思いがありましたね。

松岡 「470いねーし」とか思って。

元津 私も本当は残りたかったよ。渋ってたけど、「帰ろう」ってなって。

田中 嶋田(篤哉、文構3=神奈川・鎌倉学園)が「なんでみんな喜ばないの?」って言ってました。「秋インってこんなもんなの?」って。

岡田 陸に帰ってきて結構はしゃいで、「良かったね」って言っても、みんな「ああ。」って(笑)。

元津 派手に喜んではないね(笑)。

――元津さんと田中さんは世界選手権やジュニアワールドに出場されましたが、そこで学んだことからチームに何か伝えたことはありますか

田中 初心者でも使えるような技術の細かい情報は動画などを使って積極的に流しました。個人的には世界選手権とかに出てると周りの日本人選手も人生を懸けてやっているので意識が高くて、自分がヨットレースに対して真剣さがまだまだ足りないなというのを実感した中でこっちに帰ってきたので、一人ひとりの意識を高めようと頑張ったけど、高まったのかなっていう(笑)。ところですね。学生の中ではちょっと前を走ってるからといって、妥協してしまう瞬間がどうしても出てくると思うんですけど、それより高い世界を見ているからこそ、まだまだやれることは多くあるっていうのを伝えようと頑張りました。

元津 私はどちらかというと部に何か還元するというよりは自分自身に対していまある環境や自分自身を見つめ直す時間になったなと感じていて、もちろんチームに大きな技術を持って帰りたいという思いはあったんですけど、それ以上に4年間この部でやってきて、初めて長い間部から離れて活動して、チームでやっていることが個人になって、みんなでやっているからこそ大きな学びがあるんだなと感じました。個人だとひとつしか得られないことでも、部に所属しているからこそ、学びも増えているんだなってことも感じましたし、チームリーダーなのに部から離れてしまったことで、いろんな葛藤とか不安もあったんですけど、それをさせてくれたチームにも感謝したいとすごく思っていて、帰ってきてからもチームの雰囲気が変わってたりいろんなことがあって、ジュニアワールドが終わってそこから何かをチームに知識として取り入れたというよりは自分自身が変わらなければいけないところもすごく見つかって、自分の成長につなげる大会になったかなと思います。

――松岡さんは全日本学連の女子委員長を務めていらっしゃいますが、大会の運営などから感じたことはありますか

松岡 全日本の学生の三大大会のうちのひとつの、全日本女子インカレ(全日本女子学生選手権)の主催者みたいな立場で、とりあえず大会を無事終えて、今年は葉山じゃなくて蒲郡で、というところでもいろんな不安要素がたくさんある中で、事故もなく特別なこともなく無事に終えたことは良かったなと思ってます。運営の側から今回ヨットに関わったんですけど、大会自体は9月ですが準備を始めたのはその前の12月から始めて、関係各所に連絡を取って、パンフレットを作ったりだとか、毎年の記念のTシャツを作ったりだとか、その中でいろいろな人とやり取りして、主に大人の人が多かったんですけど、やっぱり学生だけでは大きな大会は成り立っていないことを感じたし、周りの協力を含めて、レース自体に出場するメンバーは女子で百何人に対して、その倍くらいの学生や大人が関わって3日間、大会が成り立ってるのはすごいことだなって思いましたね。そういうことがいかに大変なのか、そういう人たちの協力がない限り無理なんだなというのはこの大会を通して運営の立場から、かつレースに出た身としてひしひし感じました。

――今年はサポートの力が大きいとよく耳にしますが、ボートで海に出ることが多い岡田さんはサポート面で何か意識して取り組んでいることはありますか

岡田 私はマネージャーで、チームの中では主務をしていて、今年に限らずチームに入ってからサポートをすることが中心だったんですけど、その中で特に今年気をつけているのは、サポートはレースの中だけではなくて、それ以外にも普段の部活の運営とか下級生がご飯を作ってくれたり、掃除をしてくれたり、当直と言って時間を回してくれたりとかして、そういった部分のサポートってすごく大きくて、それはそれぞれで役割を持ってやってるんですけど、個人的には4年になってからは何でも屋さんじゃないんですけど、みんなが気づかないけど部には必要でやらなきゃいけないことをなるべく何でもやろうと思っていて、選手が競技に集中できる環境づくりをできればなと思って、問題があったら一番に対処して、問題になりそうなおことはなるべく早めに探して、やらなきゃいけない仕事はきっちりやって、レースで無駄な点数を付けたりだとか、ワセダが不利になるような状況にならないように普段からそういうことができればなと思ってずっとやってきました。

――上級生から見て下級生の活躍はどう見えていますか

松岡 あの子たちが上級生になったら、どうなるんだろうなっていう。

一同 (笑)。

松岡 別に悪い意味ではなくて、きょうもボートに乗ってて、小松さんがぽろっと「この1年生が3年後、上級生になったらすごいぞ。」って一言言ってて、下級生ながらもそれだけポテンシャルを持ってるっていう、彼らに対する最大の褒め言葉をきょう小松さんはぽろっと言ってたんだなって。そのくらいすごい1年生じゃないのかなって思います。もちろん個々にすごい個性も豊かだし、個性がぶつかって今後それが問題になる可能性もあるかもしれないけど、競技面で見ると、それだけのポテンシャルを持った子たちがいま下級生として入ってきてくれたというのは4年の立場とすると、すごいありがたいというかラッキーだったな、と。特に下級生の力を必要とする代であった私たちにとって入ってきてくれて本当にありがとうというところが大きいかなと思います。

元津 競争環境っていう意味でも今年はすごく良い競争環境があるとずっと言われていて、それも1年生が入ってきたからというのは大きくて、入学する前から来てるメンバーもいて、みんな速いというのは聞いていて、いい意味でライバルとして全員が負けないように切磋琢磨(せっさたくま)してやってこれたのは良かったなと思っています。まだ1年生なのかと思うと、これから学年が上がるにつれてまだまだどんどん速くなると思うので、すごい楽しみなメンバーだなと思います。

田中 経験者が特に470に多いんですけど、結構みんな個人的に小さいときから関わりがあって、こいつらが後輩になったかとか思ってたんですけど、ヨットの面ではもちろん小さいときからやってきて高校でもそれなりの成績を出して入ってきてる子たちなので、自分も1年生からレギュラーでやらせてもらってるというのもあって、ポテンシャルという面ではこれぐらい走ってくれるかという感覚だったんですけど、それぞれ高校の時に部活で経験したような陸上面での動きに個性が出てるなというのをすごく感じました。逆にワセダに(強い選手が)来すぎてるなというのも感じますね。他の大学とかからよく言われるのは「そんなに取って何が楽しいんだ」って。「学生のヨット界を盛り上げるためにはバラバラになった方が面白い。」って大人とかによく言われるんですけど、学生的にはいい選手が入ってきてくれるのはすごくいいことなんですけど、そういうことも思いつつという感じです(笑)。人気のあるワセダをつくってくださった先輩たちにならって自分たちもつくりたいなと思います。

岡田 結構セレクションの下級生に注目されがちなんですけど、それだけじゃなくて下級生の活躍は多岐にわたっていて、今年は入ってきてくれた1年生がすごく多かったりとか、今年もマネージャーの子が1人入ってきてくれて、そういった子たちがひたむきに働いてくれてる姿を見るとうれしくなりますし、上級生がそれに応えようと頑張っているチームの流れが今までも今年もそういう風にできてることはいいことだなと思います。個人的にはマネージャーの4年生で、3年生2年生1年生と下級生にもマネージャーの子たちがいて、彼女たちも頑張ってできることを増やしてやってくれて、結構ずっと私が思っていたのは、結局ワセダにはマネージャーはいらないかなって思いながらマネージャーをしてたりしたんですけど、自分が4年になって、下級生のマネージャーたちもすごく楽しそうに部活をしてたりだとかマネージャーでひとつのnチームじゃないけどそうやってできてきたのかなって思う瞬間があったとすると、やっぱりマネージャーがいて良かったかなと思って、下級生これからも続いてほしいなと、よりチームを盛り上げていけたらいいなと思います。

松岡 ご飯がおいしい。

田中 今年、季節を感じる食材が多かったので、毎日楽しみでした。秋になってカボチャとか芋が増えてきて美味しかった。

「みんな大人になった」(元津)


学年の特徴を考える松岡

――女子部員は男子部員に比べて少ないですが結束力がありますか

岡田 少ないんですけど、いまは40人中11人が女子で今までにないくらい多くなってきてるので、スタッフ陣とかOBからしたら「女子多いね」みたいな感じで。

元津 自分たちもそんなに少ないと思わない。

田中 元々こうだったから何も思わないですね。

岡田 男子は男子だけで何かすることはあんまりないと思うんですけど、女子は女子会みたいな感じでちょうど先週みんなでご飯に行きました。

田中 でも(合宿所の)女子部屋で1から4年がいる環境が多いので、縦の通りがいいというか、しょうもないことまで全員でしゃべっていて、そういう面ではまとまりがあるかもしれない。

――女子会は頻繫にあるのですか

元津 頻繫にはないですね(笑)。

田中 年1。何回か企画されてるんですけど、実行されるのは引退前に。

元津 大体全日本インカレ前後です。

岡田 私たちが下級生の頃も先輩にしてきてもらったので、女子の先輩には思い入れが強くて良くしてもらって。昔はすごい少なくて大変な思いをしてきたと思うんですけど、そういう人たちがいて、いまのワセダの女子が伸び伸びできているっていう環境ができていると思うので、それに感謝しながらみんな頑張っていけたらなと思います。去年の4年生に女子の先輩がいなくて、4年生が抜けても女子で抜ける人がいなかったので、私たちが上になって女子の多さがあまり変わんなかった感じだったんですけど、これで3人抜けたらちょっと静かになるのかなと思います。

――オフの日はどう過ごしていますか

松岡 オフ、あったっけ?

岡田 嶺実は研究室です。

松岡 私は理系なので、オフとなれば研究室に行くみたいな感じだったので、外に出ているのかも怪しいくらいですね。

元津 部員と会うことまずなくない?

岡田 でも、オフの日に会うことはないですけど、私は主務の仕事が多くて、常にオフの日もみんなに連絡するみたいな感じで、今年は多分嫌がられるくらい各方面に連絡しました。合宿が長いとオフにそういう仕事をするしかなくて、オフでみんなが寝てるであろう時間に「あれやって、これやって」って連絡して、嫌だろうなと思ってました。常に岩月(大空主将、スポ4=愛知・碧南工)がLINEの一番上にいる感じ(笑)。でも何やってるかといったら…。

松岡 研究室か、学連の仕事とかで何かしらパソコンに向かってた感じ。

岡田 でも私は文化構想学部なので、休みの日は一人で美術館に行ったりします。図書館に行ったり。あとは茅ケ崎に住んでるので、オフでも自分で海に行ったりするんですけど、他の部員を見るとオフの日にサーフィンしてる部員とか多い気がします。ボルダリングとか山登りに行ったりとか、それぞれアクティブに過ごしてるなと思います。

田中 ヨットの個人的な活動もしてるので、その準備で埼玉から日帰りで江の島まで行ったりとか、結構しんどいオフを過ごしてました。

――3年生と4年生はそれぞれどんな学年ですか

元津 3年生は元気。

田中 別に個性が強いわけでもないですよね?一人ひとりの活力がある感じ。元々自分たちからやろうというのをモットーにしてたので、自分たちが動くことでそれを後輩に教えていこう、みたいな。それがそれぞれの得意な分野で動けているので、人数も多い分まんべんなくこなせてるかなっていう感じです。

――4年生はいかがですか

元津 始まりといまを比べると、みんな変わったなと思いますね。

松岡 丸くなった。

元津 そうですね…。どう?(笑)

岡田 良くも悪くもマイルドな代だなと思います。みんなある程度真面目で、気遣いもできてすごくバランスも取れてるのかなと思うんですけど、これと言って代の特徴がないというか(笑)。

元津 あんまりガツガツした人がいるわけでもなく。

岡田 ミーティングをしても、みんな考えて「うーん…。」みたいなことが多くて、バシッと言うとかがないのが良さでもある悪さでもあり。でもミーティングはよくするので、意見のすり合わせはできてるのかなと思います。

松岡 普通の人間関係になった。話すようになったかな。

元津 1年生のときは仲悪かったので(笑)。みんな大人になったなっていう。

岡田 でも同期みんなで岩月を助けようとする代かな。今までは奎樹さん(岡田、平30スポ卒=現東日本トヨタ自動車)がどっしりしてて同期の中でも奎樹さんは飛びぬけてて安心感が部全体だけじゃなくて4年生の中にもあったと思うんですけど、今年は岩月と元津がクラスリーダーで、クラスリーダーだけに投げてたら駄目ってみんなが思ってて、だから自分たちが助けるだけじゃなくて自分たちがやらなきゃみたいな感じで、みんなが自分が中心にって思うくらいの勢いで自分がやらなきゃって思って、岩月を支えようとしてるんじゃないかなと思います。

「チームの総合力で総合優勝をつかみにいきたい」(岡田)


取材時は風を引いていたという田中だが、全日本インカレでは万全の状態で活躍を見せてくれるだろう

――全日本インカレまであと2週間を切りましたが、いまの心境は

岡田 私はすごくいま勝ちたいです。残されたのは少ないですけど、時間はゼロじゃなくてあるので、少しでも全員で成長して、できることをして、戦って勝ち切れたらいいなと思います。

松岡 自分のやれることを最後まで。勝ちたいねってそれだけです。

田中 そうですね、総合優勝を目標に今までやってきたので、1年間ずっとインカレのことを考えてやってきたので、それがあと2週間なんだって、もうあと2週間なのかっていう感じはしてるんですけど、今までもそうなんですけどインカレって本当に何が起こるかわからないので、最後絶対勝つために足元すくわれないように、行動していきたいなって思ってます。

――全日本インカレでのキーパーソンを挙げるとしたらどなたですか

松岡 岩月だと思う。あいつが走るか走らないかで、周りもそれに影響させるようなやつらではないと思うけど、やっぱりそこでひとつ部としての盛り上がり方が変わってくるんじゃないかなって思います。

元津 自分ですね。自分が走らないといけないと思ってるので、絶対総合優勝できるように、いまあんまり調子が良くないんですけど(笑)。調子が良いときのイメージをしっかり持って、まだ時間もあるのでしっかり調整して、一番今までで良いレースをしたいと思っているので、今まで練習してきたことをしっかり出せるように、いつもワセダで言われてる、やるべきことをやるっていうだけだと思うので、全員でそれをして必ず総合優勝したいなと思っています。そのためにまず自分が走ることが大事かなと思うので、自分のやるべきことをやりたいなと思います。

田中 嶋田で。ペアなんですけど、あいつがどれだけ私のメンタルコントロールができるかだと思います(笑)。二人ともなんですけど、接戦になったときのミスが結構目立つので、そこで1点2点を失うことがよくあるので、断トツトップが取れても僅差のトップが取れないっていうのがいま私たちの課題なので、しっかりと落ち着いてレースに取り組めるようにしてもらえたらなと。他人任せなんですけど(笑)。

岡田 嶺実も言ってたけど、私も岩月がキーパーソンだと思っていて、いくら下級生が主体的なチームといっても、結局チームって主将でいろいろ決まるかなと思って。彼のプレッシャーは計り知れないですけど、彼が力を発揮するっていうことがすごくチームにとって大事だと思うので、最後まで主将として気を張ってなきゃいけない部分だとかやらなきゃいけないことはレースが終わるまでつきまとうことだと思うんですけど、少しでもレースに集中できる環境を作ってサポートしていけたらなと思います。

――改めて、全日本インカレでの目標と意気込みをお願いします

松岡 目標はもちろん総合優勝で、意気込みとしては最後までどんなかたちであれ、部に貢献する。風が弱ければ自分が選手として出るし、風が強ければサポーターとして自分のできる最大限のことをみんなのためにやるってだけです。

田中 総合優勝しか言うことない(笑)。完全優勝したいですよ。したいですけど、それを目標にしてしまうとやっぱり駄目な部分もあるので、総合優勝したいです。けど、個人的には入ったから1回も470が勝ててないので、今までのワセダの流れも謎なんですけど、関東では470が勝ってるのにインカレはスナイプが勝つみたいな流れがあるんですよ。スナイプに負けないように、敵は味方なので、470チームから盛り上げていければと思います。

元津 目標はもちろん総合優勝で、個人的には4年間の最後の大会なので、最後ということを意識するわけじゃないんですけど、今までの練習の発表する場じゃないですけど、今までやってきたことを最後どれだけ出せるかだと思うので、今まで自分がやってきたことは何だったのかっていうのを結果で示せるように頑張りたいなと思います。

岡田  私も目標は総合優勝で、チームの総合力で総合優勝をつかみにいきたいなと思います。個人的にはインカレは4日間で他のレースと比べたら長い戦いになるので、その中で大変なときとかうまくいかないレースも多分出てくるんですけど、どんなときでも私は笑顔でいたいなと思って。さっき決起集会でもインカレのスローガンが『笑顔』っていうのがあったんですけど、そういった部分でできることだったり笑顔でいるってことはずっと忘れずに4日間戦っていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 加藤千咲、大島悠希)


部訓である『圧倒』の文字と共に撮っていただきました!

◆田中美紗樹(たなか・みさき)(※写真左)

1997(平9)年11月23日生まれ。153センチ。A型。大阪・関大第一高出身。スポーツ科学部3年。470級スキッパー。470級のエースとして学生のトップを走ってきた田中選手。今年は国際大会にも多く出場しました。全日本インカレではその経験も生かして活躍してくれることでしょう!

◆松岡嶺実(まつおか・れみ)(※写真中央左)

1993(平5)年12月21日生まれ。160センチ。B型。東京・国学院久我山高出身。先進理工学部4年。スナイプ級クルー。今年度は全日本学生ヨット連盟の女子委員長を務める松岡選手。軽風の際はクルーとして4年間の集大成を見せてくれるでしょう!

◆元津志緒(もとつ・しお)(※写真中央右)

1997(平9)年3月15日生まれ。154センチ。B型。長崎工高出身。スポーツ科学部4年。470級スキッパー。470級クラスリーダーとして470チームを引っ張ってきた元津選手。「まず自分が走ることが大事」と強気な姿勢を見せてくれました!

◆岡田香桜(おかだ・かお)(※写真右)

1995(平7)年4月24日生まれ。168センチ。神奈川・湘南高出身。文化構想学部4年。主務。「総合力」と色紙に書いてくれた岡田さん。ボートから選手の走りを見て、献身的に選手のサポートをしてくれることでしょう!