イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第9日、男子シングルス準々決勝。 先週、世界ナンバーワンでグランドスラムの連勝記録を「31」に伸ばそうとしていたノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒す快挙を…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第9日、男子シングルス準々決勝。

 先週、世界ナンバーワンでグランドスラムの連勝記録を「31」に伸ばそうとしていたノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒す快挙をやってのけた、第28シードのサム・クエリー(アメリカ)が第6シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)に4-6 5-7 7-5 4-6で敗れた。

 「自分がお粗末なプレーをしたとは思わない」とクエリー。「言うまでもなく、彼がビッグサーブの持ち主だということは知っていたが、僕はそれ以上に彼のネットプレーに感銘を受けたよ。彼は今日、ボレーを1本もミスしなかったんじゃないかな。どんどん前に出てきて、僕にプレッシャーをかけ続けた。実際にそれ(プレッシャー)をすごく感じたよ」。

 クエリーは先週の土曜日にジョコビッチを倒し、1985年にジョン・マッケンロー(アメリカ)を倒したケビン・カレン(アメリカ)以来の、ウィンブルドンで世界1位を倒したアメリカ人選手となった。クエリーはまた、2011年の全米オープン(アンディ・ロディック、ジョン・イズナー)以降に、グランドスラムの準々決勝をプレーした久しぶりのアメリカ人選手でもあった。

 対ラオニッチ戦でのクエリーは、ほぼ後手に回ることになった。28歳にしてキャリア初のグランドスラム準々決勝をプレーしたクエリーは、「彼のサービスゲームは、とにかくリターンからラリーに持ち込めればいいほうだ」と言った。一方で、「僕のサービスゲームでは、彼がセカンドサービスに対してリターンをカットするようにとらえて返してきた。それにリズムをつかむことができず、苦労したよ」。

 25歳のラオニッチは今のところ、期間限定ではあるがマッケンローをコーチングスタッフに加えて一緒に働き始め、それが早くも助けになっているようだ。彼はウィンブルドンに先立つクイーンズクラブでの決勝でアンディ・マレー(イギリス)に敗れはしたが、グラスコート大会で初の決勝に進出していた。

 「僕らが一緒にトレーニングを始めた週に最初に焦点を当てたのは、ネットにつめるチャンスを逃さない、ということだった」とラオニッチは言う。

 「そして対戦相手にプレッシャーをかけ続け、相手に考えさせ続けて心地悪い状態に置き、可能な限りバランスを崩した状態でのプレーを強いることだった」と続けた。

 また、「クイーンズでの大会に出場して、そういった練習をしてきたことを試合で実戦に移そうとしたんだが、重要だったのはまた、試合を通しての振る舞いや、より大きな存在感を示して、これまでとの違いを生み出そうと努めることでもあったんだ」と言った。

 もしもラオニッチが金曜日に行われる予定の準決勝で、第3シードのロジャー・フェデラー(スイス)に対してプレーの主導権を握ることができれば、彼は初めてのグランドスラム決勝に進出するチャンスがある。

 ウィンブルドンで7度優勝している偉人、フェデラーは、ラオニッチ対クエリーと同じ日の同じ時間帯に第9シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と準々決勝を戦い、2セットダウンから挽回して準決勝に進出した。

 2年前の2014年にウィンブルドンの準決勝をプレーしたラオニッチは、そこでフェデラーに敗れた。ラオニッチは負けた側とはいえ、そこから貴重な経験を得たと言う。

 「僕はあのときと比べて、あらゆる面で上達したと思う。今の僕はコート上で何をする必要があるかをよく理解しているよ」とラオニッチ。「流れを自分のほうへ引き寄せるために、どのようにして状況を覆すか。僕は今、自分が何をすべきで、努めるべきかがわかっているんだ」。(C)AP