【大仁田厚の邪道なレスラー人生(7)】(前回の記事はコチラ>>) いよいよ10月28日に、プロレスリングA‐TEAMの神奈川県鶴見青果市場大会でリングに上がります。試合は電流爆破バット&有刺鉄線地雷ボードデスマッチで、ケンドー・カシン選…

【大仁田厚の邪道なレスラー人生(7)】

(前回の記事はコチラ>>)

 いよいよ10月28日に、プロレスリングA‐TEAMの神奈川県鶴見青果市場大会でリングに上がります。試合は電流爆破バット&有刺鉄線地雷ボードデスマッチで、ケンドー・カシン選手とHASEGAWA選手と組んでキム・ドク選手、橋本友彦選手、雷電選手と対戦します。


10月28日に

「ボランティアレスラー」としてリングに上がる大仁田

 ありがたいことにチケットは完売。こんなオレを見に来てくれるファンがいるって、自分自身でも「どうしてだろう」って考えたことがありますよ。それで思ったことは、今の世の中、俺もやってるけど、ツイッターなどの匿名性の高い交流をはじめ、バーチャルな繋がりが広がってるように感じる。だからこそ逆に、会場で肌で感じる泥臭い人間同士のやり取りや、「苦しみ」だとか「怒り」だとか「悲しみ」だとか、心の底から叫びたくなるような感情が大事になるってことなのかな、と思いました。

 よく、「プロレスの魅力は、どこにあるんですか?」って聞かれるんですが、全然興味のない人にはわからないかもしれないけど、オレにとっては人生のすべてが詰まった世界なんです。オレがプロレスを通じてやりたかったのは「世間に対してのアンチテーゼ」なんですよ。だからAI時代への”アンチ”として、感情むき出しのプロレスを届けたい。やりたいように自分の人生を生きるって腹をくくって、プロレスを貫こうと思ってますから、そんな人間が持つパワーを感じてもらえればと思います。

 この連載でも、相変わらずネット上のコメントは10あったら9が批判とか悪口ばっかりだけど、それでいいじゃんって。興味があるから悪口も言われるわけですから。昔、グレート東郷さんだったと思うんですけど、「流血はリングに咲く花」って言ったんですよ。先輩が残したこの言葉に倣えば、今のオレは「ブーイングはリングに咲く花」っていう心境です。これだけ悪口を書き込まれるってことは、オレの存在が”なんか引っかかる”と思われているからこそだと思ってます。

 今回の試合には、昨年の7度目の引退試合で対戦したケンドー・カシン選手がタッグパートナーに名乗りを上げてくれました。彼も訳のわからない男。だけど、ありのまま自由に生きているところが魅力です。新日本プロレスで育って、一時的に総合格闘技の試合に出たりして育ってきた環境は、オレとは対極。だけど、自由さとプロレスが好きだという部分で似ているところがある。タッグを組むことで新しい化学反応が起きるような予感もしています。

 試合形式は電流爆破デスマッチ。初めてFMWでターザン後藤選手とやったときは、「邪道だ」とか批判されましたけど、今となってはいろんな団体、選手がやっている。それはイコール、オレの発想が認められたってことで、これからも思う存分に電流爆破をやっていきますよ。

「今回の試合の後に何を目指すのか」ってのもよく聞かれますが、佐賀県の神埼市長選へ再出馬する意欲は捨てていません。今も純粋に町づくりをしたい思いに変わりはないからね。これもいろいろ言うヤツはいるけど、前回の選挙でありがたいことに人のつながりができたから、その縁を大切にしたいと考えています。

 魅力ある町づくりって、そこに住む人と協同でやるもんだと思っています。そこが繁栄したり住み心地がよくなったり変わっていくことに力を注ぎたい。地方自治ってみんなの意見に耳を傾ける旗振り役が必要だから、そういった役割で町づくりや都市づくりをやってみたいですね。

 俺は40歳を過ぎてから高校と大学を卒業した、いわばイレギュラーな人間。若い時に勉強しなかった分、知識が足らないところも大いにあります。それに、事務的なことをきちんとやったり、ロジカルにものを作り上げるには不向きだと思っています。だけど、10代のころから海外を渡り歩いたり、プロレス界で名を挙げた経験があるし、人にはない発想力があると自負しています。

 俺だけじゃなく誰にだって、これまでの生きてきた歴史があるし、その中で培ってきたスキルや、身になってる経験がある。俺は自分の持ってる発想力をつかって、地方から日本を元気にする「まちづくり」をしてみたい。いわばこれからの俺のテーマのひとつは、「まちづくりダヨ、人生は!」かな。そのためのイベントの仕掛けも、仲間と徐々にすすめています。

 今までは自分の興行でも他の団体からリングを借りていたんですが、自分でリングを持つことで、夜市で試合をやったり、小学校や老人ホームでプロレスを見せることがやりやすくなる。自分のリングを持って今まで以上にプロレスを草の根的に展開して、老若男女、いろんな人たちに元気と勇気を与えられたらと考えています。だからオレは、「ボランティアレスラー」なんですよ。

 もし3年半後にまた選挙に出馬して市長になったら、「あぁ大仁田ってあきらめなかったんだな」ってなるでしょ。当選したら「市長爆破デスマッチ」をやってもいいかもしれないね。世界広しといえど、そんな市長はいないですよ。オレにはたくさん野望があるから、何があってもめげない。

 実際に行動するからこそ面白いことが起きる。オレは、やりたいことをあきらめた時点で人生はストップすると思っているし、あきらめない人生のほうが面白いじゃん。七転八倒でも構わない。捨てる神あれば拾う神ありで、どんな状態からでも新しい物語はスタートさせられるってことです。

 人生の最終ゴールに何があるかはわからないけど、プロレス好きだから70歳の古希を迎えたときに電流爆破をやっている可能性もあるね。「これが本当の引退じゃぁ」って言ってさ。

 ろくなもんじゃないよね(笑)。でもそれが人生。それが面白いんですよ。