「自分を信じる」をテーマに掲げて今季に挑む宇野昌磨。練習への取り組み方も、昨季より「熱心になった」。その成果を発揮することができるかどうか、いよいよグランプリ(GP)シリーズのスケートカナダが10月26日(現地時間)に開幕する。



グランプリシリーズ初戦スケートカナダに挑む宇野昌磨

 大会前日25日の公式練習。午前中の1回目は、まだすっきりと目覚めていないせいもあるのか、フリー『月光』の曲掛けでジャンプの失敗が目立った。冒頭4回転サルコウで転倒。続く4回転フリップでは両足着氷してリンクにひざをつき、後半の3連続ジャンプでも3本目の3回転フリップで転倒するなど、ミスを連発。それでも、引き締まった表情を見せながらの演技はぴりっとしており、感情が込もっていた。

「調子は普通です。フリップの調子が少し悪い感じですが、サルコウもトーループもまずまず。このごろジャンプの確率が上がってきていて、トーループも自分が求めていた質に近くなってきているのではないかと思います。どうしてか、ですか? 気持ちの持ちようですかね。どうやって練習するか、どうやって練習に取り組むかで、これだけ変わるんだなというのを実感しています」

 練習後にそうさらりと言ってのけた宇野は、20歳を迎えて少し大人びてきた印象がある。練習に対する意識も高くなり、考えながら取り組めるようになったという。

 今年のスケートカナダは、モントリオール郊外にあるラバルという町で初めて行なわれる。会場のプレイス・ベルは昨年できあがったばかりの施設だという。昨年のスケートカナダでも優勝している宇野は、カナダのファンにもおなじみなのだろう。練習中から黄色い歓声はかなりのものだった。

 昨季は時差調整に悩まされていた宇野だが、今季は万全の状態で大会を迎えられそうだ。

「先週の木曜日(18日)に日本を出発して、金曜日から3日間練習して、1日休んで、また今週の火曜日(23日)から練習して3日目です。一応、早乗りしていますけど、前より時差調整にも慣れてきていて、そんなに苦もなく調整できていると思います。(昨季と比べると)ジャンプの調子も日本のときと変わらず、やっと地に足がついて試合に挑めるようになってきたなと思います」

 午後に行なわれた2回目の公式練習では動きもよくなり、ショートプログラム(SP)『「天国への階段』の曲かけでは、冒頭の4回転フリップからキレキレのジャンプを跳んでみせた。トーループの4回転+3回転の連続ジャンプも鮮やかに成功させ、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も大きなジャンプを見せて、ほぼ完璧にプログラムをまとめた。集中した演技は様(さま)になっていて、美しいものだった。

 樋口美穂子コーチは公式練習後にこう話している。

「調子はそんなに悪くないです。少しずつ変わってきて(成長して)いるのは確かかなと思います。毎回毎回の試合で目標を立て、ステップアップしています。悪いときもありますが、それができたらいいと思ってやっています」

 今季初戦のロンバルディア杯ではSP、フリーともに1位の完全優勝で3連覇を飾り、ジャパンオープンではフリーで186.69点を出して男子1位になった。宇野にとってGP初戦となるスケートカナダには、大会連覇を目指す優勝候補の筆頭という立場で臨む。2022年北京冬季五輪に向けた最初のシーズンは、これまでとは違う新しい宇野が見られそうだ。

「ルール改正された今季は、とくに失敗したジャンプは点数がとても下がってしまうじゃないですか。そう考えると、これまでよりもグランプリシリーズで2戦とも上位にいるというのはかなり難しいことになりますけど、自分が練習してきたことを出せれば、おのずと結果はついてくると思っているので、しっかり練習の成果を出したいと思っています。

 もちろん、結果へのこだわりはありますし、GPファイナルに行きたい、より上位を目指したいという気持ちはあります。けれども、自分の演技さえすれば、きっといい結果はついてくるんじゃないかなと思うので、とにかく試合に向けて自分らしい演技ができるようにやっていくだけです」

 昨季から取り組んでいる”質のいいジャンプ”は形になってきており、トリプルアクセルや4回転トーループは着氷が美しく流れるようになってきた。今後は、武器の4回転フリップ、そして4回転サルコウなど、あらゆるジャンプの質をさらによくしていくことが必要となる。

 洗練されてきた演技に美しいジャンプが加われば、今季こそ、大きな舞台で頂点に立てる力を発揮できるだろう。