ともに2連勝で迎えたチャンピオンズリーグ(CL)グループAの首位争い。ドルトムント対アトレティコ・マドリードの一戦は、4-0でドルトムントが圧勝した。 最近のリーグ戦での勢いを見れば、ドルトムントはかなりやれると思われていたが、UEF…
ともに2連勝で迎えたチャンピオンズリーグ(CL)グループAの首位争い。ドルトムント対アトレティコ・マドリードの一戦は、4-0でドルトムントが圧勝した。
最近のリーグ戦での勢いを見れば、ドルトムントはかなりやれると思われていたが、UEFAスーパーカップでレアル・マドリードを下すなど、欧州の戦いに強いアトレティコは、そこまで簡単な相手ではない。だが、試合はドルトムントのワンサイドゲームとなった。
アトレティコ・マドリード相手に得点を重ね、喜ぶドルトムントのイレブン
序盤から様子を見合うのではなく、お互いにプレスに行き、奪ってはまた奪われるの繰り返しとなり、なかなかチャンスらしいチャンスのない、落ち着かない展開だった。そんななかで、徐々に主導権を握っていったのはドルトムントだった。
大型FWのジエゴ・コスタとテクニカルなアントワーヌ・グリーズマンというおなじみのアトレティコの前線に対して、ドルトムントはマルコ・ロイスとマリオ・ゲッツェという生粋のFWではない攻撃的MFが最前線でプレーした。早くもエースストライカーとして定着したスペイン代表パコ・アルカセルが負傷でベンチ入りできなかったためだが、それが逆にどこからでもゴールを狙えるフレキシビリティにつながった。
ドルトムントが先制したのは38分、アクセル・ヴィツェルのミドルシュートだった。相手DFに当たったことでGKの逆をついたラッキーなゴールだったが、ドルトムントがどこからでも得点を狙えるチームであることを示していた。
前半はポゼッションでアトレティコを上回ったドルトムントだが、後半は逆転する。試合トータルではドルトムントの48パーセントに対しアトレティコが52パーセント。後半の立ち上がりから仕掛けたのはアトレティコだった。サウル・ニゲスがたて続けに惜しいシュートを放ち、そのうちの1本はポストの角に当たった。早い時間帯に1?1になっていたら、また展開も違ったのだろう。
だが、得点を重ねていったのは若さと運動量のドルトムントだった。とくに左クロスからチャンスが多く生まれ、73分、アクラフ・ハキミのクロスをラファエル・ゲレイロが決めた。さらに83分には、ゲッツェの出した縦パスに追いついたハキミがラストパスをジェイドン・サンチョに送り3点目。4点目は89分。ゴール前で相手のミスからボールを奪ったゲレイロがそのままシュートした。
先週末は香川真司とともに遠征メンバーに入らなかったゲレイロが、途中出場で2得点し、この試合のヒーローになった。
ロイスは「今日は本当に苦しかった。全員が守備で奮闘し、冷静さを失わずにプレーした」と、試合を振り返っている。
ブンデスリーガで首位を走り、CLでもこれで3連勝と、ドルトムントの好調ぶりが際立っている。しかも、アトレティコのような堅守を誇る相手に4得点したことは、大きな自信となったはずだ。リーグ戦は、4試合で7得点というパコ・アルカセルの爆発的な得点力に助けられてきたところがあったが、それだけではないことをあらためて証明した。
前線だけではない。最終ラインもマヌエル・アカンジ、ダン・アクセル・ザガドゥのコンビだけでなく、アトレティコ戦にアカンジに代わって出場したアブドゥ・ディアロが高いレベルにあることを示した。こうした選手層の厚さも含めて、今季のドルトムントの強さは本物だ。
そうなると気になるのは香川真司の居場所だ。アトレティコ戦後には、ベンチ外の選手たちもピッチに姿を見せたが、その中に香川はいなかった。香川と同じく不遇とされていたゲレイロは完全に復調。病気で戦線離脱していたゲッツェも復活している。
香川と完全にポジションがかぶるゲッツェは、この日、90分間走り切った。かつてのような周囲を動かすだけで自分は動かないプレーヤーではなくなっていた。ルシアン・ファブレ監督のサッカーにフィットしてきたのだろうか。ボールを求めて自分が動き出すこともあるし、プレスも献身的だ。”動けないゲッツェ”のイメージがこの日はまったくなかった。
そんななかで香川はどう存在感を示していくのか。あらためて気がかりになる一戦でもあった。