関東学生選手権(関カレ)4日目に行われた試合は、男子エペ個人と女子サーブル個人。男子エペ個人では、加納虹輝(スポ3=山口・岩国工)が2位、ルーキー増田陽人(商1=岡山大安寺中教校)が3位、安雅人(スポ3=茨城・水戸一)が5位となった。一方…

 関東学生選手権(関カレ)4日目に行われた試合は、男子エペ個人と女子サーブル個人。男子エペ個人では、加納虹輝(スポ3=山口・岩国工)が2位、ルーキー増田陽人(商1=岡山大安寺中教校)が3位、安雅人(スポ3=茨城・水戸一)が5位となった。一方、女子サーブル個人は、佐々木陽菜(社4=東京・大原学園)が、3回戦を棄権で敗退。他の早大女子も入賞を果たすことはできなかった。

☆層の厚い男子エペ。加納が2位、増田が3位に入る(男子エペ個人)

 ベスト8には3人、ベスト4には2人。男子エペ個人は、早大の層の厚さが光った。加納は準々決勝で、4日前の大会で敗北した村山健太郎(法大)と再戦。「警戒して慎重に試合を進めた結果、一本勝負になった」(加納)と、勝負は延長戦にもつれ込む。駆け引きの結果一本を奪取することに成功した加納は、無事準決勝へと駒を進めた。その後準決勝で相手を圧倒し、関カレ連覇を懸けて挑んだ決勝。お互い一歩も譲らない熱戦が続き、試合は準々決勝同様延長戦に入る。この一本を取れば加納の優勝であったが、「自分が思っていることと体の動きが全然一致していなかった」(加納)と、疲れを見せた加納の胸を相手の剣が突く。結果、加納は2位で個人戦を終えることとなった。

 一方準々決勝まで危なげなく勝ち上がってきた増田は、準決勝にて古俣聖(中大)と対戦。「急にレベルが上の人と対戦して、感覚のズレがあった」(増田)と、なかなかシングルでの得点ができない。第2セットの2分32秒にようやく初めてシングルでのポイントを奪うが、このときすでに相手との差は9点。終盤巻き返しを図ったが、6−15で大敗してしまった。迎えた3位決定戦では、終始両者譲らぬ展開となり、延長戦で勝負が決まることに。「4位と3位の差は大きいので、この一本は絶対に取りたい」(増田)。その言葉通り見事一本を取った増田は、チームメイトが見守る客席に向かって大きくガッツポーズした。


初の関カレで3位に食い込んだ増田

 加納が2位、増田が3位、安が5位と、出場者7人中3人が入賞を果たした早大。翌日の団体戦には、このような充実した戦力で挑むことになる。「優勝することが目標というより義務」(増田)。その『義務』を果たし、関カレを連覇する姿を見せてくれることを期待したい。

(記事 藤岡小雪、写真 小原央)

☆女子サーブルは不本意な結果に(女子サーブル個人)

 5人が出場し3人が決勝トーナメントに残った女子サーブル個人だったが、いずれも不本意な結果に。齊藤里羅子(スポ3=山形東)は終始相手にリードを奪われる苦しい戦いを強いられた。第1セットでは1ー8と大差をつけられ、第2セットではなんとか5点を返すも力及ばず6−15と大敗。村上万里亜(スポ1=愛媛・三島)も序盤は相手に主導権を握られる形となり一時4−9と厳しい差をつけられた。途中3連続で得点を奪うなど粘りも見せたが巻き返しかなわず、決勝トーナメントのベスト32で敗退する悔しい結果に。


粘りを見せた村上

  エース佐々木はトーナメント初戦こそ危なげなく突破したものの、その後の試合については大会前から抱える故障のため、大事をとって棄権を選んだ。とはいえこの棄権は予め予定されていたもので、全日本学生選手権(インカレ)の出場権は確実に手にすることができた。この先出場を予定するワールドカップとインカレに向けて、コンディションの回復が待ち望まれる。

 佐々木は、次戦を見据えて棄権したが、他の早大選手は残念ながら上位に残ることができなかった。しかし、このままでは終われない。秋の試合は始まったばかりだ。次の団体戦、インカレ向けて、挑戦は続く。

(記事 青柳香穂 本野日向子、写真 小原央)

 ※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

 ※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。




結果

▽男子エペ

加納虹輝(スポ3=山口・岩国工) 2位

2回戦:◯15-5 林優志(東大)

3回戦:〇15-9 毛利凌乙(明大)

4回戦:◯15-6 十河昌也(早大)

準々決勝:〇11-10 村山健太郎(法大)

準決勝:〇15-6 田村昌之(慶大)

決勝:●11-10 古俣聖(中大)

増田陽人(商1=岡山大安寺中教校) 3位

2回戦:◯15-7 中埜匡貴(早大)

3回戦:〇15-7 赤羽郁海(慶大)

4回戦:◯15-9 吉田優希(東農大)

準々決勝:〇15-7 古田育男(日体大)

準決勝:●6-15 古俣聖(中大)

3位決定戦:◯13-12 田村昌之(慶大)

安雅人(スポ3=茨城・水戸一) 5位

2回戦:◯15-6 小河舜矢(国学院大)

3回戦:〇15-14 小野真英(早大)

4回戦:◯15-10 吉永亘佑(日体大)

準々決勝:●13-15 古俣聖(中大)

十河昌也(スポ3=香川・三本松) 16位

2回戦:◯15-10 中島直輝(日大)

3回戦:〇15-11 清水雄大(慶大)

4回戦:●6-15 加納虹輝(早大)

小野真英主将(スポ4=埼玉栄) 24位

2回戦:◯15-3 箕輪大夢(学習院大)

3回戦:●14-15 安雅人(早大)

中埜匡貴(創理3=東京・早大学院) 54位

2回戦:●7-15 増田陽人(早大)

伊藤悠貴(スポ1=三重・津) 72位

1回戦:●10-12 清水駿斗(拓大)

▽女子サーブル

佐々木陽菜(社4=東京・大原学園) 12位

2回戦:◯15-11 佐藤萌美(専大)

3回戦:●0-15 安田早希(日大)※棄権

齊藤里羅子(スポ3=山形東) 18位

2回戦:●6-15 林秋香(日大)

村上万里亜(スポ1=愛媛・三島) 31位

1回戦:◯15-13 竹見佳乃香(日体大)

2回戦:●11-15 田崎里花子(東女体大)

佐野友香(スポ3=静岡・沼津西) プール戦敗退

服部美優(文1=千葉・東葛飾) プール戦敗退

コメント

加納虹輝(スポ3=山口・岩国工)

――個人戦2位という結果になりましたが、今のお気持ちは

連覇は狙っていましたが、個人的に団体戦の方が重要だと思っているので、団体戦では個人戦以上に頑張りたいという気持ちです。

――準々決勝では延長戦を制しましたが

ランキングマッチ(シニアエペランキングマッチ)で負けていたので、警戒して慎重に試合を進めた結果、一本勝負になりました。ああいう展開になるのは予想していたので、勝てたのはラッキーでした。

――決勝は延長戦で一本を取られて敗北してしまいましたが、敗因は

敗因は、自分が思っていることと体の動きが全然一致していなかったことです。疲れていたということもあるんですけど、自分は何をやっているんだろうという動きをして負けてしまいました。

――夏のアジア大会についてもお聞きしたいと思います。個人戦では銅メダルを獲得されました。メディアなどのインタビューでは、悔しいとおっしゃっていましたが

その後団体で金メダルと取ったので、それが個人戦のことを忘れてしまうぐらい(笑)、うれしかったです。

――その団体戦では史上初の金メダルを獲得し、ご自身は最後回りも務めました

最終的な目標は東京五輪で金メダルを取ることなので、まだアジア大会は途中経過というか。東京五輪への段階のうちの1つとしか考えられていないので、東京でも(金メダルを)取ろうという気持ちでした。

――団体戦への意気込みをお願いします

昨年も優勝しているので、連覇したいです。僕はインカレ(全日本学生選手権)に出られないですけど、インカレ、全日本(全日本選手権)団体へとつなげていける試合にしていきたいと思います。

増田陽人(商1=岡山大安寺中教校)

――今大会の目標を教えてください

最低限はインカレ(全日本学生選手権)に出ること。また、ベスト8で来年のシードを取ることを、小目標、中目標にしていました。優勝するということを1番の目標にしてやっていました。

――準決勝では、中盤までシングルでの得点がなく、苦しい展開が続いたが、振り返っていかがですか

ちょっと焦りすぎた部分があったと思います。結構、僕の山は良くて、順調に上がって行ったのですが、急にレベルが上がる人とやって、その時の感覚のズレみたいのがありました。それで、攻め急いだ感じを出してしまったのでもう少し落ち着いてやりたかったと思います。

――3位決定戦では延長戦を制しましたが振り返っていかがですか

4位と3位の差は大きいと思っているので、そこの1本は絶対に取りたいという気持ちでした。

――初の関カレで、3位という結果は嬉しいですか、それとも悔しい部分が大きいですか

(準決勝で)6−15でやられているので、3位にはなれたのですが、大事なところで勝てていないというのがあるので、悔しさの方が大きいです。

――ベンチに小野選手がいましたが、何かアドバイスをもらっていましたか

自分の思っているフィーリングと第3者のフィーリングは違うので、第3者の目線のフィーリングを色々教えてくれました。それが最後(3位決定戦での延長戦)の1本につながったかなと思います。

――あしたの団体戦に向けて何か一言をお願いします

先輩たちが皆強くて、どの人が出ても強いチームになっているので、絶対優勝することが目標というか義務のような感じです。あしたは絶対優勝するという気持ちで頑張ります。

佐々木陽菜(社4=東京・大原学園)

――今日の試合にはどのような目標を持って臨みましたか

もともと棄権するつもりだったので全然高い目標は設定してなくて、まずは予選全勝してシードだといきなりベスト32に入れて、それでインカレの出場権が得られるということを知っていたので。予選全勝して少しでもいいあがりでトーナメントに入れたらいいなということだけを考えていました。

――棄権を決めることになった理由は

右足のシンスプリントと鵞足(がそく)炎でずっとフェンシングができず、2週間後にワールドカップと帰国してすぐにインカレがあるので、そっちの方を優先したいなと思って今は無理をしないという風に決めました。

――明日の団体戦には出場しますか

団体には2回戦くらいまでは出ます。

――次に個人戦に出るのはいつになりますか

ワールドカップになると思うのでそれに向けて練習していきます。