「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

 創部15年目で初の甲子園出場を果たした福岡県の折尾愛真。元は女子高だった。その野球部の背番号「10」の主将が松井だ。ここの野球部の伝統で「チームの中心選手」ということで主将が「10」番をつけるようになったのだという。
 
 北福岡大会でチームで10本のホームランを記録した。これは今夏、星稜とともに地方大会最多。奥野監督の「打って点を取らないと勝ちにならない」という打撃優先の方針が実を結んだ。バッティングのチームの象徴が高校通算40発の「10」番。スペック満点のドラフト候補なのだ。

 まずその体格。生まれた時の体重が4000グラムで、中学入学時には既に身長180センチあって、2年で190センチに達したという。
 炭鉱の町、福岡県田川市生まれ。小学校2年で野球を始め、中学校で部活の軟式野球部。投手と捕手もやった。
高校では1年春からベンチ入りし、夏はショートで4番。いきなり県大会の初戦でホームランを放った。秋には3番でレフトを守った。3年春の地区大会、1ホームラン、8打点。決勝では九州国際大付に勝って、注目度が上がった。今夏の北福岡大会の真颯館との2回戦で120メートルの場外ホームランを放っている。

 北福岡大会には9球団19人のスカウトが集結するとゲームもあった。6試合で25打数8安打、1ホームラン6打点を残した。
 そして乗り込んだ100回目の夏。初戦の相手は同じく強打の日大三。しかし歯が立たず3対16。松井は3番に座って1回表、先制点につながるライト前ヒットを放った。このヒットはバットコントロールの巧さが出たもの。だが、初回に7点を失って逆転されてしまっては追いつけなかった。

 名字から連想されることをあえて言うまでもないが、元ヤンキース・松井秀喜になぞらえて「九州のゴジラ」と言われてきた。
右投げ左打ちでサードを守り、体格も重なる。なんといっても高校生としては並外れたホームランバッター。
「糸井(阪神)、柳田(ソフトバンク)のような強さがある。それでいてコンパクトなスイング」というスカウト評だ。大きい体格ながら身のこなしは俊敏。50メートル6秒2で走る。外野もできる器用さ、対応力もある。強肩でピッチャーをやっても140キロのスピードボールを投げる。

 バッティングフォームは右足を高く上げ、タイミングを取る。軽く振ってミートを心がけるが打球の速さがある。
「甲子園は自分たちの力以上のものが出て、また、持ってる力の出ない場所でした」。甲子園を去るときにこう言った。知的でスマートで人間性も深い、と感じた。5敬遠でも泰然とした本家ゴジラもそうだったように。

(文・清水岳志)

TBSテレビ「プロ野球ドラフト会議」番組公式サイト
http://www.tbs.co.jp/baseball-draft/