新しいメンバーが加わってから約半年。大学で最高峰の舞台である全日本選手権(インカレ)が、お馴染みの長瀞射撃場で開催された。学連の試合で最後の大会であるため、4年生にとっては特に思い入れの強い4日間になっただろう。女子部は目標の総合優勝を果…

 新しいメンバーが加わってから約半年。大学で最高峰の舞台である全日本選手権(インカレ)が、お馴染みの長瀞射撃場で開催された。学連の試合で最後の大会であるため、4年生にとっては特に思い入れの強い4日間になっただろう。女子部は目標の総合優勝を果たすことができず総合団体3位。男子部は、入賞はしなかった。しかし、男女ともに点数が伸びた選手が多く、おのおのの成長を感じられる結果であった。

 大会3日目、10m立射60発部門のファイナルには、関東学生選手権秋季大会と同様に、千葉朔海(スポ4=埼玉・栄北)、前田留那(スポ1=埼玉・栄北)が出場した。ファイナルでは、序盤から10点台を出したいところだが、千葉は所々9点台を出し、2ndステージの始め(11発目)は5位についていた。前田は15発目まで千葉より上の順位だった。しかし、本戦とは違って大勢が見守るファイナルではやはり緊張し、構えが揺れてしまった。16発目で9点台を撃つと周りと差がつき、18発目で5位に決定。千葉は17発目から3発連続で10.7点を撃つと上位にはい上がり、会場がどよめく。最後の2発の時点で、1位との差はわずか0.3点。後半の追い上げがあったため優勝する可能性はあったが、最終弾で外してしまい、2位でフィニッシュ。本競技で3連勝を果たすことはできなかった。


5位でフィニッシュの後、満足のいかない表情を浮かべた前田

 最終日、50m三姿勢のファイナルに臨んだ千葉は、膝射と伏射を終えた時点ではトップの阿部有沙(同大)と1.3点差。立射で差を詰めたい千葉であったが、「上手く噛み合わなかった」と逆に差を4.4点差に広げられてしまう。しかし、高校の後輩である阿部有沙(同大)には「絶対に負けたくない」と集中力を高める。立射シリーズでは2位を保っていたが、サドンデス式に入ると10点台を連発する。阿部が撃った最終弾は8.5点。その後に千葉は10.7点を撃ち、見事逆転優勝を掴み取った。前日に行われた10m立射ファイナルで勝てなかった悔しさをバネにして手に入れた勝利であった。


点差がつき、一度立ち位置を確認する千葉

 全体の結果としては悔しさが残るが、それぞれがベストを尽くして終えた大会だった。千葉が、10m立射ファイナルの選手紹介で「(来月に行われる)早慶戦(早稲田大学・慶応大学定期戦)も応援してね」と語ったように、ワセダの戦いはこれで終わりではない。早慶定期戦では悔いを残さず4連覇し、有終の美を飾りたい。

(記事 成澤理帆、関飛人 写真 柴田侑佳、菅沼恒輝)

全出場選手結果

【男子10m立射60発競技】

▽団体 1762.2点

橋本龍太朗 603.3点

梅津  怜 586.7点

北嶋 亮太 572.2点

▽個人

加藤  東 579.9点

濱本 和樹 574.7点

波多 秀馬 571.2点

井手 悠太 566.4点

【女子10m立射60発競技】

▽団体 1840.2点(4位)

千葉 朔海 618.1点 ※ファイナル245.6点 個人2位

前田 留那 615.6点 ※ファイナル184.1点 個人5位

田中 美沙 606.5点

▽個人

加藤 モナ 609.9点

平田  華 604.3点

満井 菜月 588.6点

大芝 嶺花 563.7点

【男子50m伏射60発競技】

▽個人

北嶋 亮太 603.9点

橋本龍太朗 597.4点

【女子50m伏射60発競技】

▽個人

千葉 朔海 611.9点

加藤 モナ 598.5点

【男子50m三姿勢120発競技】

▽団体 3275点(9位)

橋本龍太朗 1109点

北嶋 亮太 1089点

波多 秀馬 1077点

【女子50m三姿勢120発競技】

▽団体 3368点(4位)

千葉 朔海 1143点 ※ファイナル446.9 点 個人優勝

田中 美沙 1120点

加藤 モナ 1105点

▽個人

平田  華 1128点

【女子エアピストル10m立射60発競技】

▽個人

高木  薫 535点

1部男子総合団体 5037.2点
1部女子総合団体 5208.2点(一部校内3位)

千葉朔海(スポ4=埼玉・栄北)

――50m三姿勢のファイナルを振り返っていかがですか

最初の方があまり調子が良くなかったです。後半の方で当たって良かったです。

――伏射の最終シリーズは高得点でしたが、立射の1シリーズ目で8点台を撃ったことについては

ファイナルの伏射はどうしても練習時間が足りないので、最後の方はちゃんと自分に合ったフォームで撃てたんですけど、S(立射)も姿勢転換してからすぐ(本射)だとなかなか上手く撃てなくて。上手く噛み合えばいいんですけど。

――41発目で立ち位置を確認していましたね

そうですね。ずれているなと思ったので。

――そのときトップにいた阿部有沙選手(同大)とは4.4点差ありました

その子が高校の後輩なので、絶対負けたくないと思って撃っていました。

――10m立射ファイナルについては

今回負けたのは完全に自分のミスです。最終弾を外しちゃったのが完全に自分のミスです。

――惜しくも3連勝はできませんでしたが、いまのお気持ちはいかがですか

やっぱり悔しいですね。悔しい分、きょう(50m三姿勢のファイナルで)勝てて良かったです。

――今大会は最後の学連試合でした

4年間、最初は長いなと思ったんですけどあっという間だったので、これで会えなくなっちゃう人がいるのが寂しいです。

――目標の総合優勝はできませんでしたが

今年は総合優勝を狙っていたので、悔しくはあるんですけど、それぞれレギュラーの子たちがベストを撃ってくれたので良かったです。来年に期待しています。

――来月の早慶定期戦の目標は

早慶戦は今のところ全部勝っているので、今年も団体優勝で、個人も優勝できたらいいなと思っています。

前田留那(スポ1=埼玉・栄北)

――ファイナルを振り返っていかがですか

自分的には満足できなかっなたと思います。点数が低いというのもありますが、その前にしっかり構えられていなくて、それでいつも通りの射撃ができていませんでした。

――原因は何ですか

ファイナルは緊張するので、毎回ファイナルに出ると揺れるのですが、その中でもしっかり真ん中に撃てなかったのが良くなかった点です。

――途中、4年生の千葉選手より上の順位に立っていました

モニター見てなくてあまり気にしていなかったんですけど、アナウンスを聞いて下に千葉さんがいると気づきました。学連試合では最後なので勝ちたいなとは思ったんですけど、だめでした(笑)。

――来月の早慶定期戦の目標は何ですか

勝ちたいです。

――来年の学連試合に向けて意気込みをお願いします

他大の同期とかで仲良い人が多くて、その人たちも上手いので負けないように頑張りたいです。