来年、ポーランドで開かれるU-20ワールドカップのアジア最終予選を兼ねた、アジアU-19選手権が開幕。日本のグルー…
来年、ポーランドで開かれるU-20ワールドカップのアジア最終予選を兼ねた、アジアU-19選手権が開幕。日本のグループリーグ初戦がインドネシア・ボゴールで行なわれ、北朝鮮を5-2で下した。
前半19分までに2点を先制しながら、今度は逆に、前半36分からの6分間で2点を失う慌ただしい試合展開。日本代表とはいっても、19歳以下のチームなのだから、やむを得ない面はあるにしても、前半は若さゆえの拙(つたな)さを露呈した格好だった。
FW久保建英(横浜F・マリノス)が振り返る。
「2-0になったとき、思っているほどではないにしろ、どこかでみんな、気の緩みがあった。そう言い切るわけじゃないが、結果(相手に)2点取られているので、どうしても結果だけ見るとそうなってしまう」
試合序盤の日本は、すべての面で北朝鮮を上回っていた。ところが、2点を先制したあとの前半25分あたりから攻撃が雑になり、簡単にボールを失うケースが目立ち始めた。次第に、北朝鮮がボールを保持する時間が長くなり始めていたのは間違いない。
やらずもがなの2失点ではあったが、試合の流れを考えれば、それは決してアンラッキーな事故が引き起こしたものではなかった。
前半の残り時間は、ロスタイムを含めても5分あまり。そんな時間帯に追いつかれてハーフタイムを迎えたのだから、日本にとっては最悪の展開だったはずである。
しかし、選手たちは動じなかった。日本は強かった。
というより、むしろ拙い試合運びが、結果的に日本の選手たちの高い能力をより際立たせたと言ってもいい。現在の19歳以下の世代は、タレントがそろった世代として高い評価を受けているが、それが伊達でないことをピッチ上で証明した。

鮮やかなFKを決めるなど、チームの勝利に貢献した久保建英
実際、この試合で日本が奪った5ゴールは、どれもスーパーゴールばかりだった。
MF伊藤洋輝(ジュビロ磐田)がミドルシュートを、久保が直接FKを、いずれもゴールまで30m近い距離から決めた2、3点目は言うまでもないが、カウンターからドリブルで独走し、無駄のないステップでDFをかわして決めたFW宮代大聖(川崎フロンターレU-18)の4点目にしても、実に鮮やかなゴールだった。
もちろん、久保がFW斉藤光毅(横浜FCユース)に絶妙なスルーパスを通した1点目、MF安部裕葵(鹿島アントラーズ)がゴール左スミにミドルシュートを叩き込んだ5点目にしても例外ではない。彼らは一様に、難度の高いゴールを易々と決めて見せた。
終わってみれば、過去6回のこの大会で優勝2回、準優勝1回の難敵から、5ゴールを奪っての圧勝である。
「それぞれの選手が思うところがあると思うが、自分としては強烈な個がそろっているチームだと思うので、その選手が自分のできることをやったのかなという感じ」
スーパーゴールの連続にも、久保は淡々とそう振り返ったが、影山雅永監督はさらなる期待を膨らませながら、ピッチ上の選手たちを頼もしく見ていたという。
「それぞれの選手の個性を理解してゲームをするということで言えば、このチームには冷静にボールを運べる選手が多いので、そこにああいう個人が持っているスーパーなものがもっとミックスされていくと、強くて、うまくて、戦えるチームに、もっともっと育っていくんじゃないか。そんなことを思って見ていた」
加えて言えば、この世代の選手たちが期待されているのは、将来だけではない。すでに現在、昨季J1デビューを果たしているFW田川亨介(サガン鳥栖)をはじめ、それぞれの所属クラブでポジションをつかみ取り、J1やJ2での出場経験を重ねている選手が、過去の同世代と比べても多いのだ。
影山監督は、同点に追いつかれて迎えたハーフタイムを振り返り、「思った以上に、選手たちは冷静に自分たちを見ることができていた。だから、後半からもう一回、冷静にスタートすることができたと思う」。
そして指揮官は、それが可能になった理由についてこう続ける。
「彼らは日本(J1やJ2)で試合に出ている選手も多く、いろんな経験をしてきているのが大きい。このチーム(U-19代表)はたまにしか集まらないので、ここではそんなにいろんな経験はできない。日常の環境のなかで経験しているものが大きいんじゃないかなと思う」
グループリーグ突破を争うライバルを相手に、一度は自滅に近い形で主導権を手放した。ピッチ上には、少なからず嫌なムードが漂った。
にもかかわらず、日本の選手たちは何事もなかったように、それをあっさりと吹き飛ばしてしまった。両チームの間にある実力差を、スコア以上に感じさせる強さだった。
グループリーグ第2戦は、10月22日に行なわれるタイ戦。U-19日本代表は、次戦以降に大きく期待が膨らむ戦いぶりで、世界へと続く戦いをスタートした。