2018-2019シーズン展望@ウェスタン・カンファレンス編 10月16日(日本時間10月17日)、2018−2019シーズンのNBA が開幕。今季もゴールデンステート・ウォリアーズが優勝すれば、史上5チーム目の3連覇(スリーピート)達成と…

2018-2019シーズン展望@ウェスタン・カンファレンス編

 10月16日(日本時間10月17日)、2018−2019シーズンのNBA が開幕。今季もゴールデンステート・ウォリアーズが優勝すれば、史上5チーム目の3連覇(スリーピート)達成となる。その偉業を阻止するチームは現れるのか? まずは今季のウェスタン・カンファレンスから展望してみたい。


ウォリアーズのスターターは

「チームUSA」とも言える顔ぶれとなった

 近年のNBAの流れそのままに、望む望まざるにかかわらず、今年のオフも多くのスター選手たちがユニフォームを着替えた。

 その筆頭と言えるのが、地元クリーブランド・キャブスを離れて名門ロサンゼルス・レイカーズに移籍したレブロン・ジェームズ(SF)だろう。イエロージャージーに袖を通したレブロンは、「このチームが偉大な歴史を築いてきたことは、誰もが知っている。数々の優勝、このユニフォームを着て活躍した数々の選手たち、そのことを考えるだけで胸が高鳴る」と語った。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 もちろん、新たなチームでのチャレンジが簡単ではないことも知っている。王者ウォリアーズに対してレブロンは、「彼らを捕らえる道のりは長い」とも語った。

 レブロンを獲得できたものの、レイカーズには誤算もあった。今オフに獲得できると目論んでいたポール・ジョージ(SF)がオクラホマシティ・サンダーに残留したからだ。それを受けて評論家のチャールズ・バークレーは、「最高のシナリオでも、第5もしくは第6シード」とレイカーズを位置づける。

 しかし、レイカーズはマジック・ジョンソン球団社長のお気に入りであるブランドン・イングラム(SF)やロンゾ・ボール(PG)といった若手が軒並み急成長を遂げている。さらに来年オフにはアンソニー・デイビス(ニューオーリンズ・ペリカンズ/PF)の獲得も噂されており、名門復活はもはや時間の問題だろう。

 一方、昨季のカンファレンス・ファイナルでウォリアーズに3勝4敗で敗れたものの、王者の背中に手をかけたヒューストン・ロケッツは、さらなる補強で攻撃力を増した。ベテランのカーメロ・アンソニー(SF)を獲得したことにより、自慢の得点力はさらに高まるだろう。

 しかしながら、トレバー・アリーザ(フェニックス・サンズ/SF)やルック・バ・ア・ムーティ(ロサンゼルス・クリッパーズ/SF)といったディフェンスを得意とする2選手を放出。それが吉と出るか、凶と出るか。「打倒ウォリアーズ」に執念を燃やすダリル・モーリーGMは、「今季はかなり高い確率でウォリアーズを倒せる!」と怪気炎を上げているのだが……。

 また現在、オールスター選手であるジミー・バトラー(ミネソタ・ティンバーウルブズ/SG)がチームにトレードを要求している。そのトレード先の有力候補として囁(ささや)かれるチームのひとつがロケッツだ。

「来夏FAとなるバトラーを見返りなしで手放すよりは……」と、ウルブズがそう思うのも十分に考えられる。2月のトレード期限までにバトラーを手放す可能性は高いのではないだろうか。バトラーがロケッツに加入するようであれば、王者ウォリアーズと伍する戦力となるのは間違いない。

 ただ、王者ウォリアーズも現状維持の戦力で今季を迎えようとしているわけではない。むしろ、さらなるパワーアップを果たした。今オフのFA目玉選手、デマーカス・カズンズ(C)を獲得したからだ。

 カズンズの去就は当初、「5年1億5000万ドル(約166億円)でニューオリンズ・ペリカンズとの再契約が濃厚」と言われていた。だが、昨シーズンにアキレス腱を断裂し、リハビリからの復帰が来年1月予定ということがネックとなり、どのチームも契約に二の足を踏んだ。

 どこからもオファーは来ないことに業を煮やしたカズンズは、自らエージェントに「ウォリアーズに連絡を入れてくれ」と提言したという。結果、1年530万ドル(約5億9000万円)という格安な年棒でカズンズはウォリアーズの一員となった。

 カズンズが復帰を果たせば、ウォリアーズのスターターは、ステファン・カリー(PG)、クレイ・トンプソン(SG)、ケビン・デュラント(SF)、ドレイモンド・グリーン(PF)、そしてカズンズと、まるで「チームUSA」のようなラインナップとなる。カズンズがフィットするかどうかは別問題として、顔ぶれだけを見れば「NBA史上最強」と言っても大げさではないだろう。

 他のチームで今季、ウェスタンでプレーオフ争いに食い込んできそうなのは、昨季最優秀守備選手のルディ・ゴベール(C)を軸に2季連続でリーグ最少失点のユタ・ジャズ、ポール・ジョージが残留したサンダー、カール=アンソニー・タウンズ(C)とアンドリュー・ウィギンズ(SF)の次世代スターを擁するウルブズなどが注目だろう。

 それらとは対照的に、崖っぷちの状況に立たされているのがサンアントニオ・スパーズだ。21年連続でプレーオフ進出中の常勝軍団は、36歳となったトニー・パーカー(PG)がシャーロット・ホーネッツへ、カワイ・レナード(SF)とダニー・グリーン(SG)がトロント・ラプターズへ移籍。そして41歳となったマヌ・ジノビリ(SG)もついに引退した。

 オールスター選手のデマー・デローザン(SG)こそ加えたものの、期待の若手ディジョンテ・マリー(PG)がプレシーズンゲームで右ひざ前十字じん帯を断裂。今季の出場が絶望的となった。来年春のプレーオフは約四半世紀ぶりにスパーズ不在となる可能性が高まりつつある。

 最後に、粒ぞろいなルーキーたちも紹介しておきたい。

 今季のドラフト1位のディアンドレ・エイトン(フェニックス・サンズ/C)は、216cmの長身ながらスキルと機動力を兼ね備えたビッグマンだ。プレシーズンゲームでも10月2日のサクラメント・キングス戦で24得点・9リバウンド・3ブロック。6日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では19得点・14リバウンド・3ブロックと早くも存在感を示している。

 ドラフト1巡目3位で指名されたスロベニア出身のルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス/SG)は、昨季のユーロリーグMVPを獲得した19歳のオールラウンダー。チームメイトとなったダーク・ノビツキー(PF)は「彼には信じられないほどすばらしい才能がある」と絶賛し、「19歳時点の自分より上」と太鼓判を押す。

 日本のバスケファンの期待を背負う渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ/SF)は10月7日のプレシーズンマッチのインディアナ・ペイサーズ戦で、試合終了残り7秒に決めた同点の3ポイントを含む11得点3リバウンド1ブロックと活躍し、開幕ロスター入りが決定した。グリズリーズが17選手(15選手+2ウェイ契約の2選手)を開幕ロスターに登録したため、開幕戦は試合に出場資格がある13人からは漏れる可能性が高いものの、2004年の田臥勇太以来、日本人選手ふたり目となる公式戦出場は時間の問題だろう。

「キング」レブロンがキャブスからレイカーズに移籍してきたことにより、さらにハイレベルな戦いが繰り広げられることが確定的なウェスタン・カンファレンス。ウォリアーズのスリーピートを阻止するチームは現れるのか、激戦のウェスタンに注目したい。

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