いよいよ始まるクライマックスシリーズ(CS)。パ・リーグのCSファーストステージはヤフオクドームでシーズン2位のソ…

 いよいよ始まるクライマックスシリーズ(CS)。パ・リーグのCSファーストステージはヤフオクドームでシーズン2位のソフトバンクと3位の日本ハムが対戦。その勝者がメットライフドームでパ・リーグの覇者・西武と対戦する。2011年以降、シーズン優勝チームがCSを制しているパ・リーグだが、今年も順当に西武が勝利するのか。それとも下剋上は起きるのか。現役時代にプレーオフを経験のある解説者の斉藤和巳氏にパ・リーグCSを解説してもらった。



斉藤和巳氏が7番に起用すれば面白いと語るソフトバンクのデスパイネ

 ファーストステージが最大3試合、ファイナルステージが6試合と考えると、クライマックスシリーズ(CS)のカギはやはり投手陣が握っていると見ています。

 シーズンでは3位の日本ハムが13勝12敗と勝ち越していますが、対戦成績がほぼ互角と判断すると、ファーストステージはやはり2位のソフトバンクに分があるように思います。

 第一に投手陣の豊富さです。一部報道ではミランダが初戦を任されるのではないかと言われていますが、彼を含め千賀滉大、東浜巨(なお)、バンデンハークと頭数は揃っている。

 しかも、右の武田翔太と左の大竹耕太郎は、シーズン終盤にリリーフで数試合投げさせている。そうなると、ファーストステージではロングリリーフ要因として待機させ、ファイナルステージでどちらかを先発させる算段がすでについていることになります。

 短期決戦において、先発陣が早々に降板した際のことを想定するならば、このプランニングがうまく機能すれば大きい。ロングリリーフをこなせる石川柊太(しゅうた)はシーズン終盤に打ち込まれるシーンもありましたし、加治屋蓮もリーグ最多の72試合でに投げたとはいえ、防御率3点台と心もとない。抑えの森唯斗(ゆいと)までつなぐためには、やはり大竹と武田の存在は重要なのではないかと考えています。

 日本ハムはチーム防御率こそCS出場チームのなかでトップの3.77を記録していますが、やはりソフトバンクと比べると層の薄さは否めません。

 ファーストステージの2戦目までは、リーグ防御率上位で2ケタ勝利を挙げている上沢直之とマルチネスを先発させるでしょうが、ふたりとも3点台と抜群の安定感を誇っているわけではない。

 ただ上沢は、ソフトバンク戦は4勝2敗、防御率2.20と相性がいいですし、マルチネスも1勝2敗と負け越していますが、防御率は1.86と安定している。チームとしては、できれば連勝でファイナルステージに進みたいと考えているはずです。

 というのも、日本ハムの先発は3枚目以降が薄い印象があります。シーズンの流れでいくと、3戦目は有原航平か加藤貴之が投げると思われますが、有原は9月15日から投げていないこともあり不安がある。そうなると、ファーストステージはロングリリーフを視野に入れているかもしれない。

 そのあたりの戦略を、栗山(英樹)監督は考えているはず。先発ができるだけ長いイニングを投げ、抑えの石川直也までつなぐことができれば、勝機は見えてくるでしょう。

 ソフトバンク打線はシーズン200本塁打以上を記録していますが、得点は優勝した西武と100点以上も離されているということは、一発に頼って勝ってきた試合が多いということ。事実、規定打席に到達した選手で、得点圏打率が3割以上のバッターは柳田悠岐しかいません。

 8月に9連勝をした時期はしっかりとタイムリーも出ていた。打線がつながらなければ相手投手陣に抑え込まれる恐れは十分に考えられますし、大味な攻めが続けば作戦を読まれてしまう危険性もあるわけです。

 打線のつながりを考えるのであれば、普段は中軸を任されているデスパイネを7番あたりに据えると面白い。いくら29本塁打を記録しているとはいえ、打率.238はさすがに低すぎる。打線の流れと一発の怖さを相手に印象づけるのであれば、デスパイネは下位で伸び伸び打たせたほうが、短期決戦では力を発揮してくれるかもしれません。

 一発の怖さで言うのなら、日本ハムはやはりレアードの故障が痛い。長打が期待できるバッターを欠いたことで、多少なりとも相手投手を気分的に楽にさせてしまいます。代わりに出場する横尾俊建や清宮幸太郎も一発があるとはいえ、年間30発打てるレアードと比べると見劣りしてしまう。

 ただ、日本ハムにはソフトバンクにない機動力がありますから、特に下位打線にはそのあたりを発揮してもらいたい。9番の中島卓也あたりが、持ち味の粘りでファウル、ファウルと相手ピッチャーに球数を多く投げさせることができれば、後々ボディブローのように効いてくるはず。

 7番、8番が出塁し、中島が粘ってフォアボールと、ランナーを溜めることができれば、得点能力のある上位打線につなげますから、一気に大量得点のチャンスも生まれてくる。日本ハムがそういう点の取り方ができれば、面白い展開になると思います。

 ファイナルステージでは、異なる得点パターンを持っているソフトバンクと日本ハムに対して、西武投手陣がどう抑えるか? そこがポイントになってくるはずです。

 今年の西武はチーム防御率が12球団中11位の4.24が示すとおり、打線に助けられて勝ってきたイメージが強い。過去で例を挙げるならば、1985年の阪神(チーム打率.285、219本塁打、防御率4.16)や2001年の近鉄(チーム打率.280、211本塁打、防御率4.98)のようなチームです。

 そうなると、やはりエース・菊池雄星の出来が勝敗を左右するでしょう。多和田(真三郎)は16勝を挙げ最多勝を獲得しましたが、安定感と過去の実績から判断しても、チームとしては初戦をエースに託したいところ。

 よく「短期決戦は2戦目が大事」と言う監督さんもいますが、CSの場合、優勝チームの1勝のアドバンテージを考慮すれば、菊池で勝てれば連勝と同じ。このあとに投げると予想される多和田、榎田大樹、今井達也の精神的負担も軽減できますし、左、右、左、右と投手のタイプとしてもバランスがいい。西武は絶対的な救援陣がいませんから、先発陣の頑張りがカギになるでしょう。

 かたや打線は、圧倒的な破壊力があります。チーム792得点と打率.273は、いずれも12球団トップ。さらに、レギュラーが「オール生え抜き」「オール日本人」で形成されているところも、打線の連帯感を生んでいるような気がします。

 それは、辻(発彦)監督の「ミスは大目に見るから、とにかく打ってくれ」というおおらかな方針が、プラスに作用した証拠でしょう。開幕してから打線が好調で、誰もが「いつか落ちるだろ」と予想したなかでも打ち続けた。その勢いをCSでも維持できるか? そこはとても楽しみなところです。

「いつもどおりの西武」を発揮するカギは、何と言っても秋山翔吾と源田壮亮の1・2番コンビの出塁です。

 源田はシーズンで9番を打つこともありましたが、CSでは2番に座るはず。132個のチーム盗塁数が物語るように、ふたりはバッティングのみならず機動力もあります。上位でチャンスを広げて浅村栄斗、山川穂高の強力クリーンアップにつなぐ、理想の形を数多くつくっていければ、順当に日本シリーズまで駒を進められるはずです。

 パ・リーグに関しては、2010年のロッテ以降、優勝チームがCSを勝ち抜いています。ただ、短期決戦は一発勝負の世界。去年のセ・リーグのように3位のチームが日本シリーズに進出しても不思議ではありません。

 投手陣の層が厚いソフトバンクが相手打線を抑え、一発が魅力の打線が機能する。日本ハムならば先発陣が踏ん張り、打線も機動力などの小技を駆使して粘り勝つ。それぞれのチームカラーを最大限に発揮することができれば、「下剋上」も十分に考えられます。それがCSの面白さです。