混戦の東京ブロック。2日間にわたり繰り広げられた熱い闘いが幕を閉じた。早大からは、前日に続き男子に石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)、女子に永井優香(社2=東京・駒場学園)が出場。両者とも4位につけ、東日本選手権に駒を進めたが、悔しさの残る…

混戦の東京ブロック。2日間にわたり繰り広げられた熱い闘いが幕を閉じた。早大からは、前日に続き男子に石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)、女子に永井優香(社2=東京・駒場学園)が出場。両者とも4位につけ、東日本選手権に駒を進めたが、悔しさの残る大会となった。

 昨日のSPで4位につけ、最終グループでの登場となった石塚玲雄(スポ1・東京=駒場学園)。大きな歓声に迎えられながら、『ポエタ』の曲で演技を開始した。冒頭のトリプルルッツでぐらつきを堪えると、続くトリプルフリップーダブルトーループの連続ジャンプを着氷して笑顔を見せる。上手く演技を波に乗せた石塚は、細かく音を拾った振り付けをこなしながらも観客へのアピールを欠かさなかった。イナバウアーから入ったダブルアクセルートリプルトーループの連続ジャンプで客席を沸かせると、曲調の変化に合わせて一気に会場の雰囲気を引き締めた。「すごくきつい中でやっていた」と振り返る後半でジャンプにミスが出る。しかし、最後まで気を抜かずにスピン、ステップを滑り切り、勢いを緩めずにフィニッシュポーズを決めた。「全日本に出るのはもう当たり前だと思っている」と語った石塚。演技終了後も満足することなく、次への課題を見据えていた。全日本選手権への切符を手に入れるべく、「通過点」としての東日本選手権に駒を進めた。


印象的な表情で魅せる石塚

(記事 犬飼朋花、写真 糸賀日向子)

 全日本選手権出場に向けまずは東日本選手権へ上位で駒をすすめたい永井は、前日のミスから気持ちを切り替え、プロコフィエフのバレエ音楽『シンデレラ』で可憐なフリースケーティング(FS)を披露した。最初に連続して配置されたトリプルルッツを2本着氷し勢いに乗ると、トリプルループも質の高い美しいものを決める。夏季フィギュアでは曲に間に合わず、レベルを取るために必要な回転数を回りきることができなかったレイバックスピンも、今大会ではレベル4を獲得した。続くステップは柔らかな曲調に合わせて丁寧なエッジワークを見せた。ワルツへと曲が変わり迎えた後半、「ちょっと緊張が増してしまった」と振り返った通りミスが続いてしまった。ダブルアクセルートリプルトーループの間にオーバーターンが入ってしまいセカンドジャンプの着氷時にバランスを崩したり、トリプルループで転倒しコンビネーションジャンプにすることができず、基礎点が70%となってしまうなどジャンプで得点を積み重ねることができなかった。またショートプログラム(SP)に引き続き回転不足のジャンプが目立ち前半と合わせて4つで減点を受け、思うように技術点が伸びなかった。しかしそれでもスケートの伸びやかさは変わらず、最後のコレオシークエンスではアラベスクスパイラルのポジションの美しさとスピードが目を引いた。演技構成点(PCS)でもショートプログラム(SP)に引き続き、全体の2位という高い評価を受けたが、それでもジャンプのミスにより生じた上位との差は結局埋めることができず、シニアに上がってから初めて東京選手権で表彰台を逃す悔しい結果となってしまった。 今大会、永井はショート・フリー合わせて10本のジャンプのうち8本でミスが出てしまい、その内1回転となってしまった2本のジャンプを除く6本で回転不足の判定を受ける結果となった。回転不足で降りてきてしまったため着氷が上手く流れず体勢が崩れてしまい大幅な減点を受けたジャンプも見受けられた。本来の永井のジャンプは高さや幅に光るものがあり、実際に今大会でも綺麗に決まったトリプルループでは+2と+3が並び加点1.14を獲得している。このような質の高いジャンプを次戦に向けてどれだけ増やしていけるか。ジャンプが決まってくれば目線の使い方や上体を大きく動かすといった表現面での努力も形として現れてくることだろう。 次の東日本選手権は今大会の東京選手権の上位選手の他、関東選手権、北海道・東北選手権を勝ち上がってきた実力者が揃い、更に全日本選手権への切符の少なさを踏まえると、激戦になることは間違いない。その中で永井の高い演技構成点は他選手に対する大きなアドバンテージになっており、鍵を握るのはやはりジャンプの成否になるだろう。「絶対に行きたい」という5年連続の全日本選手権の舞台へ、研鑽を続ける。


圧倒的表現力で魅せた永井

(記事 青柳香穂、写真 糸賀日向子)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

▽シニア男子

石塚玲雄 4位 159.02点(FS 105.53点)

▽シニア女子

永井優香 4位 137.30点(FS 92.64点)

コメント

石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうの試合を振り返って一番先に思うのは悔しいというのと、まだまだ足りないところが多いなというのが印象的でした。

――夏季フィギュアからの調整はどのようにしてきましたか

まずは体力が足りないと思っていたので体力を付けられるように結構滑り込んできたつもりで、そこは頑張ってきました。でもそれが今回あまり出せずにいて、最後きつかったのでそこはまだまだだなと思いました。

――後半の疲れは転倒などがあったからでしょうか

転倒があったというよりも、転倒するようなジャンプを跳んでしまったというのが一番大きな反省点で、転倒するということは力が入っているジャンプだと自分で思っているので疲れることによって力が入ってしまったのかなという印象です。

――今大会を通して見るとジャンプの調子は良いのかなという印象ですが、きょうの試合のジャンプを全体的に振り返るといかがでしたか

試合本番ではコケたりとか回転が抜けてしまったりとかしたんですけど、練習の中ではどう練習していったら良いのかとかいう方向性は決まっているというかここ1、2か月ですごく見えてきました。だからこれから先もどんどん上げていけるんじゃないかと思っています。

――きょうのスピン、ステップはいかがでしたか

正直疲れが来てしまっていたのですごくきつい中でやっていたんですけど、点数を見る限りは少しは評価してもらっていると思ったので、まだまだこれから上げていきたいと思います。

――演技後は体を締める動作をしていましたが

あれはただ単にループが抜けてしまってそこはもう悔しかったのでもう1回チャンスが貰えればいいのになと思ってやり直しました。

――会場からの歓声はいかがでしたか

会場からの歓声がすごく聞こえて、本当に応援してもらっているんだなと思ってそれが嬉しかったです。

――最後に東日本選手権に向けての意気込みをお願いします

東日本はきょねんの悔しさとかもあるんですけど今年はもう気持ちは決まっていて東日本は全日本に出場するための通過点でしかないと思っています。全日本に出るのはもう当たり前だと思っているので、そのための通過点だと思って普通に、自由にやりたいと思います。

永井優香(社2=東京・駒場学園)

――きょうの演技はいかがでしたか

きのうもそうだったんですけど、きょうも緊張していたら終わってしまったなという感じでした。

――きのうは動揺しているというお話でしたが、そこからどのように切り替えましたか

きょうの朝は普通にジャンプが跳べていたし、試合までの今までの練習もそんなに悪くなかったので昨日のことを引きずってということはあまりなかったです。

――きょうのジャンプは振り返っていかがでしたか/strong>

きれいに跳べたジャンプがほとんどなかったと思うのでやっぱり自信がちょっとなかったのかなと思います。

――ステップ、スピンはいかがでしたか

ステップもスピンも正直あまり覚えていないくらい緊張していたと思うんですけど、あまりいい出来ではなかったかなという風に思います。

――その緊張は生じた原因はどのようなことが考えられますか

最初の方も緊張していたんですけど何とか気を紛らせようと思って楽しんでやるぞと思っていました。でも後半のジャンプに入ったくらいから気持ちを紛らわせるのも難しくなってきてしまって、ちょっと緊張が増してしまったかなと思います。

――夏季フィギュアの際にブラッシュアップをしてもらうとのことでしたが、ブラッシュアップをしていかがでしたか

振り付けを少し変えていただいたのと、あとは振りをどうやってやったら大きく見えるかとかそういうのを見てもらいました。でも正直きょうの試合の演技ではその成果が出せなかったかなという風に思うので、すこし残念です。

――具体的にはどのようなアドバイスをいただいたのでしょうか

目線だとか、あとは上体を大きく動かすのが苦手なのでそういうところを結構アドバイスしていただきました。

――今の状態は何%くらいですか

昨日の試合が始まるまでは結構良くなってきているかなという風に思っていて、80くらいかなと思っていました。でも実際滑ってみたら全然で、半分にも満たないかなくらいだったのでもっともっとやるべきことがたくさんあるなと思いました。

――それでは最後に東日本選手権に向けて意気込みをお願いします

全日本には絶対に行きたいので、本当に一回一回の練習を精一杯やって自分なりに振り返って良い状態で臨めるようにしたいです。