「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

 

海老原 一佳 えびはら・かずよし
創価高→創価大→富山GRNサンダーバーズ
外野手・右投左打・189センチ93キロ・1995年9月13日生(23歳)

 

 

 

 恵まれた体格を生かし豪快な打球を放つ左の大型スラッガー。衝撃的な場面は今も目に焼き付いている。
 創価大ワールドグラウンドで田中正義(ソフトバンク)の取材を終えた時だった。ふとグラウンドに目をやると、海老原がフリー打撃でバントの構えをしていた。そこからヒッティングに移るバスタースイングで振りぬくと、打球は大きな放物線を描き、本塁から118メートルのバックスクリーンにぶち当たった。そんな驚がくの打球にも、本人も含め平然と練習は続いていく。海老原の打撃はこれが通常なのだ。

 また東京新大学野球のリーグ戦でも相手投手の甘く入ったストレートを振り抜くと、打球はグングンと伸び、岩槻川通公園野球場のライトスタンド後方にあるフェンスも越えて場外に飛び出す推定125mの本塁打を目撃。彼のバットに当たれば、硬球はまるでピンポン球のように飛んでいった。
 だが大学時代は攻守に正確さを欠いて不動のレギュラーとなることはなく4年間のリーグ戦通算打率を1割台で終えた。
 それだけに独立リーグ1年目の成績に驚いた。47試合に出場し164打数54安打9本塁打32打点、打率は.329。いくら「投低打高」のリーグにあっても確実性が増したことは間違いない。

 さらに1年の集大成となるルートインBCリーグ選抜とNPB球団との交流戦でも、その変貌は感じた。10月2日の阪神戦では、1軍でも通算23勝を挙げている右腕・秋山拓巳から、2ストライクと追い込まれながらスライダーにバットを上手く合わせてレフト前に運んだ。さらにどの打席でもファーストストライクから積極的にスイングしている姿も印象で、この2点は失礼ながら大学時代には感じることが無かっただけに新鮮だった。
 また試合後に話を聞くと、日々の充実を伺えるコメントが並んだ。
「前期はクロスプレーで膝を怪我してしまったんですが、後期は確実性が大学に比べて良くなったと思います。野球漬けなことに加えて、試合にずっと使ってもらっていることが大きいのかなと思います」
 また富山の上原茂行コーチに細かな点から「NPBで通用するために」と、あらゆることを学び吸収しているという。中でもスイングは「バットを最短で出しながらも、自分のタイミングで力強く」と持ち味を消さぬ形で課題を克服してきた。さらに長時間の移動も多いため、体のケアやコンディショニングに使う時間を増やしているという。
 大学時代から「柳田悠岐のようだ」との声がスカウトからも聞かれていた未完の大器が、独立リーグで腕を磨き、意識を変え、吉報を待っている。

文・写真=高木遊