「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

藤原恭大(ふじわらきょうた)大阪桐蔭
181センチ 78キロ
外野手 左投左打
【写真提供=共同通信社】

 

 誰もがその姿に「速いね」と驚いたのが、三塁打を放った時のベースランニングだ。セカンドベース手前からの加速がものすごく、スパイクで土を蹴る音がスタンドまで伝わるような迫力がある。「走塁で観衆がどよめいたのは、オコエ(現楽天)以来じゃないか」とあるスカウトが漏らしていた。
 身体能力の高さが将来を楽しくさせる。これもスカウトが言う。「阪神の糸井より上のレベルの選手になるかもしれない」。3割30本30盗塁。かつて西武の黄金時代を築いた秋山幸二外野手(元ソフトバンク監督)のような日本人最高選手もだぶってくる。

 大阪桐蔭の春夏連覇で4番を打って原動力になった。西谷監督は「あるとき、藤原が4番を打ってる夢を見まして。藤原は4番が合ってるんかな、と思って打たせてみました」とふとした思い付きが、大きな結果につながったことになる。ソフトバンクのギータを目標に、藤原自身の精進もチームに『日本最強』の称号をもたらした。

10月25日(木)16時45分~ BGでは1位から育成枠までLIVE配信を実施!LIVE配信ページはこちら

 50メートルを5秒7で走る。最大の魅力は走力だ。先の塁を常に狙う積極性。ポテンヒットや、シングルヒットでも野手の処理が緩慢だとセカンドを陥れるシーンを何度も見てきた。普段からの鋭い観察眼、状況判断がすぐれている証拠だ。

 その俊足は守備にも生かされる。左中間、右中間を抜けていくような大飛球を幾度も好捕した。そして、走者2塁からのセンター前のヒット。本塁タッチアウトでチームの窮地を救ってきた強肩も持ち合わせる。
 打っては甲子園の2回戦、沖学園戦でレフトにライナーの本塁打。右バッターが引っ張ったような当たりだった。浦和学院のドラフト候補、渡邊からインコースを腕をたたんでライトスタンドに引っ張った打撃は技術が圧巻。その試合、弾丸ライナーでバックスクリーンにも運んでいる。甲子園での3本は各方向に打ち分け、高校通算では32本。左ヒジを突き出したフライングエルボーが特徴的なフォームだ。

 大阪生まれで、中学は強豪の枚方ボーイズで小園(報徳学園)と同期でしのぎを削った。大阪桐蔭ではセンターのポジションを1年夏につかむという異例の起用に応えてきた。2年のセンバツの履正社との決勝で1回表、先頭打者ホームランを含む2本塁打と大舞台に強さを見せた。甲子園に4度出場して3回の優勝。今年の夏は26打数12安打。打率・462はチームトップで4番の役割は十分に果たした。2年から小園とともにU18侍ジャパンに選ばれ、ワールドカップとアジア選手権にも出場した。

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」シリーズはこちら

 話をチームに戻すと、根尾とのライバル関係が美しかった。藤原は1年に入学したての頃、中学から話題になった根尾をみて、「一人だけキャッチボールの球筋が違った」。そこから負けん気ゆえの努力が始まる。「あいつが打つとこっちも燃える」。それは根尾も同じ証言をしている。プロでの二人のライバル物語も続いていく。

(文・清水岳志)