全日本選手権への切符をかけた熱い闘いが幕を開けた。その一次予選となる東京選手権。東京ブロックは、シニアに転向した選手の台頭でさらなる混戦を見せている。2日間にわたり繰り広げられた熱い闘いは、波乱の展開となった。早大からは、男子に石塚玲雄(…

 全日本選手権への切符をかけた熱い闘いが幕を開けた。その一次予選となる東京選手権。東京ブロックは、シニアに転向した選手の台頭でさらなる混戦を見せている。2日間にわたり繰り広げられた熱い闘いは、波乱の展開となった。早大からは、男子に石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)、女子に永井優香(社2=東京・駒場学園)が出場。まずはそのショートプログラムを振り返る。

 試合前半に登場した石塚は、「Pre te」の柔らかな音に乗って滑り始めた。演技冒頭でトリプルルッツの着氷に少し乱れが出るも、落ち着いてダブルトーループを続けて連続ジャンプに成功。スピンでは、個性的なポジションが目をひいた。演技中盤のトリプルフリップは手をついて堪え、雰囲気を切らさずにステップへと向かう。豊かな表情と、歌声に合わせて盛り上がっていく体の動きで観客に切なく訴えかけた。最後のダブルアクセルはしっかりと決め、スピンで余韻たっぷりに締めくくった。怪我からの復帰シーズンとなり思うように技がこなせない試合もあったが、目標に挙げた「いつでも決められるジャンプ」を胸に、着実に調子を上げている。


表現力で魅せる石塚

(記事 犬飼朋花、写真 糸賀日向子)

 会場の大きな声援を背に登場した永井。まずは冒頭のルッツジャンプ。直前の6分間練習では綺麗なものを着氷していたが、本番ではシングルルッツとなってしまいノーバリューと、得点源のジャンプで痛いミスを犯してしまう。その後のダブルアクセルでも着氷時にバランスを崩す珍しいミスがあった。また、今大会の女子ショートプログラムでは回転不足の判定を受ける選手が目立ち、永井もダブルアクセルとトリプルループの2つのジャンプで回転不足をとられた。ジャンプでは本来の実力を発揮しきれなかった永井だが、新境地として取り組んでいるステップでは観客を沸かせた。随所にリバーダンスのアイリッシュな動きが盛り込まれ、強さやキレが求められるステップをキリリとした表情で情熱的に舞った。優雅さや柔らかさを武器としていた従来の演技とは一線を画す迫力ある演技は、ステップの出来栄え点や演技構成点(PCS)の曲の解釈を評価する項目(IN)で特に高い得点を獲得する形で実を結んだ。


キレのあるリバーダンスで会場を沸かせる永井

(記事 青柳香穂、写真 脇田真悠子)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

▽シニア男子SP

石塚玲雄 4位 53.49点

▽シニア女子SP

永井優香 5位 44.66 点

コメント

石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか。

やっぱりまだまだだなって思いました。

――夏季フィギュアから立て直したことは何ですか。

夏季フィギュアは特にSPの時、頭で考えすぎてしまったので、今回は特に何も考えず自由に滑りました。

――今日のジャンプの調子はいかがでしたか。

ジャンプの調子は良くも悪くもなくって感じで、もっとこれから上げていければなと思います。

――ご自身が今回の演技で1番褒めてあげたい点は何ですか。

褒めてあげたい点は、地に足がついた状態で滑れたことです。スケートの先生とも話して、今いつでもどこでも跳べるジャンプを目指しています。演技後それができたなって思えるようにこれからも練習頑張りたいです。

――明日のスケーティングに向けてお願いします。

明日も自由に滑りたいと思っていて、まだまだこれからどんどん調子を上げていきたいので、いい足がかりになればなと思います。

永井優香(社2=東京・駒場学園)

――今日の演技を振り返ってみていかがでしたか

一言で言うとひどかったなと。気持ちが落ち着かないまま終わってしまったので、ちょっと悔しいです。

――それは具体的に言うと1回転になってしまった冒頭のジャンプのことになるのでしょうか

そうですね、最初のジャンプもそうですし、そのあとにほぼ失敗しないようなアクセルで失敗してしまったので、そこでちゃんと落ち着いてできていなかったんだなということが自分でもよく分かりました。

――夏季フィギュア以降、ルッツ-トーループの調子はいかがでしたか

夏季フィギュアのあとは結構良い調子でできていたかなと思っているのですが、そのあと少し足が痛くなってしまって。今はもう治っているのですがちょっとペースが乱れてしまったので、この試合までは落ち着かない日々だったかなと思います。

――アクセルを失敗してしまった要因というのはどのように捉えていますか

ただ単に足が震えてしまったというか、緊張してしまっていて落ち着けていなかったのかなと思います。

――ステップは更に磨きがかかってきたように見受けられましたが、そのあたりの表現面はいかがでしたか

この間振り付けをもう一度見ていただいてその時に全然できていないのが分かったので、前回の夏季フィギュアのときより少しは良くなったかなと思います。

――振り付けのブラッシュアップというのは具体的にはいつ頃取り組んだことなのでしょうか

2、3週間くらい前なんですけど、少しだけレッスンしていただきました。

――明日のフリープログラム(FS)に向けて意気込みをお願いします

正直今日こんなに失敗してしまうとは思っていなかったのでまだちょっと動揺しているんですけど、明日は明日でフリーは結構練習してきたのでひとつひとつのジャンプを大事にすることと、あとスピンステップも取りこぼさないように。あとはつなぎの部分もエレメンツに集中しすぎるのではなくて見ている方にアピールしながら滑れるようにしたいです。