最終回に迎えるのは、坂井勇仁主将(スポ4=大阪・清風)、古田伊蕗副将(スポ4=静岡・浜松市立)、齋藤聖真(スポ4=神奈川・湘南工大付)の三人。下級生の頃からレギュラーとして活躍してきた彼らも、ついに最後の大舞台を迎える。4年間を共に過ごし…

 最終回に迎えるのは、坂井勇仁主将(スポ4=大阪・清風)、古田伊蕗副将(スポ4=静岡・浜松市立)、齋藤聖真(スポ4=神奈川・湘南工大付)の三人。下級生の頃からレギュラーとして活躍してきた彼らも、ついに最後の大舞台を迎える。4年間を共に過ごしてきた仲間と有終の美を飾るため。全日本大学対抗王座決定試合(王座)に掛ける思いや、いかに。

※この取材は9月26日に行われたものです。

共に過ごした4年間


思い出話に花が咲いた

――お三方は入学以来何度も早スポの取材を受けてきたと思いますが、一番印象に残っている取材を挙げるとしたら

坂井 一番印象に残ってる取材は、昨年の全日本(三菱全日本選手権)の後に早スポさんに逆取材したのが思い出ですね。河野さん(平30スポ卒=現伊予銀行)と負けた後に、卒業インタビューしました。

齋藤 今だから言えるんですけど、2年のリーグ(関東大学リーグ)の早慶戦ですね。実はあの日僕寝坊して。試合には勝ったんですけど、何も書かれたくないって思いながらしゃべってました(笑)。とにかく反省してるってことを見せないとと思ってめっちゃ考えながら答えた覚えがあります。

坂井 何してたんやっけ?

齋藤 単純に寝坊。6時半の電車に乗るはずが、起きたら7時半でした(笑)。前日に『君の名は』を観に行って、でも寝るのは遅くなかったんですよ。11時前には電気消して、目瞑るじゃないですか。

坂井 (『君の名は』風に)入れ替わってた?

齋藤 入れ替わってねーよ!(笑)。スパークル(映画の主題歌)が流れてきて、ずーっと全然寝れなくて、1時くらいまで。

坂井 で、朝起きたら?

齋藤 誰かと入れ替わりたかったよ、本当に(笑)。

古田 僕は初めて取材されたときですね。1年の時は全然試合にも出てなくて、2年になってからなんですけど。

――初めて取材されたときはどんな感じでしたか

齋藤 誰だこの人たち・・・って感じでした(笑)。先輩から「早スポっていう僕らを取材してくれる人たちがいるんだよ」って言われてるわけでもなかったので、「ちょっと取材いいですか?」って知らない人からいきなり言われてびっくりしました。

――4年間を振り返って、三人で過ごして来た思い出などを語っていただけますか

坂井 1年目は雑用もあり、僕は比較的しっかり仕事をして、齋藤くんが全然やらなくて、古田くんはほどほどという感じでした。

齋藤 (まじかよ・・・)

古田 (初めて聞いたよ・・・)

坂井 2年目はみんなテニスでちょいちょい活躍し出しましたね。3年目はドゥーーーーーン!って感じで。4年目は必死に踏ん張ってます。

齋藤 三人とも寮が一緒なんで、1年生の時からここの3人のLINEグループを作って、しょうもないこと言い合ったり。古田の部屋は1年生の時は1階だったんですけど、わざわざ俺らの2階の部屋まで来てテレビ見たりゲームしたりとか。愚痴言ったりとか、真剣な話もしたりしましたね。後輩も入ってきて、今じゃもう僕らが一番上ですけど、今でもふとした時に一緒にいるのはこいつらだなって思います。

古田 カッコいい・・・

齋藤 三人で団体戦シングルス出れたらすごくね?って昔から話してて、ダブルスも合わせれば何回もあるんですけど、まだシングルスでは実現できてないので、それが最後にできればいいなと思ってます。

古田 ないね、たしかに。

齋藤 それができたら負けないと思う。

坂井 1年の時は三人で団体戦に出ようって言ってたから、それは達成したんだね。

古田 たしかに。

齋藤 去年紺碧(紺碧寮に住んでいるメンバー)で5本取ったからな。

――庭球部員は紺碧寮とスクエアの二つに分かれて生活していると思いますが、寮同士の対抗意識などはあるのですか

坂井 結構あります。秋季リーグ(関東大学対抗選手権)は紺碧対スクエアでやりました。

齋藤 向こうケガ人ばっかで、勝ちました(笑)。

坂井 相手はちょっとおごってたんじゃないですかね、僕らは本気で勝ちに行ってたんで。

古田 俺たちも油断してたら1回戦マジで負けそうだったけどな(笑)。

――4年間で仲も深まったのでしょうか

坂井 伊蕗は最初僕らのこと嫌いだったんで・・・

古田 ちょっと補足させてください。なんか僕が一方的に嫌ってるみたいな言い方されてますけど、僕軽くイジメられてたんですよ。

一同 (笑)

古田 イジメてくる人を好きになれっていうのも、ねえ・・・

齋藤 僕らからしたら、「嫌わないでよ!」って構ってたら、それが嫌だったみたいで。

古田 (黙り込む)

坂井 すぐ黙るんですよ、だから、「なんで黙るの!」って聞いても黙るし。

齋藤 イジメじゃなくてイジリくらいですよ、正直。髪の毛チリチリなのイジったり、頭皮が・・・

古田 1年目ってまだそこまで仲良くなってないのに、今でこそ坂井とか笑顔でイジってきますけど、当時はなんか真顔で「お前死ねよ」とか言ってきて(笑)。ただただ真顔でボケてきたりして、いや関西人分かんね~って感じでした。それに後ろで「そうだそうだー」ってはしゃいでるヤツ(齋藤)もいて。なんかやべーなこいつらって感じでした。

――今ではイジりに慣れてきたということでしょうか

古田 対処に慣れてきたのもありますし、丸くなったのもあると思います。

坂井 丸くなった?俺。

古田 優しさをさらけ出すようになった。

齋藤 トゲトゲしさはなくなってきたと思うよ。

――坂井さんは丸くなった自覚はありますか

坂井 まあ言ってしまえばもう22歳なので、大人の階段上らないといけないということですよ。知らず知らずの内に僕も大人になったということです。

古田 なんだそれ(笑)。

――部活動引退まであと数週間となりましたが、寂しさなどはありますか

坂井 僕は引退後のスーパーライフを夢見ています。僕インカレインドア(全日本学生室内選手権)出ようと思ってて、そこに向けてテニスをフィーバーさせていくのと、その後に大阪にみんなで遊びに行くのも楽しみです。部活にも邪魔しにくるかもしれないです。

齋藤 俺は今楽しいから、引退したいとは思わないかなあ。でも引退後の生活も絶対楽しいので、いつまでもいるもんじゃないしね。引退するときは必ずくるから。それは割り切ってあと3週間。でも正直寂しいな。

古田 自分は正直全然引退後の自分を想像できなくて。

齋藤 絶対太るよ。てかすでに太ってるか。

古田 はい、すでに太ってます。

坂井 ストッパーかけるの?

古田 かけねえよ。てか今もかけてない。だからこうなってる。

齋藤 縮毛は?

古田 しない。

坂井 髪染めないの?

古田 染めない。

坂井 整形しないの?

古田 整形は金があったらね。

坂井 肩?

齋藤 顎?

坂井 髪?

古田 肩もほしい、顎もほしい、髪の毛もほしい。

齋藤 リーブ21?

坂井 ちゃんとチリ毛植毛しないとね。

齋藤 縮毛はできるの?

古田 できる、てか一回やったわ。

坂井・齋藤 え!?まじで(笑)

古田 縮毛だよ、やったじゃん。

齋藤 あ、植毛じゃないの。

古田 それは1本の毛に結んで3本みたいなやつでしょ。

齋藤 それは増毛でしょ。植毛は死んだ毛を毛根にグッって指すやつ。

――古田さんは植毛のご予定はないのですか

古田 ないですよ!(笑)

坂井 伊蕗は髪の毛が本体なんで。みんな髪の毛見ながら話しかけます(笑)。

古田 それやってるのお前だけだろ!

齋藤 でも喜ぶじゃん。

古田 いやいや。なんかこんな感じでツッコミ役になることが多いんですよ、最近。

――学年内ではボケキャラが多いのですか

坂井 僕はどっちもいけます。

古田 基本ボケやろ。

齋藤 でも人数多いときはクールに行くよね(笑)。

坂井 いい子ぶる。

古田 なんかうまいこと言おうとしてめっちゃ下手だよね。

齋藤 たとえ話ヘタ。

坂井 いやいや。みんなの理解力がないだけです(笑)。

――4年生の学年としてカラーはどんなものですか

古田 人数は多くも少なくもない感じですし。

齋藤 真面目な話のときもちょっとはふざけたがるよね、みんな。

古田 同期ミーティングは基本話が進まない。

齋藤 1年の時とか本当に進まなかった。

古田 僕と松本(貫太朗、社4=東京・早実)が早く終わらせたい派なので、脱線したら元に戻そうとするんですけど、町田とか斎藤とかがブレーカーなので。

坂井 じゃあお前がまとめ役すればいいやん。

古田 いや、やってたじゃん、1年の時は。

――今はしっかりまとめ役はいるのですか

古田 今では勇仁が主将で頑張らなきゃって思ってくれてるんで。僕は特になにもしてないです。

坂井 逆にコイツもふざけたこと言ってます。

古田 例年ミーティングで4年生が順番に話すんですけど、これまでは主務、主将で終わりだったんですよ。でも今年から主務、俺、主将になって。

齋藤 勇仁が伊蕗好きなだけです(笑)。

――1年生の時から印象が変わった人はいますか

坂井 基本的には変わってないですね。俺変わった?

齋藤 主将になってしっかりしたと思うよ。

坂井 猫被ってるだけですよ。あと2週間したら・・・フフフ。

齋藤 やろうと思ってしっかりできるだけですごい。俺絶対できないもん。

古田 でもあと少しにして化けの皮がはがれてきてるよね。

齋藤 たしかに(笑)。6月とかは、「勇仁すげーな」って思ってた。

坂井 引退したら覚えてろよって後輩も何人かいるんでね。引退したらちょっと呼び出したいと思います(笑)。

「結構強いチームだと思ってたけど、意外と脆かった」(齋藤)


リーグ全勝優勝を決めた後の男子部。表情は曇ったままだった

――ではここからは今季の振り返りに入ります。まずは、それぞれ今年のインカレを100点満点で評価するとしたら何点になりますか

一同 うーん・・・

坂井 僕は80点くらいですね。ダブルス優勝で90点、シングルス(ベスト)32でマイナス40点。で主将ボーナスでプラス40点で、あ、90点だ(笑)。

齋藤 75点。CSR委員ボーナスで80点かな(笑)。優勝目指していて、ベスト4はうれしかったけど準決の負け方がよくなくて、あとダブルスはマッチポイントあったのに取り切れなかったので、すっきりした終わり方ではなかったかなと思うので。

古田 70くらいですかね。ベスト8は入ったことなかったのでうれしいけど、セカンドでチャンスあったから悔しい結果ではあって、ダブルスも本戦に上がれなかったので。

齋藤 副将ボーナスは?

古田 じゃあ90かな。

坂井 チリ毛ボーナスは?

古田 じゃあ100でいいよ!!!!

坂井・齋藤 (笑)

――坂井主将はダブルスで下馬評通りの優勝を果たしました。振り返っていかがですか

坂井 正直他のシードがポンポンこけたのが大きかったですね。逸﨑(凱人、慶大4年)・畠山(成冴、慶大4年)、小見山(僚、法大4年)・楠原(悠介、法大3年)も早い段階で負けて、当たると思ってた齋藤・小林(雅哉、スポ3=千葉・東京学館浦安)も負けて。主将としては齋藤・小林雅に勝ってほしかったですけど、個人としては齋藤・小林雅とは当たりたくなかったので、正直ほっとしました。運もよかったですね。でも優勝した瞬間はホッとしましたね。シングルスで聖真が(ベスト)4まで残ってはいましたけど、チームとしてそんなにたくさん上位に残ってるわけじゃなかったので。

――齋藤選手はチームメイトが苦しんだ中でシングルスではチーム最高成績となりましたが

齋藤 みんなが負けたのはチームとしてはよくないことだったけど、正直チーム内で当たるのは嫌だったので、負けた人たちの分も頑張ろうって思ってました。全体的に自分にとっていい方向に進んでたと思います。あと僕最後の年結構強いんですよ。高校の時もそうで、結果的に見ればいい感じで終えることができましたね。

――一番印象に残っている試合は

齋藤 初戦だな。6-0、6-7、5-3の15-15で雨で中断になったんですよ。その後コート移動して3ポイント連取で勝てたのが大きかったですね。あの試合のファーストセットは今年のインカレでも一番いいプレーができてたんですけど、セカンドセットは一気に足が動かなくなって取られて、最後は中断もあったんですけど勝ち切ることができたっていう。調子の良し悪し関係なく最後まで頑張るっていうのはあそこから始まったかなと思います。あの試合はその後の勝ち上がりへの序章でしたね。

――準決勝ではセカンドセット途中までリードしていましたが、振り返っていかがですか

齋藤 あの試合はそんなに調子がいいわけじゃなくて、相手の球が遅かった時間帯に相手のミスで点が取れたって感じだと思います。本当に初戦のファーストが一番よかったです。エースばっかでした。準決勝はあんまり覚えてないんだよね・・・。あんなに競れると思ってなかったです。

――古田選手は今年のインカレで一番印象に残っている試合を挙げるとしたら

古田 髙村(佑樹、スポ3=千葉・東京学館浦安)戦かな。髙村も前の試合ですごく調子がよさそうで、いつも髙村は僕と試合するのをすごく楽しいって言ってくれていて、試合前もいい試合にしましょうって話してました。スコア的には6-3、6-2ではあったんですけど、ラリーが長く続いて厳しい試合になった中で髙村に勝ち切れたのはすごく自信になりました。

――最後のインカレは軒並み高得点ということですが、悔いはありませんか

坂井 ないです。

齋藤 ない。

古田 ないことはないです。