平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)が、10月6日に行なわれたジャパンオープンで圧巻のフリー演技を見せつけた。参考記録ながら “世界最高得点”の159.18点を叩き出し、2位・坂本花織に約30点差をつける圧倒的な強さだった。



ジャパンオープンで完璧な演技を見せたアリーナ・ザギトワ

 7つのジャンプは完璧で、すべてに加点がついた。出来栄え点(GOE)だけで12.43点を獲得する高評価。とくにルッツ+トーループの連続3回転は、2つとも両手を挙げながら高さも流れも申し分ない「タノジャンプ」を披露し、GOEで満点の2.95点を得たほどだ。演技構成点もただひとり9点台を出して、74.23点をマークした。

「今日はいい滑りを見せましたが、これからもっといい演技を見せていきたいです。フリーはエテリ(・トゥトベリーゼ)コーチや振付師と一緒に考えたプログラムです。『カルメン』はとてもパワフルな曲だと思いますので、一番大事なことは自分の気持ちを伝えることです。今季は大人の女性らしい演技を見せたいと思ってやっています」

 今季のフリーはオペラ曲『カルメン』。黒レースと赤いスカートの妖艶なコスチュームを身にまとって登場したザギトワはまだ16歳だが、昨季、偉業を成し遂げた自信が向上心を生み、さらなるモチベーションになっているようだ。

「今回のフリープログラムはすべてのエレメンツ(技)が大好きです。フィギュアスケートにおいては成長の限界はないと私は考えているので、これからももっと、すべての面で成長させていきたいです」

 シーズン初戦のネーベルホルン杯では、『オペラ座の怪人』を演じたショートプログラム(SP)で79.93点、フリーで158.50点、合計238.43点という、いずれも世界最高得点を出しての完全優勝を飾っている。そこには燃え尽き症候群も慢心もまったくなかった。

 五輪後に身長が7センチも伸びた。思春期を迎えて今後は体重調整のコントロールも厳しさを増すはずだ。彼女にとっては、今後もいまのようなスタイルを保てるかどうかが、最重要課題になるに違いない。記者会見で「試合前に私は基本的に何も食べない。食べてもチョコくらいです」と明かしたように、厳しい食事制限も課しているようだ。

 また、ジャンプもスピンもステップも、ひとつひとつの技は正確できれいなザギトワだが、どこか機械的な動きに見えてしまう部分もあり、あえてもうひとつの課題を挙げるとするなら、プログラムをどう表現するかではないだろうか。

 その意味で、今季のプログラムはまだ成熟していない彼女が背伸びをして取り組む内容になっている。試合を重ねるごとに、どんな演技を見せてくれるのか楽しみだ。負けず嫌いな一面を持ち、おとなしそうな外見とは違って強い自立心も見受けられるザギトワ。いずれにせよ、そんな彼女が今季もトップ争いの中心選手として注目を集めることになるだろう。

 19歳で迎える2022年北京五輪は年齢的にも脂が乗っているはず。ケガもなく順調にいけば、五輪連覇も夢物語ではない。これからこの突出した実力者がどこまで成長していくのか、興味は尽きない。