日本チームが2年ぶり9度目の優勝を飾ったジャパンオープン。平昌五輪代表の宮原知子と坂本花織が参戦した女子は、坂本が130.28点で2位、宮原が127.99点で3位となり、及第点の成績を残した。ただし、1位の五輪女王アリーナ・ザギトワ(ロシア)が叩き出した159.18点(参考記録ながら世界最高得点)には30点近い差をつけられており、10月下旬から始まるグランプリシリーズ(GP)に向け、もう一段レベルアップする必要があるだろう。

 全日本女王の宮原は、さらなる向上が必要であるということを痛感していた。



今シーズンはジャンプの修正に取り組んでいる宮原知子

 五輪シーズンの昨季は、股関節の大ケガからぎりぎりのタイミングで復活。競技生命をかけた戦いを重ねてたどり着いた念願の五輪舞台では、ショートプログラム(SP)、フリーとも完璧な演技を披露し、自己ベスト更新で4位となった。

 表彰台まであと一歩。達成感と悔しさを味わったことで、自分に何が足りないかを見つめ直してきた。その結論が、回転不足を取られてしまうジャンプの改革だった。「自分がやらなければいけないことに積極的に取り組んで、チャレンジしていくこと」を今季の目標に掲げて、ジャンプの修正に意欲的に取り組んでいるという。

「オフシーズンから、とにかくジャンプを中心に練習して、跳び方を見直しています。どのジャンプもしっかりエッジで降りてくる意識と、跳ぶ瞬間、上に跳び上がるようにすることです。練習でも、体にはまっているときはいい感じで何回もできていますが、その感覚がまだしっかりとつかめず定まっていないので、それを安定させることが一番難しいところです。

 スピードとタイミング、そして大きなジャンプがもっとも大事な部分なので、それができれば自然に流れるようジャンプになると思います。タイミングが合えば自分のいいときのジャンプができています。いまはまだ何となくわかったり、わかっていなかったりの繰り返しで、感覚が掴めていませんが、いずれにしてもジャンプの跳ぶ瞬間のタイミングが一番の鍵を握っていると思います」

 今季初戦のUSインターナショナルクラシックでも、SPでは3本のジャンプすべてが回転不足となり、フリーでは冒頭の3回転サルコーが2回転に、得意とする3回転ルッツは転倒の失敗だった。

 フリーで競われたジャパンオープンでも、ルッツとフリップで回転不足を取られ、冒頭のサルコーはまたも2回転になる失敗を犯した。ただ、ジャンプはまだ不安定ながらも、演技にはしっかりと滑り込んできた成果が出ていた。

 改正されたルールでは、ジャンプで失敗すれば、プログラム全体が完成されていないと判断されて、演技構成点も軒並み減点対象とされることになるが、宮原の演技構成点は平均で8点台後半をキープしていた。それだけ、表現力の評価は上がっていると言えるだろう。だからこそ、弱点であるジャンプの改良が必須ということになる。

 ジャパンオープン前日の囲み取材でも「失敗してもいいので、とにかくいま、変えようとしている自分のジャンプをしっかり試合でもできるようにして、きっちり降りることを意識したい」と話していた。

 世界の舞台で表彰台争いができる実力を持つ日本女子のエースが、確固たる存在感を示すためにも、今季のチャレンジを成就してもらいたいもの。だが、それは一朝一夕で身につくものではないだけに、困難も予想される。信念を貫けるか、どこまで踏ん張って取り組めるかにかかってくるだろう。

「今季ここまで2戦を終えて、正直な気持ちは、まだまだ全然ダメだということです。今季はテーマとしてチャレンジすることを掲げています。いまはとにかくジャンプの跳び方の意識を変えて、回転不足のないジャンプをするということに取り組んでいるところなので、試合をこなしていくうえでどんどん身につけていきたいと思っています」

 宮原は厳しい戦いに向けての覚悟の意気込みを見せた。



ジャパンオープンではザギトワに続き2位となった坂本花織

 一方、ジャパンオープンが今季すでに3試合目となる坂本は、シニア2年目のシーズンとなり少々気負いもあるようだ。シニアデビューシーズンだった昨季は、見事な戦いで五輪切符をつかみ、シンデレラガールとして4年に一度の大舞台を踏むことができた。表彰台には手が届かなかったが、自分なりの満足感を手にしたのは間違いない。さらには、五輪代表になったことで得られた自信と責任感が芽生えたことも確かだろう。

 平昌五輪の団体戦以来となるチーム戦のジャパンオープンに初出場するという緊張感もあったのだろう。大会前日の囲み取材ではこんなことを口にしていた。

「オリンピアンとしてちゃんとしなくちゃ、という意識はあります。オリンピックのチーム戦では納得いかずに終わってしまったので、今回はちょっとでもチームに貢献できるようにしたいです。それに、ここまでロンバルディア杯など2試合は完璧ではないので、この試合で完璧にやって、どれくらい点数が出るかを確かめたいなと思います」

 調子が上向きになってきたこともあり、その発言は前向きだった。

 気になるのは、昨季と比べると、坂本の闘争心がやや落ちているように見えることだ。ジャパンオープンでも、演技に勢いが感じられなかった。フリー『ピアノレッスン』のプログラム自体が、しっとりとした落ち着いた雰囲気の演技内容になっているからかもしれないが、どこか、坂本らしいはつらつとした滑りが影を潜めているように思えてならないのだ。

 それでも、フリップでエッジエラーを2度取られ、最後の3回転ループがステップアウトでダウングレードだったのを除けば、演技自体は納得の高得点をマークした。まだまだ向上の余地があり、得点も上積みできる可能性があるということだ。それだけに、本人も気合を入れ直した試合になったようだ。

「この大会の前の2試合よりは内容的には跳べてきているので、次の試合までもう少ししか練習の期間がないですが、内容の濃い練習をすることが重要になってくると思います。昨季のように『これだけ練習してきたから大丈夫』と思えるくらい練習して、自信を持って次の試合からは臨めるようにしたいと思っています。最近は、練習では演技終盤になってもスピードに乗って滑れるようになってきたし、演技でも、ちょっと大人っぽい雰囲気を出せるようにアピールをしていきたいです」

 今季の目標は「GP2大会とも表彰台に乗ってファイナルに行くこと」だと公言する。五輪ポストシーズンにしっかりとモチベーション保ち、「2年目のジンクス」という落とし穴に落ちないようにしてほしいところだ。