東京六大学野球秋季リーグ戦対立大展望 2018年10月5日(金) 神宮球場 慶大戦では激闘の末に勝ち点を落とした法大。慶大が2カードを残し勝ち点3を獲得し首位にすわり、早大と勝ち点が並び2位の現在、今カードを落とすと優勝が一気に遠のく。悲…

東京六大学野球秋季リーグ戦対立大展望
2018年10月5日(金)
神宮球場

慶大戦では激闘の末に勝ち点を落とした法大。慶大が2カードを残し勝ち点3を獲得し首位にすわり、早大と勝ち点が並び2位の現在、今カードを落とすと優勝が一気に遠のく。悲願の優勝を遂げるために。法大ナインは、力のある投手陣がそろう立大に『一戦必勝』で臨む。

展望

 慶大との天王山に敗れた法大。大熱戦だったが故に涙を流す選手も見られ、非常に悔しい1敗となった。しかし、下を向いている時間はもうない。あっという間に迎える今週末は、昨季勝ち点を奪われた立大と対戦する。

 立大の強みといえば、盤石の投手陣だ。先発が予想されるのは絶対的エース・田中誠也とルーキーの川端健斗の両左腕。法大打線は昨季、2試合で先発した田中誠から1点も奪えず大苦戦。そんな田中誠も、早大1回戦では攻略され4回途中4失点で降板と本調子ではない場面も見られたが、その後の3回戦では7回無失点。今季の奪三振率も10.33と安定して高い。川端健は今季から第2先発としての地位を確立。

ルーキーながら防御率ランキング堂々1位の川端健

140㌔後半の直球を武器に防御率は0.56と圧巻の数字でリーグトップにつけている。後ろにはまた、中川颯、手塚周ら実績を残してきた救援も控えている。これらの投手陣と対峙する法大打線は、宇草孔基(営3)、小林満平(法4)の1、2番が非常によく機能している。宇草は出塁率.422とリードオフマンに定着。

慶大2回戦では先頭打者本塁打を放つなど勝負強さも光る宇草

小林もバットコントロールの良さが光り、安打を量産している。好調の2人を得点圏に置いた状態から、中山翔太(人4)らクリーンアップがしっかり還せるかが鍵となる。特に向山基生(営4)は慶大3回戦で一時逆転の満塁本塁打を放つなど、チームを救う一打が目立っており、今後も期待がかかる。6番を打つ川口凌(人4)、慶大3回戦から先発起用された吉岡郁哉(営4)も好調だ。夏季オープン戦から小島和哉対策とともにピンポイントで対策してきた田中誠対策は功を奏すか。自慢の強力打線で打ち崩し、春のリベンジとしたいところだ。

 一方、立大野手陣は種田真大、松﨑健造、飯迫恵士の3人が上位打線に定着している。特に種田の打率はリーグ3位の.400。また、東大1回戦では2盗塁を決めており、出塁してからも脅威の存在だ。

打率.400で盗塁も決めている要注意の種田

今年の大学日本代表に選出された藤野隼大、昨季4本塁打を打った三井健右は調子が上がってきていないが、2人とも強打が持ち味であるため、一発には警戒したい。チーム打率.256と全体としてはまだ元気がない立大打線。しかし、5試合で4本の三塁打を放つなど長打力の高さは健在だ。対する法大はこれまで先発してきた三浦銀二(キャ1)、高田孝一(法3)に加え、慶大戦でエースとしての意地を見せた菅野秀哉(キャ4)、数々のピンチからチームを守り抜いてきた石川達也(キャ2)の4投手が軸になってくる。

慶大戦でエースとしての復活を予感させる投球を見せた菅野

前カードから中2日と、投手陣にとっては厳しい状況ではあるが、先日プロ志望届を提出した森田駿哉(営4)らを含めて総力戦で抑え、眠れる獅子を目覚めさせない投球に期待したい。

 今季は昨季になかった打線のつながりや投手陣の好継投が見られ、現時点でのチーム打率、防御率は昨季の数字を上回っている。これは間違いなく『結束』力の強化が生み出した結果だ。一回りも二回りも成長した彼らにはもう恐れるものはない。今カードで勝ち点を奪取し、悲願の優勝に向けて再び歩みを進める。
(渡辺詩織)