チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第2週、ドルトムントはホームにモナコを迎えた。 両者の対戦で思い出される…
チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグ第2週、ドルトムントはホームにモナコを迎えた。
両者の対戦で思い出されるのは2017年4月のCL準々決勝。ドルトムントのチームバスに爆弾が仕掛けられ、爆発によってマルク・バルトラ(現ベティス)が負傷し、手術を受けなくてはならなくなった、あの事件のことだろう(結果は2戦合計3-6でモナコが準決勝に進出)。
事件については、テロなどではなく、単独犯による単発のものだったこともあって、風化しつつある。この日の試合も特に警備が厳しくなることはなく、いつもどおりのボディチェックと荷物検査が行なわれていた。
両チームとも、前回の対戦時からメンバーが大きく変わった。ドルトムントはウスマン・デンベレ(現バルセロナ)やピエール・エメリク・オーバメヤン(現アーセナル)が抜け、モナコはキリアン・ムバッペがパリ・サンジェルマンへと羽ばたいた。また、当時はモナコの選手としてピッチに立ったDFアブドゥ・ディアロが、この日はドルトムントの一員として戦っていた。
香川真司に関しては、前日にルシアン・ファブレ監督が行なった記者会見のなかで、「負傷」とだけ発表されていたが、試合直前になってクラブツイッターで「足首の問題」と具体的に部位についての言及があった。香川の足首といえば、今年2月のハンブルガー戦で痛め、試合中に自らプレーを切り上げたところ。その古傷が治りきっていなかったということなのか、それともまったく別のケガなのかは、まだわからない。
試合はドルトムントが3-0で快勝した。2017年は2連敗の完敗だったが、今回は違った。
両チームともシュートを6本ずつ放った前半、どちらかといえば優勢だったのはモナコだ。3バックのモナコは守備に回ると5バックになり、ドルトムントにスペースを与えなかった。一方、攻めては中盤のアレクサンドル・ゴロビンからの配球でチャンスを作り出す。ドルトムントは受け身になり、ひたすら耐えるしかなかった。だが、試合を通して「我慢することが勝敗のカギとなった」とファブレ監督以下、ドルトムントの選手たちは口々に言った。

バルセロナから移籍、すっかりドルトムントの1トップに定着したパコ・アルカセル
後半になると、ファブレ監督はまず4-2-3-1の2列目の右に入っていたマリウス・ヴォルフに代えて、ヤコブ・ブルン・ラーセンを投入した。前線からプレッシャーの労を惜しまないヴォルフに対して、一瞬のスピードでゴール前に侵入するタイプのブルン・ラーセンの投入は、指揮官からの「攻めに出るぞ」という合図でもある。
先週末のレバークーゼン戦と同様、この交代がぴたりとはまる。51分、そのブルン・ラーセンが、ジェイドン・サンチョのスルーパスに抜け出し先制点をあげた。
1-0になってからは、ドルトムントが攻守にわたりリズムにのってプレーするようになる。後半のモナコのチャンスは、ゴロビンのクロスにラダメル・ファルカオが頭で合わせようとした64分のものくらい。これもDFダン・アクセル・ザガドゥが身体をはって阻止した。
ドルトムントは68分にマルコ・ロイスが倒されてPKを獲得。だが、パコ・アルカセルの強いキックはクロスバーを叩いた。それでも、72分には、そのパコ・アルカセルがスルーパスを受けるとディフェンダーとキーパーをかわしてから追加点を挙げる。さらに、試合終了間際には、ロイスがブルン・ラーセンのクロスを決めて3-0とした。CLグループリーグの序盤2連勝。しかも無失点で終えたことは、この先のことを考えると非常に大きい。
このところのドルトムントの戦いぶりは、リーグ戦第5節でニュルンベルクに7-0で大勝、第6節はレバークーゼンに2-4の逆転勝利、そしてこのモナコ戦と、安定感を増してきた。
特徴的なのは、途中出場の選手も含めて、どのポジションの選手もスピードがあることだ。最終ラインでさえ、CBのザガドゥやマヌエル・アカンジは、そのスピードのおかげでいくつかモナコのチャンスを潰すことができていた。
それに加えて、2列目のヴォルフもサンチョもプレスの労を惜しまない。ボランチのトマス・デラネイ、アクセル・ヴィツェルもフィジカルコンタクトに強く、汗かき役に徹することができる。それだけでなく、ヴォルフはゴール前でも仕事をする。
以前にも、香川はチームメイトのスピードへの対応に苦労したことがあった。ただそのときは、前線のオーバメヤン、デンベレ、ロイス、ヘンリク・ミキタリアン(現アーセナル)といった選手たちのスピードとどう関わるかという意味での苦戦だった。
だが現在は、前線だけでなく、どのポジションにもスピードのある選手が優先的に配置されているように見える。ドルトムントは今後しばらくの間、メンバーを入れ替えながらも、フレッシュで勢いがあるこのサッカーでいくことになるだろう。仮に負傷していなくても、香川にとってはポジション争いという意味で苦しい状況だ。
ユルゲン・クロップ(現リバプール監督)の退任以降、ドルトムントはさまざまなトライを続けてきた。そんななかで、今回は、監督からはっきりと新しい方向性が打ち出されており、それは成功に向かっている。願わくばそこに香川が絡んでいくことができれば……。変わりゆくチームで、香川はどのように立場を取り戻していくのだろうか。