4安打と沈黙した昨日とは打って変わって、今日は13安打8得点で8-2と大勝した。1回裏の宇草孔基(営3)の本塁打を始めとする3本塁打に加え、主砲中山翔太(人4)の2打点など上位から下位まで打線がきっちり好機をものに。投手も、先発高田孝一(…

 4安打と沈黙した昨日とは打って変わって、今日は13安打8得点で8-2と大勝した。1回裏の宇草孔基(営3)の本塁打を始めとする3本塁打に加え、主砲中山翔太(人4)の2打点など上位から下位まで打線がきっちり好機をものに。投手も、先発高田孝一(法2)は本調子でなかったものの最少失点で切り抜け、その後は2番手の菅野秀哉(キャ4)が5回を1安打にまとめる投球で慶大打線を封じ込める。1勝1敗とし、明日の3回戦へと駒を進めた。

戦評

昨日は慶大先発・髙橋佑樹が好投。少ない好機を生かせず初戦を落とし、3カード連続の勝ち点奪取に後がなくなった法大。9月の快進撃を10月につなげるために、選手全員が強い気持ちを持ち、今日の一戦に臨んだ。

 法大先発は、今季未だ白星を挙げられていない高田孝一(法2)。初回、先頭の中村健人に中前安打を許すと制球が乱れ2四球。2つの暴投も重なり先制点を献上する。その裏、早急に反撃をしたい法大は、宇草孔基(営3)が慶大先発の1年生投手・森田晃介の5球目、甘く入った球を上手く捉える。打球は右翼席に吸い込まれ、先頭打者本塁打であっという間に同点に追いつく。今季好調の宇草が2本目となる本塁打で初回の嫌な雰囲気を一掃した。

 3回裏、法大は1死二塁の場面で中山翔太(人4)が打席に入る。今季は思うような結果が残せずにいたが、「チームのために何とか1本という気持ちで打席に入った」。森田晃が投じた外角の球を上手く追っ付けた技ありの一振りで右前への適時打を放ち、勝ち越しに成功する。

勝ち越しの一打を含む2本の適時打を放った中山

 一塁上では静かに闘志を燃やし、ガッツポーズでチームメイトの称賛に応えた。ここからチームの雰囲気ががらりと変化した。続く中村浩人(営4)は、内角の直球を完璧に振り抜き左翼方向へ2ラン本塁打を放ち、4-1と慶大を突き放す。相手投手が森田晃から木澤尚文へと変わった後も勢いは止まらない。2回表から三塁の守備に入った吉岡郁哉(営4)が高めに入った甘い球をフルスイングし、右翼席へこの日チーム3本目のソロ本塁打を放つ。途中出場ながら気持ちは試合に入っていたと話し、4年生としての経験十分な姿勢をしっかりと見せた。

 一方、法大先発の高田はその後も制球が定まらず、4回を被安打5、2失点で降板。四球が5つと、本来とは程遠い投球となった。その間にも、打線は4回裏の中山の2打席連続の適時打などで7-2とリードを広げる。

5点差がついた5回表に、青木久典監督は2番手に菅野秀哉(キャ4)を起用する。

救援登板し5イニング無失点の菅野

5点差ながらまだまだ油断は許されない中での登板。「低めに投げて失投をしないように心がけた」と、強力慶大打線に挑んだ。変化球のキレが良かった今日は、スライダーやチェンジアップで振らせ三振の山を築く。少ない球数で次々と打者を翻弄し、9回までの5イニングを被安打1で完了。「春よりは本当に調子も良いし、今季の最初よりも調子は上がっている」と語る菅野は『法大のエースここにあり』という姿を見せつける力投を披露した。7回裏には、自らの適時打でダメ押しの1点をもぎ取るなど、攻守にわたりチームに大きな1勝を呼び込んだ。

 最終スコアは8-2、昨日の借りを返すような形で慶大に快勝した。栄光のシナリオに向け、最大の難所は明日の3回戦。頂点へ、勝利へ燃える熱き男たちの死に物狂いのプレーを、ぜひとも目に焼き付けてほしい。

(岡崎祐平)

 

クローズアップ:中村 浩人

 チームの快進撃の陰には『扇の要』と呼ばれる存在がある。中村浩人(営4)は、まさにその名にふさわしい。

昨季、首位打者に輝いた中村浩は今季も好調を維持。ここまで全試合で5番に座り、勝負強い打撃を見せている。そして、迎えた今日の第2打席。「打った瞬間、いったと思いました」と語った打球は左翼席へ。点差を3点に広げる大きな一打を放った。

今日は豪快な一発でチームを助けたが、下級生中心に構成されている投手陣を支え、守備全体を統率する『扇の要』としての貢献度もまた、計り知れないものがある。

「リードするにあたって、下級生と上級生で特別な違いはない」と語る中村浩。大切にするのは『いかに長所を引き出すことができるか』。投球スタイルも、性格も、全てを把握した上で、投手に対する声かけも変えている。

今日は、今季ここまで登板機会の少なかった菅野秀哉(キャ4)が5回から登板。菅野自身が感じた変化球の調子の良さを配球に反映。変化球中心の配球で最終回まで無失点に抑えた。誰もがその投球に圧倒され、手放しで褒め称える中、中村浩は1人、「(菅野の)調子は良いわけではない」と振り返った。菅野のポテンシャルを誰よりも知るであろう彼のその言葉は、『エースの復活』をより強く予感させる。

打撃と守備、その両方で大きく貢献する法大の絶対的な『扇の要』。この男の存在が、法大の快進撃の源にある。

(山﨑有馬)

選手インタビュー

向山 基生 主将
–今日の試合を振り返って
野手陣でなんとか投手を援護しようということだったのですが、ミーティング通りに(野手が打ち)少しでもピッチャーを楽にすることができたので、すごく良かったと思います。全体的にも良かったので、明日も勝てるようにしたいです。

–昨日の敗戦からどのように臨んだか
優勝争いということもあって負けられないので、試合の入りから圧倒していこうという話はしていました。

–自身の打撃の調子について
悪くないと思うので、どんどん積極的にチャンスでこそ打てるように頑張りたいです。

–明日は高橋佑投手の先発が予想されるが
しっかりビデオを見て、なかなかチャンスは少ないかも知れないのですが、しっかりとチャンスをものにできるようにしたいです。

–主将からみて、チーム状況としては
昨日は負けてはしまいましたが、昨日も今日もチーム全体で戦っている感じだったので、すごくいい状況だと思います。

–明日の試合へ意気込みを
春も負けている相手ですし、絶対にリベンジしたいと思います。

菅野 秀哉 投手
–昨季以来の勝ち投手となりましたが、今日の試合を振り返って
今日は野手陣が打ってくれて、点差もあったので、自分はちょっと気が楽でした。ここでこういうピッチングができて、良かったなと思います。

–前回登板から間が空きましたが
オープン戦を前の週にやっていて、そこで先発もして、長いイニングは投げてきていました。なので、準備はできていたので良かったのかなと思います。

–今日は変化球が冴えていました。事前に投げることは中村浩選手と相談していた
いや、自分が(ストレートのサインに)首を振りました。(感覚として)変化球が良かったので、そこから変化球を多目にしていきました。

–慶大は打力のある選手が多いが、抑えるために意識したこと
とりあえず低めに投げていこうということと、失投は無しで、ということは言っていました。本当に、コーナーにしっかり投げられたのは良かったかなと思います。

–徐々に調子が上がってきていますね
そうですね。春よりは本当に調子も良いですし、(今季も)最初の試合よりは(調子が)どんどん上がってきてると思うので、調子は良いと思います。

–明日に向けて
明日は本当に負けられない試合になると思うので、チーム全員で勝てるようにしっかり頑張っていきたいと思います。

中村 浩人 捕手
–今日の試合を振り返って
先制されましたが、すぐに宇草(孔基、営3)が取り返してくれたので、それ以降はこっちのペースで試合ができたと思います。

–先発の高田選手は調子が悪いような印象を受けました
決して調子が悪いわけではなかったのですが、力みがあって、持ち味であるコントロールがバラついたのかなと思います。

–自身は3回に、点差を広げる大きな本塁打を放ちました
打った瞬間、いったと思いました。初めてあんな感触で打てたと思います。

–5回から登板した菅野(秀哉、キャ4)選手の投球について
決して状態が良いというわけではないと思いますが、その中でもやっぱり、低めに集めていこうという意識が伝わってきたので、そこが今日の投球につながったのかなと思います。

–ここまでの投手陣の活躍について
みんな、自信を持って投げられていると思うので、これからも続けていってほしいと思います。誰が投げても良い状態で準備できていると思うので、本当に、自信を持っていってほしいと思います。

–次戦に向けて意気込みをお願いします
明日は接戦になると思いますが、そこを勝ち切れるかどうかだと思うので、絶対に勝って勝ち点を取りたいと思います。

中山 翔太 内野手
–今日の試合を振り返って
投打がしっかり噛み合って、いい試合だったと思います。

–昨日の敗戦からどのように切り替えた
しっかり夏場やってきたことをみんな信じて、戦っていこうという話し合いをしました。

–3回の一打勝ち越しの場面、どのような気持ちで打席に入った
しっかりチームのためになんとか1本、という気持ちで入りました。

–4回の2打席連続適時打について
1本でたからといって気を緩めずに、2本目も貪欲に打ちにいきました。

–ご自身は2安打2打点の活躍です
状態は上がりきってないんですけど、そういう中でも打てたというのは大きいと思います。

–菅野秀哉(キャ4)投手が復活を期待させる投球をしたが
守っていて伝わるものはあったので、すごい良かったと思います。

–明日の試合に向けて
明日も絶対勝ちます。

吉岡 郁哉 内野手
–今日の試合を振り返って
(慶大に)春負けて本当に悔しい思いをして、この秋はリベンジということだったんですけど、昨日の初戦負けてしまったので、今日の1戦勝ててよかったと思います。

–2回からの出場でしたが
キャッチボールとかはしていなかったんですけど、気持ちだけは(試合に)入っていました。

–第1打席で本塁打を放ちました
次につなぐという気持ちでずっとバッターボックスに立っているので、それがホームランという形になって、チームに得点が入ったということがよかったです。

–木澤選手の投球の印象は
フォークボールのキレが本当に良くて、ストレートのコントロールも良かったので、甘い球が1球きて、それを仕留められて良かったです。

–菅野選手が好救援を見せました
ずっと悩んでいたと思うので、みんなで声をかけながら、戻ってきてくれたことがうれしいです。

–明日に向けて
僕たちはチャレンジャーなので、受け(の姿勢)ではなくて、チャレンジャー精神でみんなで向かっていきたいと思います。

宇草 孔基 外野手
–今日の試合を振り返って
昨日惜しくも負けて、今日負けたら結構厳しい状況だったので、「絶対勝つ、入りから全員でやっていこう」という気持ちで入り、良い形で勝てて良かったです。

–初回の本塁打について
表の守りの流れがすごく悪くて。1番バッターとして、あそこが流れの結構変わる打席だと思ってたので、責任をもってしっかり準備して打席に入った結果だと思います。打った瞬間にいったと思いましたね。

–昨日の試合を終え、今日の投手への対策は
昨日2安打したのは変化球で、最後の高橋亮吾の時は真っ直ぐの速い球で押されていたので、明日はちょっと速い球で来るかなと想定していて。昨日帰ってから、速い球をイメージしたり、見方を練習してきました。

–2打席目の初球、セーフティーバンドを試みていました
流れを向こうに渡さないというのと、淡白な攻撃にもならないということで。自分が1番バッターとして仕掛けていく姿勢は、後々にもつながってくると思ったので、仕掛けていこうと思いました。

–今日の試合では四球での出塁もいくつかありました
なんとしてでも塁に出る、というのが自分の役割だと思っています。フォアボールでも(出塁することは)ヒットぐらいの価値はあると思うので、自分の中でも良かったと思います。

–明日の試合に向けて
ここまで来たら絶対勝つしかないので。気持ちは明日に切り替わってますし、もう1回全員で入りから全力でぶつかっていけるように(したい)。絶対に勝ちます!

先発し4回2失点の高田
先頭打者本塁打を放った宇草
宇草は同点となる本塁打を放ちガッツポーズをした
慶大を突き放す左越え2点本塁打を放った中村浩
笑顔で勝ち越しのホームインをした小林
木澤から右越え本塁打を放った吉岡
代打で安打を放ち後続につないだ毛利
2打数2安打と結果を残した向山
好投だけでなく打点も挙げた菅野