ここ数年、イチローは第4の外野手として先発を外れる機会が多く、慣れない役割に順応するまで少し時間を要した。■規定打席未満も、今季メジャー1位ピスコッティ(.455)に次ぐ高打率で勝利に貢献 2日(日本時間3日)ブレーブス戦に「1番・右翼」で…

ここ数年、イチローは第4の外野手として先発を外れる機会が多く、慣れない役割に順応するまで少し時間を要した。

■規定打席未満も、今季メジャー1位ピスコッティ(.455)に次ぐ高打率で勝利に貢献

 2日(日本時間3日)ブレーブス戦に「1番・右翼」で先発出場し、第2打席に右中間を破る三塁打を放ったマーリンズのイチロー外野手。右中間最深部に転がる文句なしのタイムリー三塁打で、日米通算115三塁打とし、福本豊氏の持つ日本記録に並んだ。メジャー通算打点も「750」の節目。3000安打まで残り「11」と迫り、金字塔へのカウントダウンも着実に進んでいる。

 ここ数年、イチローは第4の外野手として先発を外れる機会が多く、慣れない役割に順応するまで少し時間を要した。だが、平均的な選手と比べてどれくらい勝利に貢献しているかを示す数値WAA(Win Abobe Average)を見てみると、今季は役割に順応して、本来の打撃センスを発揮していることが分かる。イチローのWAA値は、2012年にヤンキースへトレード移籍して以来、平均選手を下回るマイナス数値を示していた。昨季は過去最低で-2.6だったが、今季は0.8に大きく回復した。

 今季の好調を物語る数字が、もう1つある。「得点圏打率」だ。この日のブレーブス戦では、2点を追う3回2死二塁の好機で右中間をきれいに割る三塁打で1打点を挙げた。同じく得点圏に走者を置いた第3打席と第5打席は空振り三振に倒れたが、それでも今季得点圏打率は.435で、12打点を挙げている。今季メジャー最高の得点圏打率を誇るのは、カージナルスのピスコッティで打率.455。もちろん、イチローは規定打席には達していないが、2位ジェイ(パドレス)の.412を上回る数値を誇っている。

■過去得点圏打率4割超えは2001年のみ、昨季の.207から大幅アップ

 自身の成績を振り返ってみても、16年のキャリアを通じた得点圏打率.309を1割以上も上回る。これまでの最高はメジャー1年目の2001年に記録した.445で、2002年以降は4割を超えたことはない。特に、ヤンキースへ移籍した2012年以降は、いずれの年も.250を下回る打率だった。特に、昨年の得点圏打率は過去最低の.207に沈んでいた。

 メジャー通算500盗塁を皮切りに、日米通算安打数でピート・ローズを超えたり、日米通算三塁打数が福本氏の日本記録に並ぶなど、記録ラッシュに沸くイチローは、メジャー通算3000安打という次なる記録にも一歩一歩近づいている。輝かしい記録にばかり目を奪われがちだが、チャンスで見せる勝負強さでも、42勝39敗と勝ち越すチームに日々貢献している。