法大2回戦123456789計早大0140000005法大0000100001(早)〇久郷、前田-吉田♢(本塁打)徳島(3表、満塁) ♢(三塁打)池澤(2表)  初戦は法大のエース尾崎海晴(2年)に抑え込まれ、0-2で悔しい完封負けを喫した…

法大2回戦
早大
法大
(早)〇久郷、前田-吉田
♢(本塁打)徳島(3表、満塁) ♢(三塁打)池澤(2表)

  初戦は法大のエース尾崎海晴(2年)に抑え込まれ、0-2で悔しい完封負けを喫した早大。きょうの第2戦は、優勝へ向けてもう負けることのできない状況に追い込まれ迎えた。プレッシャーの掛かる試合だったが、序盤から打線と投手陣の歯車ががっちりと噛み合う展開となり、見事に5-1で勝利。何とか1勝1敗のタイに戻し、崖っぷちで踏みとどまる結果となった。

  初回は法大・石橋錬(1年)、早大・久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)の両先発共に走者を出すも無失点に抑え、無難な立ち上がりを見せる。先に得点したのは早大。2回の裏、1死一塁から早大の7番・池澤一真(スポ2=栃木・大田原)が右翼越えの適時三塁打を放ち、先制に成功。そしてなおも走者三塁の場面に。前日のロースコアでの試合を考えるとここでさらに得点を挙げたいところだったが、続く1死三塁のチャンスで8番の久郷がスクイズを空振りし、三塁走者は本塁タッチアウトに。追加点はならず、一気にいやな雰囲気が立ち込めた。しかし、そんな雰囲気を久郷が自らの投球で払拭(ふっしょく)して見せた。相手の7、8、9番をわずか7球で3者凡退に抑える圧巻のピッチング。相手に渡しかけた流れを再びチームに呼び戻して見せた。すると打線がその流れに乗り、つながりを見せる。2死から池上倫平副将(政経4=東京・早稲田実業)が意表を突いたセーフティーバントを決め出塁すると、3番・永井隆太(スポ4=石川・七尾)、4番・中村大輔(商4=東京・早大学院)も連打で続き、2死ながら満塁のチャンスをつくる。この絶好の場面で打席には5番の徳島有樹(スポ4=早稲田佐賀)。「自分も後ろにつなげようって気持ちで打席に入った」(徳島)と言うように、力みのないスイングから放たれた打球は大きな弧を描いて左翼スタンドへ飛び込む満塁本塁打となった。徳島自身が「点数を取りに行くところだった」と言うように、ここで点が入るかは入らないかがその後の展開に大きく影響する場面だっただけに、チームにとって非常に大きな4点となった。


満塁本塁打を放った徳島

  4回以降は、投手陣の粘りが光った。先発の久郷は6回を投げ、4安打3奪三振1失点の好投。ストライク先行のテンポのいい投球で法大打線に反撃の隙を与えなかった。与四球も1球と制球面が乱れることもなく、終始安定した投球で試合を作り、先発としての役割を果たしたといえるだろう。2番手の前田直輝(スポ3=熊本)はボール球が先行する場面が多く、不安定な面を見せたが、3回を2安打2四球無失点にまとめ、試合を締めくくった。一方の打線だが、6回から登板した法大の西村勇輝(1年)の前に安打1本に抑え込まれ、追加点を奪うことができなかった。


正捕手・吉田龍平(スポ3=東京・小山台)(左)と前田。二人でピンチを乗り切った

  きょうの勝利で、何とか1勝1敗のタイに持ち込んだ早大。あすは2014年の東京六大学春季リーグ戦以来となる優勝へ向けて、絶対に負けられない試合になる。その大事な試合に向けて、この試合で1つ、気になるプレーがあった。9回表の攻撃、1死三塁の場面で不用意に三塁走者が飛び出し、アウトになってしまったのだ。きょうは4点をリードしている展開だったため大事には至らなかったものの、第3戦の法大の先発は初戦で完璧に抑え込まれた尾崎が予想され、僅差の試合展開になる可能性が高い。接戦ではミスが命取りになってしまうため、しっかりとサインの再確認を行い、あすの試合ではこのようなことがないことを期待したい。

(記事 吉田昭太、写真 友野開登)

★その一撃で優勝へ!


左翼手として活躍する徳島。守備位置に入る前には一礼をしている。

  夏の清瀬杯第50回全日本大学選抜(清瀬杯)から5番打者としてクリーンアップの一角を担う徳島有樹(スポ4=早稲田佐賀)。その長打力と、勝負強さでチームに勝利をもたらしてきた。きょうも1点リードで迎えた3回2死満塁の場面で持ち前の強さを発揮。振りぬいた打球は、広い法大多摩グラウンドの左翼スタンドへ飛び込む満塁本塁打に。これが決勝点となり、徳島の一打で試合が決まった。この試合を始めとして、その活躍は目覚ましい。しかし徳島は、いつも自身のことよりもチームの勝利のことを一番に考えている。「本当に(負けたら)最後のつもりで、試合にすべてをかけるつもりで、自分は臨んでいます」と、気合も十分だ。その強い思いを胸に、学生最後の栄冠を勝ち取れるか。徳島の一撃で優勝へと導きたい。

(記事 金澤麻由、写真 友野開登)

コメント

徳島有樹(スポ4=早稲田佐賀)

――3回の満塁本塁打の感触はいかがでしたか

感触は、別に長打を狙ったわけではなかったので、打った瞬間いったとは思いましたが、「あぁ、行った」みたいな感じです。

――あの回、バント安打なども絡み2死満塁での打席でしたが

倫平(池上)がセーフティーバントで出て、永井、大輔(中村)がヒットでつないだ、という形で、皆のつなげようって気持ちが自分にも伝わってきたので、自分も後ろにつなげよう、という気持ちで打席に入りました。それと同時に、点数を取りに行く場面だったので、打とう、と思って入りしました。

――本塁打を打ってダイヤモンドを回っている時の気持ちはいかがでしたか

うれしかったのですが、まだ3回だったので。5-0だったのですが、法政打線が良いので、気が抜けないなという感じで。もう一回自分に言い聞かせるつもりで、気引き締めないとな、という気持ちで回ってました。

――きょうの先発投手への対策は

法政はピッチャーが3,4人いるんですけど、みんなほんとにレベルが高いピッチャーで、1点差のゲームになる。そういう試合で勝ちきることしか頭の中になかったので、ビデオ、映像などでしっかり球種などを準備しました。甘い球が本当に来ないので、そこを仕留められように対策をかなりやりました。

――第4打席の中前打が変わった投手からチーム初安打でした

前の打席も自分はあのピッチャーでした。ちょっと曲がる球で崩されてライトフライになっちゃって、そこから誰も打てませんでした。なので、普通にいいピッチャーだなと。スピードも140キロくらい出ていて、いいピッチャーだったので、先頭(打者だったので)どうしても追加点がほしいと思って、(出塁するために)自分はフォアボールというよりもヒット打つ方が確率が高いので、初球から甘い球思い切って行こうと思って、打席に入って、いいところに来たので振ったら、ヒットになりました。

――痛烈な当たりでしたが

打った瞬間ヒットだなって。自分は、後半にヒットを打って出塁をしたら、代走が出る、と決まっています。代走が出て、守備固めという形なので、(代走で)阪下(駿、人4=東京・成城)を出したいな、と。阪下が出たらどうせ盗塁するので、とりあえず塁に出ようと思って、思い切り振りました。

――きょうの試合絶対に落とせない試合でした

正直、きょう負けたら多分優勝がない、と思っていました。法政があれだけ強いので、多分(他の大学から勝ち点を)落とさないと思うので。本当に(負けたら)最後のつもりで、試合にすべてをかけるつもりで、自分は臨んでいます。自分の結果よりも、チームの勝ちのためにできることをやろうという意識で試合に臨んでいます。

――あす以降、今シーズンへの意気込みをお願いします

あす以降と言うか、自分はもうあすのことしか考えていません。あすはまた尾崎が投げてくると思うので、本当に尾崎をどう打ち崩すかというのを考えたいです。絶対にまた1点差の総力戦になると思うので、泥臭い野球で、ウチらしい野球で、しっかり勝っていきたいと思います。

久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)

きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最初からテンポが良くて、フォアボールを出さずにいけたのは良かったと思います。

きょうの試合の法大の印象を教えてください

自分の持っている力を出せば抑えられる相手だな、と感じたので、あす投げるか分からないですが、もし投げたらきょうと変わらずに投げていきたいと思います。

強敵の法大に投げるということで、プレッシャーなどはありましたか

きょう負けたら勝ち点を落としますし、勝ち点を落としますと優勝というのもかなり厳しくなってくるので、そういう意味では落とせないというプレッシャーはありました。

5回の失点シーンを振り返って、いかがですか

ヒット、ヒットで作られたチャンスだったので、仕方ないなという感じで、あまり引きずりはしなかったです。仕方ないなと切り替えることが出来ました。

最後に、今後のリーグ戦の意気込みを教えてください

まずはあす勝ってこの法政戦で勝ち点を取って、まだ3カードあるので全部勝って優勝目指して頑張ります。

池澤一真(スポ2=栃木・大田原)

――きょうの投手の対策は

藤ノ木さん(祐真、スポ4=千葉・市川)だったり、2年の田中(優、教2=神奈川・桐光学園)だったりが、ビデオなどをたくさん取ってきてくれていたので、それをみんなで共有して、球種とか起動などを見ていたので、想定はできていました。

――先制打の場面を振り返っていかがですか

自分の前の龍平さん(吉田龍平、スポ3=東京・小山台)がいい形で(塁に)出てくれたので、自分もとりあえずつなぐことだけを考えていきました。

――リーグ戦に出てみていかがですか

清瀬(杯)が終わってから時間はありませんでしたが、みんなの状態は良いので、いい流れで来ているのかな、と思っています。

――今のご自身の調子はいかがですか

良くはないですが、要所要所で自分のプレーはできているかな、と思っています。

――最後に、あすに向けて一言お願いします

優勝するには、法大から勝ち点を取るというのが必須条件になってくると思うので、しっかり勝ちにいきたいと思います。