11連覇を目指す早大とそれをなんとしてでも阻止したい学習院大とが東伏見馬場でしのぎを削った全学習院対全早稲田定期戦(早学戦)。今回で65回目を迎えたこの伝統の一戦は両者一歩も譲らない展開となり、決着は最終競技の中障害飛越競技(中障害)にま…
11連覇を目指す早大とそれをなんとしてでも阻止したい学習院大とが東伏見馬場でしのぎを削った全学習院対全早稲田定期戦(早学戦)。今回で65回目を迎えたこの伝統の一戦は両者一歩も譲らない展開となり、決着は最終競技の中障害飛越競技(中障害)にまでもつれる。しかし最後は早大が勝負強さを発揮しこの競技で勝利を収め、見事11連覇を成し遂げた。
激しい雨の中で行われた1日目。第1競技の馬場馬術競技(馬場)L1課目では大沢暁音(スポ1=茨城・真壁)が、「雨の影響で少し馬が重たくていつもと違う感じがしたんですけど、全力は尽くせたかなと思います」と話すようにコンディションが悪い中でも得点率65.400パーセントを出して1位となる。また、山口ありさ主将(文構4=東京・恵泉女学園)も60パーセント以上の高得点率を記録。早大が勝ち点2を取り幸先のよいスタートを切った。しかし続く第2競技の学生賞典馬場では1位と2位を学習院大の選手に独占され、1点の差ながらもリードを許してしまう。まずは追い付きたい早大は第3競技の小障害で福田かおり副将(スポ4=神奈川・公文国際学園)のノーミスの走行などで勝利をつかみ、学習院大と同点の勝ち点5で1日目を終えた。
馬場のコンディションが悪い中でも高得点率をたたき出した大沢とエーデル・シュタイン
2日目は雨も上がり、第4競技の高校生障害は早実高、第5競技のOB障害は学習院大OBがそれぞれ勝利。この時点で両者は同点であり、総合の勝敗の行方は最終競技の中障害に委ねられた。前半走行した選手が失権し続ける中で、早大は3番手の石山晴茄(スポ3=茨城・つくば秀英)が減点を4に抑え見事完走を果たす。しかし、石山の次に走行した学習院大の主将・安田利実がクリアラウンドし、最終7番の山田雪乃副将(文4=群馬・渋川女)は失権すると早大の敗北が決まるという状況に。しかし、「不安が多かった」と語る中でも減点0の完璧な走行を披露。この瞬間、早大の11連覇が決まった。その後のジャンプオフでも安田が障害を1つ落下させたのに対し山田は再びクリアラウンド。中障害を制し、最後の早学戦で有終の美を飾った。
最後の早学戦で活躍した山田とペルペチュエル
早大は接戦を制し勝ちを手に入れたが、選手たちはその勝利に満足せず、福田が「失敗は失敗なので次につなげていきたいと思います」と話したようにすでに次の戦いに目を向けている。このような高い志を忘れず、11月の全日本学生大会でも自分たちの力を出し切ってくれることに期待したい。
(記事 能瀬颯平、写真 佐藤詩織、青柳香穂)
結果
▽第1競技 JFE馬場馬術競技L1課目 2013(2018年更新版)
○早大2—1学習院大
優勝 大沢・エーデル・シュタイン 65.400パーセント
3位 山口・稲隆 62.400パーセント
5位 萬田雛乃(人3=東京・東学大付)・カプチーノA 58.533パーセント
6位 武井梧右(スポ2=東京・東農大一)・稲俊 57.000パーセント
9位 野中友貴(国教4=International School of London, Qatar)・稲彩 54.266パーセント
10位 山下大輝(スポ2=宮城・東北)・稲太郎 51.833パーセント
▽第2競技 全日本学生馬術連盟制定 学生賞典馬場馬術課目 2018
●早大1—3学習院大
3位 石山・稲隆 59.010パーセント
4位 下愛理彩(社3=東京・早実)・エーデル・シュタイン 58.802パーセント
5位 福田・カプチーノA 57.812パーセント
▽第3競技 現役小障害飛越競技(100cm)
○早大2—1学習院大
優勝 福田・ゾビオン 総減点0
2位 下・稲純 総減点4
3位 栗原穂高(教3=埼玉・早大本庄)・タニノマティーニ 総減点9
▽第4競技 高校生障害飛越競技(80cm)
○早実高2—1学習院高
▽第5競技 OB障害飛越競技(80cm)
●早大OB1—2学習院大OB
▽第6競技 現役中障害飛越競技(110cm)
○早大3—1学習院大
優勝 山田・ペルペチュエル 総減点0(ジャンプオフ 総減点0)
3位 石山・ゾビオン 総減点4
大沢・稲翼 2反E
山下・稲太郎 2反E
▽最終結果
優勝 早大
2位 学習院大
コメント
山口ありさ主将(文構4=東京・恵泉女学園)
――試合が始まる前のチームの雰囲気はどのような感じでしたか
11連勝が懸かっていた分のプレッシャーを感じつつも、絶対勝つぞという気持ちで一致団結してたかと思います。
――初日は雨で馬場のコンディションも悪かったと思いますが、どういった意識を持って演技に臨まれましたか
自分が出た稲隆は足がそこまで強くないので、馬場(のコンディション)が悪い中で点数が出にくいんじゃないかという心配があったんですけど、点が取れるところで点が取れたことは良かったなと思いました。あとは改善するところが見つかったので、また次の試合があればそこに向けて直していきたいなと思います。
――どのようなところが改善点でしょうか
前半人間の緊張もあって、もう少し馬のサポートもできたはずなのに、いつも以上に演技が悪かったなという点ですね。
――それでも結果的に60パーセント以上の得点率が出ましたね
見てくれた後輩の石山(晴茄、スポ3=茨城・つくば秀英)が喜んでくれた点数だったので、それは素直にうれしかったですね。
――チームは11連覇を果たしました
本当に一安心でした。本当に最後の競技まで結果が分からなかったので、ハラハラドキドキしたんですけど、同期の山田雪乃(文4=群馬・渋川女)が決めてくれてすごくうれしかったですし、取りあえず一安心したって感じです。
福田かおり副将(スポ4=神奈川・公文国際学園)※中障害飛越競技前
――早学戦への意気込みはどのようなものでしたか
今回は学生賞典(馬場馬術課目)と小障害(飛越競技)に出ていて、もともとメインは学生賞典だったので、結果としてはあまり良くなかったのですが学生賞典を頑張りたかったというところが正直ありました。しかしもちろん小障害を一番で帰ってくるというのも目標であったのでそれは達成できてよかったです。
――馬場のコンディションが悪い中でしたが、学生賞典馬場を振り返っていただいていかがでしたか
馬場が悪いというのもあったのですが課題が残るかたちになってしまいました。ただいつも出ている試合での課題とはまた違った課題が見つかったのである意味での進歩かなとは思っています。しかし失敗は失敗なので次につなげていきたいと思います。
――次は小障害を振り返っていかがでしたか
石山(晴茄、スポ3=茨城・つくば秀英)が普段乗っている馬に乗せさせてもらって、素晴らしい馬なので私が邪魔しないようにと思って乗った結果ほとんど馬に助けられたというのが大きかったです。
――小障害では馬場の悪さは影響しましたか
始まる前は雨で馬場の状態がぬかるんでいて滑りやすいことが不安でしたが、始まってしまったらそのようなことを考えている余裕はなかったです。
――最後にこれから中障害に臨む仲間に一言お願いします
もちろんどの競技もいいメンバーですが、その中でも中障害はベストメンバーで臨んでいるので絶対勝てると思っていますし、今年も総合戦はワセダが勝ちます。
山田雪乃副将(文4=群馬・渋川女)
――きょうはどのような意気込みで臨まれましたか
最後の早学戦で、ここ2年は出れてなかったので、最後ぐらいは結果を残してみんなに(ペルペチュエルが)いい馬だって思ってもらえるように乗っていこうと思ってやってきました。
――山田選手の出番の前に走行した選手が何人も失権していましたが、不安はありましたか
結構(コースが)難しいのかな、止まってるところでは強気でいかないとと思って、不安が多かったですね。
――結果的に2回の走行共に減点0でしたね
私のおかげというよりは馬にいっぱい助けてもらったところがあったので、(馬に)ありがとうと言うしかできないです。
――最後の早学戦で優勝した今の気持ちは
すごくうれしいです。馬に感謝です。
――全日本学生大会には出られますか
そうですね。この間クオリファイ(競技)が取れたので出れます。
――どういった意気込みで臨まれますか
(障害の)高さが上がるので馬も私も不安があると思うんですけど、結果は残せるといいなと思いつつ楽しく(コースを)回ってこれればいいなと思います。
大沢暁音(スポ1=茨城・真壁)
――昨日の馬場馬術競技L1課目は好成績でしたが振り返ってみていかがですか
まだ4回しか乗ったことのない馬で、馬の感じも全然掴めていなかったんですけど先輩がすごく下乗りをしてくださったすごい馬で、自分が乗ってるだけでもすごく勉強になったので良かったなと思います。
――雨の影響というのはありましたか
雨の影響で少し馬が重たくていつもと違う感じがしたんですけど、全力は尽くせたかなと思います。
――今日の中障害飛越競技にはどういった感想を持ちましたか
帰って来られるように頑張ったんですけど、3(番障害)で止まってしまって悔しいです。
――初めての対抗戦となりましたが雰囲気等いかがでしたか
雰囲気はいつもと変わらないような感じで、すごく落ち着いてできたのかなと思います。
――最後に全日本学生大会への意気込みを教えてください
関東よりもよくできるように馬の調整とか頑張って、少しでも団体に貢献できるように毎日頑張っていきたいと思います。