最大のライバルをはねのける強さが、今季の女子部にはあった。関東大学リーグ(リーグ)も最終戦を迎え、早大は筑波大と対戦。筑波大は2年続けて全日本大学対抗王座決定試合(王座)決勝で顔を合わせた早大の宿敵だが、今季はすでに亜大に敗戦しており、こ…

 最大のライバルをはねのける強さが、今季の女子部にはあった。関東大学リーグ(リーグ)も最終戦を迎え、早大は筑波大と対戦。筑波大は2年続けて全日本大学対抗王座決定試合(王座)決勝で顔を合わせた早大の宿敵だが、今季はすでに亜大に敗戦しており、この試合で5-2以上のスコアをつけなければ王座出場への道が断たれる厳しい状況に立たされていた。全勝を目指して向かってくる相手に対し、早大は女王の貫録を見せつける。ダブルスを2-0と理想的なかたちで折り返し、シングルスで相手の主力選手を破って勝利を決めた。これで女子部は全勝でリーグ3連覇を達成。勢いに乗って約1カ月後の王座に臨む。


リーグを通して抜群の安定感でチームを支えた大矢(左)・上組

 「ダブルス2-0にできるかどうかが大きなカギ」と試合前に話していた大矢希女子主将(スポ4=愛知・名経大高蔵)。その言葉通り、早大はしっかりとダブルスで勝利を手繰り寄せた。ダブルス1の大矢・上唯希副将(スポ4=兵庫・園田学園)組は森崎可南子(4年)・牛島里咲(4年)組と対戦。8月の全日本学生選手権で頂点に立ったペア相手に、早大エースペアは序盤から互角の戦いを繰り広げる。レベルの高いラリーが続き、なかなかネットプレーが決まらない試合展開。その中でも、「しっかり私たちらしいプレーを貫こう」(上)と一歩積極的に攻めた大矢・上組がリードを奪う。5-2から5-5まで追いつかれても主導権を渡すことはなく、ファーストセットを7-5で奪った。続くセカンドセットでも同様の展開に。それでもしっかり勝ち切る強さを見せた早大ペアがストレートで接戦をものにした。ダブルス1の勝利の直後、隣のコートでも早大陣営から歓声が上がった。清水映里(スポ2=埼玉・山村学園)・下地奈緒(社2=沖縄尚学)組はファーストセットこそ一方的な展開で落としたが、セカンドセットからは調子を上げる。石井弥起ヘッドコーチが、「戦いながら勝ち方を覚えて大事な試合で結果を残してくれた」と評したように、勢いに乗った2年生ペアがファイナルセットでは相手を圧倒。2試合連続でフルセットの戦いを制し、チームの勝利を大きく引き寄せた。


格上相手にストロークで打ち勝った大河

 2-0で迎えたシングルス。チームにとって大きな1勝を挙げたのは大河真由(スポ3=千葉・秀明八千代)だった。初めてのシングルス2での起用に、「大役を任されてもらった」(大河)と振り返る。相手は筑波大Wエースの一角・森崎。これまで一度も勝ったことのない相手だったが、大河は臆することなく格上に挑んだ。ファーストセットは相手のストロークに押され4-6で落としたが、「いい意味で開き直れた」(大河)とセカンドセットからはミスを恐れず深いボールを打ち込み続けた大河が次第にペースを握る。森崎の強烈なサーブにも対応し、このセットを6-4で奪った。ファイナルセットでも大河の勢いはとどまることを知らず、ラリー戦で相手を圧倒。最後も強力なバックハンドで押し切り、逆転勝利で試合をチームに3勝目を届けた。ここまでリーグは1勝2敗と満足できない成績だった大河が、学生テニス界屈指の実力者・森崎に勝利。来月に迫る王座、さらには最上級生となる来年に向けて、チームにとっても自身にとっても大きな価値のある一勝となっただろう。「この経験をいかに自信につなげられるか」(大河)。経験を積んだ3年生が、王座でもシングルスでチームの勝利に貢献する。続いて上も筑波大のルーキーを圧倒し、早大の勝利を決める。大矢はセカンドセット途中から足を痛めながらも主将の意地を見せ最後は粘り勝ち。シングルス1は雨で2日にまたがっての試合となったが、2日目に2-4から一気にギアを上げた清水がインカレシングルス女王・牛島に逆転勝利。シングルス4-1、合計6-1の快勝で筑波大を下した。


インカレチャンピオン牛島とのエース対決を制した清水

 「どこの大学よりも早稲田は危機感を持っていた。でもそのおかげで気を引き締められて、チームの気持ちが一つになったと思う」(大矢)。個人戦シーズンで思うような結果を残せず、大きな危機感を持ってリーグに臨んだ女子部。その危機感こそがチームを一つにし、全勝優勝という結果へ導いたのだろう。さらには清水・下地組、大河などリーグを通して成長を見せた選手も多く現れたことも大きい。清水、上といった看板選手だけでなく団体戦で勝利が計算できる選手が出てきたことは王座に向けて好材料だ。伝統のチーム力でリーグを制した早大が次に見据えるのは、愛媛で行われる王座。「私たちが引っ張ってチームを優勝に導きたい」(大矢)。下級生の頃からレギュラーとして活躍してきた大矢と上。さらには応援・サポートでもチームを支えている4年生を中心に今一度意識を高め、一枚岩となることはできるか。最後の1カ月、日本一への道を全力で駆け抜ける。

(記事 松澤勇人、写真 松澤勇人、平松史帆)

結果

○早大6-1



ダブルス1
〇大矢希女子主将・上唯希副将7-5、7-5森崎可南子・牛島里咲
ダブルス2
〇清水映里・下地奈緒1―6、6-2、6-0千村もも花・我那覇真子


シングルス1
〇清水映里4-6、6-2、6-4牛島里咲
シングルス2
〇大河真由4-6、6-3、6-2森崎可南子
シングルス3
○上唯希副将6-0、6-2我那覇真子
シングルス4
〇大矢希女子主将7-6(4)、4-6、6-4千村もも花
シングルス5
●田中李佳4-6、2-6岩井真優

コメント

石井弥起ヘッドコーチ

――まずは男子部のリーグを振り返っていただけますか

結果的に全勝で終わることができて、1位で王座に行けることになったという結果についてはもちろんよかったと思いますし、満足しています。ただ、終わってみて、うれしいという気持ちよりは危機感の方が大きいかなというのが正直なところです。法政も6-3だったけどシングルスは3-3だったし、中大戦も慶應戦も5-4で、正直負けてもおかしくない試合内容だったと思います。その中でも勝ち切ったというのはみんなの頑張りのおかげだし、団体戦の勝ち方を知っている早稲田の素晴らしいところが出たんだけれども、それでもそういうギリギリの戦いになってしまったというのは受け止めないといけないですね。勝ってそういう危機感を感じさせてくれたのは逆によかったかなと思います。

――男子部の王座までの改善点は

もう一度個々のレベルを上げること、ケガ等を含めコンディションを万全にすることが最優先です。その後でもう一度ダブルスの見直しをして、シングルスに優位な状態で臨めるようにというダブルスをつくり上げたいです。シングルス下位陣は頑張ってくれていたと思うので、あとは上位陣ですね。島袋、田中、千頭、小林には奮起、頑張りに期待したいです。

――女子部は個人戦で結果が出ずに迎えたリーグでしたが、振り返って

女子は春先から今年はどこの大学もレベルに差がない、早稲田は連覇はしているけれど今年は総力戦になるというのは常に言ってきて、それを意識しながらやってきました。その中で春関、インカレ、夏関と思うような結果を出せなくて、やっぱり厳しい、タフな戦いになるなとは感じていて、それがいい意味でリーグに臨む覚悟、勇気につながったと思います。みんなが同じ方向を向いて戦ってくれたと思います。

――リーグを通して成長した選手はいましたか

ダブルス1は上・大矢が非常に安定していて実力も学生トップクラスで安心して任せられるので、ダブルス2がキーポイントになると思っていて。ダブルスで二本取れれば楽になる中で、清水・下地は最初は負けはしましたけれど内容は悪くなかったので、戦いながら勝ち方を覚えて慶應、筑波と大事な試合で結果を残してくれたと思います。

――最後に王座への意気込みをお願いします

ここで勝っても王座で負けたら意味ないので、王座で勝つためにあよ3週間どう過ごすかが大事になってくると思います。また気を引き締めて、ここのレベルを上げていきたいと思います。

大矢希女子主将(スポ4=愛知・名経大高蔵)・上唯希副将(スポ4=兵庫・園田学園)

――ダブルスの相手はインカレチャンピオンでした。対策などはありましたか

私たちらしいプレーをすれば勝てるかなとは思ってました。試合でいつも通りのプレーをするのは難しいですけど、しっかり私たちらしいプレーを貫こう、ストロークはしっかり逃げない、出れるところはしっかりポーチに出るっていう最低限のところができればチャンスはくると思ってプレーしてました。ベンコに松崎さん(勇太郎、平29スポ卒=現プロ・フリー)が入ってくださって、的確なアドバイスもくださって落ち着いてプレーできたと思います。

大矢 森崎さんはインカレダブルス2連覇していて、実力はもちろん精神的にも充実している選手だったんですけど、私たちがしっかりいつも通りプレーして、実力を発揮できれば勝てない相手じゃないと思っていたので、気持ちで戦っていこうと思ってました。

――牛島選手のサービスゲームでブレークできたのが大きかったですか

そうですね。1回しかキープされなかったんですけど、牛島さんサーブで森崎さんのボレーミスが結構多かったので、それが決まってたらスコアも逆だったかもしれないので、正直助けられた部分が大きかったかなと思いますね。

大矢 牛島さんサーブの時に森崎さんが焦っていたのかボレーミスが多くて、それで相手が二人とも焦りを感じていたと思います。私たちも5-2のセットポイントでミスをしてそこから5-5までまくられてしまって焦りはあったんですけど、私たちができることをやるだけだと思って余裕は保っていたので、そこの差が出たかなと思います。

――ダブルス2もほぼ同時に試合が終わりました。隣のコートにもいい影響を与えられたと思いますか

大矢 どちらかというと私たちがパワーもらってたよね。

そうだね、セカンドから隣はかなり優位に試合を進めていたので、私たちは拮抗していたんですけど隣のいい流れをうまくもらえたかなと思います。逆に隣が劣勢だったら私たちもズルズルいってしまってたかもしれないので、そこは団体戦ならではだなと思いましたね。

――シングルスの試合を振り返って

リーグ期間通して私の思うようなプレーはできていなかったんですけど、徐々に調整していって筑波戦には間に合ったかなと思います。チームとしては私が入ったときは私が勝って流れを持っていかなきゃいけないポジションだったので、チームに勢いを与えられてよかったなと思います。

大矢 試合に入った時はチームの勝敗も決まっていなくて、私が勝たなきゃっていう気持ちが強かったです。途中で大河、上が勝って勝利が決まって、素直にうれしかったんですけど、その辺で足をつっちゃって、でもここで諦めるわけにはいかないなと思って、最後の方はみんなの応援のおかげで自分らしいプレーではなかったかもしれないですけど最後まで頑張って勝つことができて、本当に団体戦でみんなと戦えてうれしいなと思いました。

――リーグ全勝優勝です。全体的に振り返っていかがですか

大矢 多分どこの大学よりも早稲田は危機感を持っていたと思います。インカレでも結果を残せなくて、でもそのおかげで気を引き締められたというか、気を引き締めるしかなかったんですけど、そこで例年以上に今年は本当に王座に行けないかもしれないという危機感を全員が持っていたからこそ、そこから全員が絶対勝つぞという強い気持ちを持ってリーグに臨めたのがよかったと思います。

優勝できたのはうれしいんですけど、まだリーグは通過点でしかないので、いいスタートを切れたとは思います。関東からは早稲田と亜細亜が王座に出ますけど、私は亜細亜戦で負けて清水に勝敗を懸ける展開にしてしまった反省もありますし、1位通過できたことを自信にして、あと少し王座に向けて頑張っていきたいと思います。

――最後に王座に向けて意気込みをお願いします

絶対取ります!

大矢 そうだね、取ります!連覇もしていてみんなプレッシャーも感じると思うんですけど、リーグでも上と私で三本取るって言いながら頑張ってきたので、王座でもそれは変わらず私たちが引っ張ってチームを優勝に導きたいと思います!

大河真由(スポ3=千葉・秀明八千代)

――シングルス2ということですが、起用が知らされたのはいつごろでしょうか

前日の夜です。

――そのときのお気持ちはいかがでしたか

2で出させていただくのは、大学の団体戦では初めてだったので緊張といいますか、大役を任せてもらったなという感じでした。

――森崎さん(森崎可南子、筑波大)対策というのはありましたか

ジュニアのころからもそうですし、大学に入っても対戦したことはあるんですけど、ボールの勢いがすごくて。スピードも速いですし、サーブもいいしストロークもいいということで、あきらかに技術の差があるので、自分の得意なことをできる限りやろうと思っていました。対戦成績も、大学に入ってからは2回あるんですが、どちらもサッと負けてしまっていました。

――セカンドセットから上がってきたように感じましたが、振り返っていかがですか

ファーストセットで1ー4まで離されてしまって、逆にいい意味で開き直れたと言う感じです。ファーストの落とし方か良かったのでセカンド以降はこっちのペースになったと思います。

――ストロークで相手を押していたように感じました

私のできることがストロークしかないので必死に頑張りました。

――試合後に米原さん(米原さくら、スポ2=埼玉・秀明英光)と抱き合っていましたが、お気持ちはいかがですか

米原が審判に入ってくれていたんですが、試合後に号泣していて。私自身もなんで泣いているのか分からなかった部分もあったんですが、それでおもわずしました。

――この勝利は自信につながったんじゃないでしょうか

そうですね。自信に変えていきたいと思います。もちろん、自分が頑張った部分もあるんですけど、今回はベンチコーチやサポートのみんなの力があってこその結果だと思うので、この経験をいかに自信につなげられるかだと思います。

――リーグ(関東大学リーグ)全体を振り返っていかがですか

2、3、4、5戦に出させていただいたんですが、結果としては2勝2敗ということで、チームに大きく貢献できたかというと自分の中では納得がいっていないので、今回の結果を反省して次の王座以降にいかしていければと思います。

――王座(全日本大学対抗王座決定試合)に向けて意気込みがあればお願いします

ここまできたら、やるしかないと思うので、チーム一丸となってやることが王座優勝につながると思うので、頑張ります。

清水映里(スポ2=埼玉・山村学園)

――今回、インカレ(全日本学生選手権)チャンピオンとの対決となりました

夏の結果では向こうは優勝していて、チャレンジャー精神でいければいいなと思っていたのと、昨日の時点ではまだ分からない状況だったので私にかかったとしても強気でチャレンジャー精神で団体の皆さんの力を借りていこうと思っていました。

――2日にわたって試合が行われましたが、やりづらさとかはありましたか

そんなになかったです。0-2からの2-2という状況でいい流れの中断だったんですけど、きょうの最初から集中していければと思っていました。

――きょうの最後の2-4から巻き返したと思います。振り返っていかがでしたか

1回、ポイントのことでもめてしまって、気持ちが切り替えられなくて。そこで前向きに声をかけていただいた応援やサポートの方がいたのでしっかりと切り替えて、受け身にならずにできたことがよかったと思います。

――リーグ(関東大学リーグ)全体を振り返っていかがですか

振り返ってみるとどの試合も簡単ではなかったと思っていまして、第1戦からそうでしたし、ダブルスではチームにいい流れを持っていけなかった部分もあったんですけど、私一人の力ではなくてボーラーとか審判とか応援の方とかベンチコーチの方とかがいたからこそ、優勝できたのかなと思います。

――王座(全日本大学対抗王座決定試合)に向けて意気込みをお願いします

これで4年生の引退がのびて、あと1カ月一緒に過ごせるので、悔いなく終われるように、気を引き締めて全員の力で4年生に王座優勝を届けたいと思います。