全勝優勝に向け欠かせない存在がついに戻ってきた。秋季関東大学リーグ戦第3戦、早大はコートの半数を1年生が占め、血気盛んな都留文科大と対戦した。第1セット、都留文科大の強打が炸裂(さくれつ)し、終盤に流れを奪われ逆転負け。この結果に、都留文…

 全勝優勝に向け欠かせない存在がついに戻ってきた。秋季関東大学リーグ戦第3戦、早大はコートの半数を1年生が占め、血気盛んな都留文科大と対戦した。第1セット、都留文科大の強打が炸裂(さくれつ)し、終盤に流れを奪われ逆転負け。この結果に、都留文科大の応援団の声援が大きくなる一方で、早大の士気は下がっていく。ここで早大はこれまで途中出場のみだった大砲・富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)を投入。前衛に森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)、富澤をそろえる攻撃的布陣となった早大は、第1セットから一転、このダブルエースからくりなされる強烈なスパイクを中心に怒涛(どとう)の攻撃をみせ、第2、第3セットを連取する。このまま流れに乗り、第4セットも取りたい早大だったが、都留文科大に粘られ、リードを許し終盤を迎える。絶対に落としたくない展開の中、主将森が獅子奮迅の活躍を見せ大逆転。春まで1部で戦っていた実力を呈し、セットカウント3-1(21-25、25-15、25-11、26-24)で開幕3連勝とした。

 第1セット、序盤にペースをつかんだのは早大だった。先週の試合で乱れのあったレセプションが良く、橋本美久(社1=福島・郡山女大附)にAパス(※1)が入る。それを橋本が森、植松知里(文構2=香川・高松第一)らアタッカーに散りばめ、さらには自身もツーアタックを決めるなど波に乗り点差を広げていく。しかし、都留文科大も黙ってはいない。サイドから打たれる強打になかなか対応できず、中盤には6連続得点を許すなど流れを失う。一方の早大はサイドアウトを取った直後にサービスミスが起こるなど流れを自ら絶ってしまう。ピンチサーバー梨本未央(社2=東京・駒場)のサーブが流れを生み、追いつくかに思われたが、最後は4連続失点で逆転負け。先週垣間見えた粘りのバレーが影を潜めていた。ここで馬場監督(平8人卒=京都・洛南)は沈んだチームに秘策を講じる。これまで途中出場が続いていた富澤を第2セットのスタートから起用。これがチームの起爆剤となる。早速コートに入った富澤がこのセット最初の得点をスパイクで決めると、第1セットではあまりトスと合っていなかった斎藤友里(社1=千葉・敬愛学園)のクイックもそれにつられるかのように決まり始める。たちまちコートの中には好循環が生まれ、守備面でも粘りが生まれてくる。河治えみり(社2=北海道・旭川実業)が強力なスパイクをダイビングでセーブ。森が一枚ブロックで都留文科大の攻撃をシャットアウトするなどブロックも機能。自分たちのバレーを行い、第2セットは早大が奪い返す。


富澤の砲撃は対戦校にとっては脅威だ

 第3セットに入っても早大の勢いはとどまることがない。橋本の的を絞らせないトスワークで相手を翻弄(ほんろう)し7連続得点とセット序盤から試合を決定づける。森、富澤にマークが偏ったところで着実に攻撃力を上げてきている井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)が、スパイクをコースに打ち込むなど相手を終始圧倒。終盤には橋本のサービスエースから再び連続得点を奪い、相手に流れを明け渡すことなくセットを連取する。第4セットは、先ほどのセットとは打って変わり拮抗(きっこう)した試合展開となる。このセットの途中から入った利根川智緩(スポ3=埼玉・星野)がチームを鼓舞するも、決めきれない場面が多く都留文科大に先行される。しかし、この日の早大はこれまでと違った。劣勢に立たされた終盤、富澤、森が連続でこれまで苦しめられてきた痛烈なスパイクをブロックで制し同点。さらにタイムアウト後も流れを手放すことはなく、森のスパイクで逆転に成功する。都留文科大に粘られ、ジュースに持ち込まれるも逆境の中で森が真価を発揮。「あそこで決めてくれるのがキャプテン」(富澤)という言葉通り、緊迫した場面で上がってきたボールを振り抜き、最後も森のスパイクがコートに突き刺さりゲームセット。自信に満ちた表情を浮かべながら選手はエンドラインに立った。


河治の安定したディフェンス

 富澤の復帰を始め、植松がセッターに戻るフォーメーションが組まれるなど様々な選手起用が見られたこの試合。コートに立った選手はそれぞれの役割を全うし、第2セット以降それが結果として現れただけにきょうの試合で得られた収穫は多い。しかし、「まだまだフェイントとか落とされて、攻撃につながらないプレーもあった」と富澤が語るように攻守共に課題はまだまだある。あした対戦する敬愛大に自力があるだけに、これまで苦手としている第1セットから総力を上げなければ足元をすくわれるだろう。もう一度気を引き締め直し、早大は目標である「全勝優勝」にまた一歩あゆみを進める。

※1 セッターのセットアップ定位置に戻ったレセプション

(記事、写真 遠藤伶)

セットカウント
早大21-25
25-15
25-11
26-24
松蔭大
スタメン
レフト 森佳央理(スポ4=群馬・高崎女)
レフト 井上裕利恵(スポ2=岡山・就実)
センター 村山果菜(教2=東京・国際)
センター 斎藤友里(スポ1=千葉・敬愛学園)
ライト 植松知里(文構2=香川・高松第一)
セッター 橋本美久(社1=福島・郡山女大附)
リベロ 河治えみり(社2=北海道・旭川実業)
コメント

富澤結花(スポ3=東京・文京学院大女)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

自分がいないチームで勝ちたいとみんなが言ってくれていて、第1セットを落としていなかったら出ることはなかったんですけど、雰囲気悪く落としてしまって、自分もこれが初戦ということで緊張はあったんですけど、なんとか最後勝ちきれてよかったです。

――第2セットからは今秋初のスタートからの出場でした

緊張しました(笑)。これまでチームに迷惑をかけてしまっていたので、その分全力で頑張りたいと思いプレーしました

――ご自身のプレーを振り返っていただけますか

80…いや70点位ですかね。キャッチがあまりよくなかったです。自分でとって打ちにいくであったりだとか、バックの時はもっと取りにいくことができたらもっとよかったと思います。

――試合が進んでいくにつれ、ブロックが機能し始めたりと守備がよくなっていましたが、今のチームのディフェンス面を振り返っていただけますか

先週の試合で早大の持ち味は粘りだと再確認して、粘ろう粘ろうという雰囲気がチームにあったんですけど、まだまだフェイントとか落とされて、攻撃につながらないプレーもあったので、そういうところに課題があると思います。

――第4セット、劣勢の中での逆転勝ちでした

最初から走れていなくて、苦しい展開になってしまったり、私と佳央理さん(森、スポ4=群馬・高崎女)が前衛にいないローテであったりとかチーム的に苦しい展開はあるんですけど、そこで後ろで声を出したり、そのローテになる前にもっと点数を稼ぐとかできることはあると思うので、もう少し上手くローテを回せていたらもっと楽な展開になっていたかなと思います。

――終盤は森さんの活躍が光った試合でした、副将として主将のプレーどう目に映っていますか

頼りがいがあるというか、前衛に佳央理さんがいたら佳央理さんに持っていこうっていう雰囲気がチームとしてあるので、やっぱりあそこで決めきってくれるのがキャプテンって感じです。

――最終戦へ向けての意気込みをお願いします

明日は勢いに乗っているチームで、練習試合もやっているんですけど、乗ってきたら止められないんで、もっと序盤から緊張感を持って攻めていきたいと思います。