前節終了時点で法大を勝ち点差1で追う形となった慶大。4位以上を射程圏内に入れるためには負けられない1戦となった。試合開始早々先制点を法大に与えたものの、それ以降はGK小池丈二(経3・浦和)の好セーブが光り、追加点は許さない。第2、3ピリオド…

前節終了時点で法大を勝ち点差1で追う形となった慶大。4位以上を射程圏内に入れるためには負けられない1戦となった。試合開始早々先制点を法大に与えたものの、それ以降はGK小池丈二(経3・浦和)の好セーブが光り、追加点は許さない。第2、3ピリオドにはFWスーリック(総4・駒大苫小牧)の活躍で2点を奪取、2-1で粘り勝ちを収めた。


しのぎを削る両校

2018年9月30日(日)12:30F.O. @ダイドードリンコアイスアリーナ

 1P2P3PTOTAL
慶應義塾大学0(6)1(10)1(11)2(27)
法政大学1(17)0(18)0(13)1(48)

※()内はシュート数

関東の大学上位8校が激突する秋リーグの前半戦、最後の試合となった第7節、相手は法大。第6節終了時において慶大は、法大を勝ち点差1で追うリーグ状況となっていた。法大は個々のスキルが高く、勢いに乗らせてしまうと爆発的な力を発揮する底力のあるチーム。どのように慶大は法大を封じたのだろうか。

第1ピリオド開始早々3分、慶大はミスから先制を許し、出鼻を挫かれる。奇しくも前日に行われた第6節日体大戦と同じ時間の先制弾となったが第6節ではしっかりと逆転勝利を収めている、慶大は揺るがない。その後はキルプレーの時間が長引いたが落ち着いてゴール前を固め、第2ピリオドへと望みを繋いだ。


ゴール前へのエントリーを許さない慶大の布陣


体を張って守備に貢献したDF小嶋遼亮(経1・慶應義塾)

第2ピリオドも超攻撃型の法大に攻め込まれるがGK小池がブレイクアウェイを止めるなど慶大の流れを作る。6分、パワープレーのチャンスでマークが外れたFWスーにFW十文字開紀(商3・八戸)が絶好のパスをフィード、FWスーが力強く振りぬいて同点弾を叩き込んだ。追いつかれた法大も黙ってはおらず、攻撃の手を緩める気配はなかったが、幾度となく訪れるピンチをGK小池が正確なリバウンドコントロールと素早いバタフライスライドで無失点のまま切り抜ける。


同点弾をお膳立てしたFW十文字

第3ピリオドはGK小池の奮闘にプレイヤー陣が応え、前節で5得点の大暴れをしたFW長谷川真之介(政3・慶應義塾)―FW十文字―FWスーの最強ラインが機能する。先制を許してから粘り続けること42分が経った15分、FWスーがリバウンドを難なく沈め、ついに逆転に成功した。さらにDF永田誉(環1・日光名峰)がパックを運んでシュートに繋げる場面や、FW富田康太(政4・苫小牧東)とFW立島栞大(政1・慶應義塾)がゴールにあと一歩まで迫るプレーを見せるなど慶大のパック保持時間が長くなった。試合終盤には反則と法大がGKをベンチに上げたことで一時4人対6人の苦しい時間が続いたが、FW田中陸(政3・慶應義塾)を中心にパックを何度もDゾーンからかき出し、最後まで法大に得点を許さなかった。


反則を受けながらもパックに食らいつくFW長谷川


FW立島に絶好のパスが送られる


エンプティネットゴールとはならず

この試合はゲームプラン通りに試合運びができない中でも勝利を掴んだ形となり、粘り強さや運動量の多さ、GK小池のセーブ率の高さ(98%)は慶大のストロングポイントとして明らかになった。しかし本当の慶大の強さは、試合後のコメント中でのFW滝智弥(政4・慶應義塾)主将の「チームが丈二を勝たせてやりたいという気持ちでまとまった」や、この試合2得点FWスーの「どこよりも慶應は一生懸命やる、みんなでチームプレーをできる」の言葉から伝わってくるチーム力なのかもしれない。


「チーム力」

4位の東洋大との勝ち点差は2で、目標とする4位以上に入るためにはこの差を広げるわけにはいかない。次節、3連勝で波に乗る慶大は秋リーグ全勝で破竹の進撃を見せる早大との1戦に臨む。あの5月の早慶戦のように慶大は再び早大キラーとなれるだろうか。

(記事:鈴木啓仁)

以下選手コメント

主将/FW滝智弥(政4・慶應義塾)


サイドを駆け上がるFW滝

――今日のゲームプランは

ゲームプランとしては相手が超攻撃型でターンオーバーなどを与えてしまうと非常に良い攻めをしてくるチームだったので、ターンオーバーをなくして良いパック運びで良い守りから良い攻めに繋げていこうと話し合ってきました。

――ゲームプランは達成できたのか

2ピリまでは自分たちの良いところも出せずにターンオーバーもかなり多くなって、パックが行ったり来たりの望んでいない展開となりましたが、GK小池丈二がよく奮闘して1点で踏ん張ってくれていたので、チームが丈二を勝たせてやりたいという気持ちでまとまったことで何とか勝ち切れました。

――勝利に向けて選手一人ひとりに徹底させていたことは

DFは早くFWにつなぐことと、FWはパックをもらってから簡単に内側に逃げるのではなくサイドを力強く走ることを意識していたのですが、3ピリまでは正直できていなかったです。

――今日の勝利は自信につながったのでは

前の2試合は自分たちのやりたいゲームプランを実行することで勝てていたのですが、今日のように自分たちのやりたいゲームプランができない日もあると思うので、そういう時に勝ち切れたというのは非常に大きな自信になりましたし、流れが悪い中で3ピリに持ち直せたことが収穫になりました。

――リーグ後半戦への意気込みは

前半戦で上位4チームからは勝ち点を1つも奪えず、上位4チームが混戦で差が開いてしまってはいるのですが、これからの自分たちの戦い次第では4位以上に入って決勝リーグを目指せる位置につくことができると思うので、後半戦では1勝でも多く挙げて上位に食い込みたいと思います。

FWスーリック(総4・駒大苫小牧)


この試合2得点のFWスー

――2得点の感触は

2点取れたのですが全体的な内容はあまり良くなくて、逃げ切ったという気持ちです。今後同じような内容でプレーしてしまうとやられてしまうと思います。

――アジアリーグなどを経てきたからこそ分かる慶大の良さは

今まで明治や中央のような強いチームで戦ってきたのですが、どこよりも慶應は一生懸命やる、みんなでチームプレーをできるところが優れていると思います。誰のおかげで勝ったとか、この試合はこの人に懸かっているというよりも、毎試合全員で勝ったり負けたりするチームです。

――ラストシーズンにかける思いは

2015年に遅れて(9月入学)して、もう約3年一緒にやってきた同期といい思い出も悪い思い出も沢山ありますが、自分たちの後輩が来年より良いチームになれるような、歴史を変えられるようなプレーをしていきたいと考えています。

平成30年度関東大学アイスホッケーリーグ戦対戦成績(第7節終了時)

 明治中央東洋早稲田慶應義塾法政日本体育東海60分勝GWS勝GWS敗60分敗勝点暫定順位
明治 4-0
2-4
3-0
6-3
3-1
13-1
5001152
       
中央 3-4
1-3
7-1
5-2
7-2
4-1
4011133
       
東洋0-4
4-3
1-4
7-2
7-9
5-3
11-2
3103114
       
早稲田4-2
3-1
4-1
5-3
6-2
5-1
14-1
7000211
       
慶應
義塾
0-3
1-7
2-7
3-5
2-1
6-1
3-0
300495
       
法政3-6
2-5
9-7
2-6
1-2
2-3
9-4
201476
       
日本
体育
1-3
2-7
3-5
1-5
1-6
3-2
1-2
010628
       
東海1-13
1-4
2-11
1-14
0-3
4-9
2-1
100637
       

※○:60分勝(勝ち点3)、□:GWS勝(勝ち点2)、■:GWS敗(勝ち点1)、●:60分敗(勝ち点0)

※明治vs中央は荒天により順延

次戦予定

平成30年度関東大学アイスホッケーリーグ戦第8節vs早稲田大学

2018年10月14日(日)17:30 F.O. @ダイドードリンコアイスアリーナ