丁寧 Photo:Itaru Chiba


 3日間にわたる卓球「女子ワールドカップ2018」(9月28~30日/成都)の最終日、準決勝に登場した石川佳純(全農)は世界女王の丁寧(中国)にストレート負け。続く3位決定戦でも台湾のエース鄭怡静にゲームカウント1-4で敗れ、あと一歩メダルに届かなかった。

 優勝は丁寧で女子ワールドカップは2011年シンガポール大会、2014年リンツ大会に次ぐ通算3勝目。中国人同士の対決となった決勝では世界ランク1位でトップシードの朱雨玲をやはりストレートで下し、世界卓球と五輪を制する世界女王が貫禄の違いを見せつけた。

Photo:Itaru Chiba

石川、回転量豊富な丁寧のバックハンドに対応できず

 丁寧との大一番を想定し、左利きとのラリーや丁寧の武器であるしゃがみ込みサービスに対するレシーブなど、複数の"丁寧対策"をしてきた石川は、第1ゲームの出足に3ポイントを連取する幸先のいいスタートを切った。しかし、そこから7連続ポイントを浴び、その勢いのまま丁寧が第1ゲームを奪取。さらに丁寧は第2ゲーム以降も石川の得意なフォアハンドを避けバックサイドを徹底的に突き、石川のミスを誘って終始ゲームをリードした。

「フォアで待っていたが全部バックサイドに来て、なかなか自分のボールにして返せなかった。(前回、ブルガリアオープンで対戦した時は)バック対バックの打ち合いをスピードでやってくれてやりやすかったが、今日は回転をすごくかけられた」と石川。

 その石川もフォアハンドドライブで3球目攻撃を決めるなど、巻き返しの糸口を掴もうとしたが、丁寧の巧みな戦術の前に最後まで突破口を見出せず、結局1ゲームも奪えないまま準決勝敗退となった。

石川佳純 Photo:Itaru Chiba

3位決定戦では「ミスが怖くてコースが甘くなった」

 準決勝から約5時間後、石川は鄭怡静との3位決定戦に臨んだ。これに勝てば何とかメダルに手が届く。しかし、同大会での鄭怡静は2016年に銀メダル、2017年に銅メダルに輝くメダルコレクター。そう簡単に勝てる相手ではない。実際、試合が始まると石川は第1ゲームを落とし、続く第2、3ゲームも奪われ、あっという間にゲームカウント0-3に追い詰められてしまった。

「何とか3ゲーム目を取れたら良かったが、ちょっと無理して打ってしまったり、逆に入れに行き過ぎてしまったり。ミスが怖くてコースも甘くなってしまった」

 大量リードを許した理由に自身のレシーブのまずさを挙げる。「鄭選手のサーブの変化がすごく大きくて、なかなか上手くレシーブできなかった。自分のサーブからの攻撃にもミスが出て、チャンスボールを(カウンターで)返されてしまう場面も多かった」と石川。さらにその原因を「バックハンドで思うように得点できず、焦ってフォアハンドを打ち、コースが単調になってしまった」とも話した。

 今シーズンはここまで3月のワールドツアー・ドイツオープン(プラチナ)、7月の同チェコオープンで日本人唯一のシングルス2勝を挙げ、落ち着いたプレーが目立っていただけに、焦りが出たというのは少し意外ではあるが、「満足のいく結果と内容ではなかった。(自分は)まだまだ変えていくところがある」と反省しきりだった。

(文=高樹ミナ)

左から朱雨玲 、丁寧 、鄭怡静 Photo:Itaru Chiba

【卓球女子ワールドカップ2018】
1位:丁寧(中国)
2位:朱雨玲(中国)
3位:鄭怡静(台湾)