10月1日(月)に、大学スポーツに関する情報発信に特化した『COLLEGE ATHLETE TV』が始動。今まで、様々なジャンルのスポーツ情報を発信してきたSPORTS BULLだが、大学野球、高校スポーツのライブ配信など、特にアマチュアス…
10月1日(月)に、大学スポーツに関する情報発信に特化した『COLLEGE ATHLETE TV』が始動。今まで、様々なジャンルのスポーツ情報を発信してきたSPORTS BULLだが、大学野球、高校スポーツのライブ配信など、特にアマチュアスポーツの情報発信に力を入れてきた。
今回立ち上げる『COLLEGE ATHLETE TV』は、各学生新聞会と連携し、様々な大学スポーツの情報発信をする他、SPORTS BULLオリジナルの密着ドキュメンタリー映像やアスリートインタビュー記事なども配信していく予定だ。
その『COLLEGE ATHLETE TV』の立ち上げに携わった椛沢プロデューサーに、立ち上げまでの経緯や、これからの大学スポーツについて話を聞いた。
★★ COLLEGE ATHLETE TVのページ ★★
・COLLEGE ATHLETE TV トップページ
・THE STARS - 大学トップアスリート密着ドキュメンタリー
・COLLEGE MONSTERS - 注目!アスリートインタビュー
①何故、『COLLEGE ATHLETE TV』を立ち上げようと思ったのですか?
私自身、早稲田大学在学中、体育会ラグビー蹴球部(以下、早大ラグビー部)に所属していました。早大ラグビー部は、常に大学日本一が宿命づけられたチームでしたが、私が入部した時には強豪チームではあるものの、日本一からは10年ほど遠ざかっていた時代。体格的に劣る早稲田が他校に勝つために、毎日激しい練習を繰り返し行っていました。新入生の頃は、1限から3限までに授業を取り、グラウンドに移動。夕方から始まった練習は毎日6時間を超え、自宅に帰る頃には午前0時を回っていました。
生活が一変したのは大学3年春。当時33歳だった清宮さん(現ヤマハ発動機ジュビロ監督)が監督に就任し、取り組み方がガラッと変わりました。フルタイムの監督自体が当時は初めてのことで、その他にも、短く効率的な練習、数値による試合の評価システム、天然芝のグラウンドへの移転、スポーツメーカーとのパートナー契約など、2年間で様々な取り組みが行われました。学生ながらに、大切なものは残しながらも、目標に向かって常にチャレンジしないと成果は得られないのだということを間近で体験しました。
電通に入社後は、スポーツとは無縁のビジネスの世界に邁進しました。全国の地方新聞社を担当し、日々、業務に没頭しつつ、週末は日本全国に出張。ラグビーを見る機会も減り、当然母校のグラウンドに行くこともありませんでした。
転機は3年前、母校のラグビー部を総務という立場でサポートすることになりました。総務は、聞きなれない言葉だと思いますが、学生主体で運営する部活動にあって、その学生を一番近くでサポートする立場。大学や協会、対戦校を始めとした外部との交渉事や、合宿遠征の手配、チケットの販売や運営予算の管理など、多岐に渡ります。基本は、日頃の業務が終わってからのボランティア活動で、土日もほとんどグラウンドに通いました。
準備段階も含めて3年ほど、大学スポーツの現場に深く携わり、そこでさまざまなことを感じました。一番は、組織としての脆弱さです。母校愛の集合体のような運営組織なので、基本的にはボランティアが当たり前。ただ、規模が大きくなればなるほど、ボランティアとして関わっている自分自身にも限界を感じ始めるようになりました。
一方で、改めて大学スポーツの魅力も可能性も強く感じるようになりました。何より、純粋な気持ちでひた向きに頑張る現役学生たちの姿は、今も昔もほとんど変わりません。
彼らがもっといい環境で活動できるように、少しでも大学スポーツを盛り上げていくことがしたいと思い、今年の春に電通を退社し、今回、『COLLEGE ATHLETE TV』の立ち上げにプロデューサーとして携わらせていただきました。
②『SPORTS BULL』と出会ったきっかけは何だったのですか?
今年の3月末で電通を退社した直後、電通時代の後輩から『スポーツの分野で仕事をするなら、絶対に会っておいた方がいい』と、『SPORTSBULL』を運営する運動通信社の黒飛社長を紹介されたのがきっかけです。黒飛さんも電通出身で、『SPORTSBULL』や、彼がプロデュースした『バーチャル高校野球』というサービス自体はよく知っていましたが、私が長らく関連会社に出向していたこともあり、意外にも直接話す機会はなかったんです。退社してすぐの4月初旬に初めて会う機会がありました。 そこで、お互いに今までやって来たこと、そしてこれからやっていこうと思っていることなどを意見交換させてもらったんですが、スポーツの世界で、これほどまでにオープンで生活者視点に立ったサービスはないなと激しく感動したのを今でも鮮明に覚えています。 もともとスポーツブルは学生スポーツに力を入れており、すでに大学野球、高校スポーツのライブ配信により多くのユーザー抱えています。このプラットフォームで大学スポーツの専門チャンネルを立ち上げることで、高校スポーツと大学スポーツが繋がり、より多くの人たちにその魅力が伝わるのではないかと思い、一緒に大学スポーツの活性化に向けて話を始め、気が付いたらこの『COLLEGE ATHLETE TV』の構想が出来上がっていました。
③今回、学生新聞会と連携した取り組みになっていますが、何故彼らと連携しようと思ったのですか?
そもそも『COLLEGE ATHLETE TV』を立ち上げる際に、実際に大学スポーツに関わって来たものとして、特に注意しようと思ったことが2つあります。 一つは、『人起点』での魅力の発信です。様々な大学、競技が存在する中で、単純な試合結果や専門的な情報を発信するだけでは、それまであったメディアと変わらない。やはり、そこで活動する学生一人一人に物語があり、個人個人の魅力があるので、それを最大限に発信していこうと思いました。 そして、もう一つが、学生たちにこそ、もっと大学スポーツに興味を持ってもらえるようなサービスにしたいということです。これは、自分のやって来たラグビーでも顕著なのですが、昔大学スポーツ全盛期に学生生活を過ごしてきたOBの方たちに依存していて、なかなか現役の学生が競技場に足を運ぶことが少なくなっているのが現状です。同じ大学に通う学生が、自分たちの仲間をもっと応援できる環境を作ることが、大学スポーツを本当の意味で盛り上げていくために必要だと強く感じています。 これら二つを考えた時に、一番に出てきたのが、同じ学生という立場で大学スポーツを支え続けている「学生新聞会」との連携だったんです。彼らと話をしていく中で、彼らも体育会に所属する学生アスリートのようにストイックな生活を過ごしていることを知りました。月に20日間も取材活動をしたという学生や、試験と取材が重なり取材を優先した学生など、その活動内容は真剣そのものです。日々の活動を通じて、誰よりも大学スポーツを深く取材している彼らと連携することによって、魅力ある学生アスリートの情報発信や、学生たちが欲しいと思う情報発信などを実現していきたいと思っています。何より、こうした真剣な思いこそ、今回の取り組みを推進していく上で、一番必要な要素だと確信しています。
④あなたの思う大学スポーツの魅力は何ですか?
やはり何と言っても、それぞれの学生が醸し出す『多様性』だと思います。この『COLLEGE ATHLETE TV』でも大事にしている要素の一つです。 世代を代表するトップ選手から、付属校出身者、憧れを抱き浪人してでもその舞台を目指してきた苦労人、そして親や祖父母の代からそのチームを背負ってきた2世3世など、それぞれ背景の違う学生たちがそれぞれの個性を発揮しながら、同じ組織に所属して一つの目標に向かって努力する姿は、今も昔も変わらない魅力だと思います。 少し話はそれますが、そうした多様性溢れる人材が、学生日本一など高い理念で繋がる世界は、まさに今の世の中が理想としているような世界と同じだと感じています。 そして、『四年間』という時間的な制限も、大学スポーツの面白さを演出する一つの要素ですよね。大学は、高校から社会人へ成長していく多感な時期。この期間に、様々な価値観を持つ学生たちが、ぶつかり合いながらも心身共に成長していく。でも、この時間的制約によって、個人競技であれチーム競技であれ、常にスターが移り変わっていく様は、刹那的な魅力にあふれています。 親の代から続くライバル関係など、それぞれの選手を知れば知るほど、面白さが増していくのが大学スポーツですので、是非、『COLLEGE ATHLETE TV』を通じて、そうした情報を発信していきたいと思っています。そして、是非、『多様性』溢れる学生アスリートが、『四年間』という限られた時間の中で発する熱量を感じていただきたいと思います。
⑤今、現役として頑張っている学生アスリートに対して一言メッセージをお願いします。
大学で学びながら競技に打ち込めるという環境は、人生でも本当に恵まれた瞬間だと思います。そうした環境にいることに感謝し、目の前にある『今』を真剣に、必死に過ごしてください。 真剣に取り組むからこそ、勝利した時の喜びや、上手く行かない時の苛立ち、負けた時の悔しさや仲間と共に過ごす楽しさといった喜怒哀楽が生まれます。 そうした感情表現を共有できる仲間と共に、目標に向かってチャレンジし続けることで、自分自身を高い次元で磨き続けて欲しいと思います。 そうして、是非、社会に出てからも、何事にもチャレンジする姿勢を忘れずに、様々な分野で活躍して欲しいと思っています。
<プロフィール>
椛沢保男(かばさわ・やすお)
早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学時代は、ラグビー蹴球部に所属し、4年次に13年ぶりの大学日本一を経験。 大学卒業後、株式会社電通に入社し、日本全国の地方新聞社との共同イベント運営やエリアプロモーション、PR業務などに従事。また、国土交通省や農林水産省などと連携して政策広報などを担当。その後、電通と地方新聞社で共同出資した株式会社47CLUBへ出向し、全国の中小事業者の販路支援施策や百貨店などの流通各社とのビジネスマッチングなどを経験。2016年度から2年間、早稲田大学ラグビー蹴球部の総務として、民間クライアントとのパートナーシップの締結やマネジメント業務などを行った。 2018年春に電通を退社、プロデューサーとして『COLLEGE ATHLETE TV』の立ち上げに携わる。 (取材日:2018年9月末日)