メジャー史上30人目となる3000安打に迫っているマーリンズ・イチロー外野手。いまだ輝きを放ち続けるベテラン外野手の「変化」について、米地元紙が特集している。■古巣地元紙がイチロー特集、当時と現在の違いとは? メジャー史上30人目となる30…

メジャー史上30人目となる3000安打に迫っているマーリンズ・イチロー外野手。いまだ輝きを放ち続けるベテラン外野手の「変化」について、米地元紙が特集している。

■古巣地元紙がイチロー特集、当時と現在の違いとは?

 メジャー史上30人目となる3000安打に迫っているマーリンズ・イチロー外野手。いまだ輝きを放ち続けるベテラン外野手の「変化」について、米地元紙が特集している。「シアトル・タイムズ」電子版が「3000安打に近づくイチロー、42歳にしていまだ予想を覆す」との見出しで報じている。

 メジャー16年目を迎えているイチローはここまで通算2988安打を放ち、3000安打まで残り12本と迫っている。昨季加入したマーリンズではキャリアワーストの打率.229と苦しんだが、2年目の今季は見事に復調。4番手の外野手として出番が限られる中で安打を量産し、ここまで打率.342、出塁率.418で、盗塁はチームトップの7個を記録している。

 そんなベテランについて、古巣マリナーズの本拠地であるシアトルの地元紙が特集記事を掲載。イチローや関係者の言葉を交えながらここまでの変化や現状を掘り下げている。

 記事を執筆したラリー・ストーン記者は「私の見解では、チームメイトの何人かはイチローのことを自己中心的な選手だと見なしていた」とマリナーズ時代を回顧。その要因の一つに渡米後にイチローに圧し掛かったプレッシャーを挙げ、テレビ解説を務めるリッチ・ウォルツ氏の「2001年に彼がMLBに来た時は大きな重圧に晒されていたんだ」とのコメントも紹介した。

■本人が取り戻した「感覚」とは

 そして同記者はヤンキースを経てマーリンズに加入したイチローがリラックスした様子で野球に取り組んでいることに着目し、現在のチームメイトから「崇拝」されていることもレポート。08年の同紙の記事では、クラブハウス関係者が「彼のことをこんなにも嫌っている選手が大勢いるなんて信じられないよ」と語ったことを伝えていたという。

 ウォルツ氏も「今、彼は若い選手とコミュニケーションをとれているし、随分、気を楽にしてやれている。そして試合を楽しんでいるね」、「今のようなイチローの姿は01、02年のマリナーズ時代には見られなかったよ」と話しているという。

 同記者はイチローのコメントも紹介。今回の取材でも現役を「最低でも50歳まで」続けることを明言したベテランについて、「イチローの成長の糧があるとすれば、それは予想に逆らうことだ」と記している。

 記事の中で、イチローは3000安打についても言及。「ピート・ローズの件についても同じことを言ったけど……もっと早くたどり着けると思っていました」と振り返りつつ、「数字は特に関係ありません。でもボールを打つ時の感触、試合に出る時の感覚が戻ってきたんです。何よりもこれが一番喜ばしいことです」と語っている。

■内野安打は「意図的に打っている」

 またイチローの全安打のうち約25%が内野安打であることにも触れており、これについて本人は「狙わない時もあるけど、ほとんどの場合、僕は内野安打を意図的に打っています。そうすると投手、内野手、捕手にダメージを与えることが出来るんです。僕にはそれがたまらないんです」とコメントしたという。

 記事ではカブスを率いる名将ジョー・マドン監督が「どこを守っていたって、彼は他のどこか違う場所にボールを飛ばしてくる」とその打撃技術に驚嘆していることも紹介している。

 昨季の不振を見事に脱して飛躍を見せるイチロー。自身、日米通算安打でピート・ローズのメジャー最多4256安打を超えた後の会見で「3年間ちょっとしんどかったですね。(中略)まあでも長い時間やってたら3年くらいはちょっと許してっていう感じですかね」と語っており、今季の状態に好感触をつかんでいる様子がうかがえる。

 42歳にして不振を脱し、周囲の想像を超えるパフォーマンスを発揮する姿は、米国内でも大きな話題を呼んでいる。