開幕カードの法大戦で勝ち点を落とし、賜杯奪還に向け早くも暗雲が立ち込める早大。もう後がないこの状況で迎えるは、昨季あと一歩のところで春連覇を逃した立大だ。5季連続で勝ち点を献上している相性の悪い相手だが、ここでリベンジを果たし、優勝への望…

 開幕カードの法大戦で勝ち点を落とし、賜杯奪還に向け早くも暗雲が立ち込める早大。もう後がないこの状況で迎えるは、昨季あと一歩のところで春連覇を逃した立大だ。5季連続で勝ち点を献上している相性の悪い相手だが、ここでリベンジを果たし、優勝への望みをつなぐことはできるか。

 立大投手陣を語る上で欠かせないのは、大学日本代表にも選出されたエースの田中誠也(3年)だ。緩急自在の投球を武器とする左腕の昨季の成績は6勝1敗、防御率1.16。最優秀防御率とベストナインのタイトルも獲得し、チームの大黒柱として申し分ない成績を残した。共に日の丸を背負った強肩捕手・藤野隼大(3年)との同級生バッテリーは非常に強力だ。「正攻法ではなかなか2点目が取れない」と髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)が語るように、田中誠を打ち崩すのは容易ではない。実際に早大は、過去29回2/3の対戦で総得点はわずか5点にとどまっており、平均得点は2点以下となっている。しかし、1、3回戦共に先発が予想される絶対的エースを崩さなければ勝ち点奪取は絶望的なものとなるだろう。また、第2先発に予想されるのは大型ルーキー川端健斗(1年)だ。昨春の開幕カードではリーグ戦初登板となった川端健に4回無失点に抑えられ初勝利を献上。その雪辱を今こそ果たしたい。さらに、救援に控えている長身下手投げの中川颯(2年)も復活すれば大きな脅威となる。

 そんな立大投手陣打破に向け、早大打撃陣で最も好調なのは檜村篤史(スポ3=千葉・木更津総合)だ。13打数6安打という成績に加え、重要な局面での一打も光っている。立大戦でも稲穂打線をけん引する役割に期待したい。また、開幕から3番に座る瀧澤虎太朗(スポ2=山梨学院)にも注目だ。法大戦で放った3安打はいずれも長打。1回戦では9回に、そこまで完璧に抑えられていた三浦銀二(1年)から一矢報いるソロ本塁打を放っている。これまで固定できていなかった1番打者に新たに座った福岡高輝(スポ3=埼玉・川越東)も好調を維持。『あと一本』が課題の打線だが、六大学屈指の好投手・田中誠相手に少ない得点の好機をいかに生かせるかが勝負の命運を左右するだろう。

打撃好調の檜村に大きな期待がかかる

 先週の東大1回戦では8回に一挙7得点を奪うなど、波に乗せると怖い立大打線。中でも注意したいのは4番の三井健右(2年)だ。打率こそ低いもののフルスイングが持ち味の大砲は、昨季リーグトップの4本塁打を記録。甘い球を投げると即座に失点につながる危険性がある。昨季チームで唯一3割以上の打率を記録した藤野や現役3位の通算安打数を誇る飯迫恵士(4年)も確実に抑えたい。昨春はチーム打率5位に終わった立大打線だが、一発のある打者が多く、油断は禁物だ。

 迎え撃つ早大投手陣のカギとなるのはやはり小島和哉主将(スポ4=埼玉・浦和学院)だ。この男の好投なくして勝利はつかめない。法大1回戦では5回4失点で試合をつくれず降板し、同3回戦では7回までは粘り強い投球で無失点に抑えていたが8回につかまり4失点。いずれも試合は敗れており、エースとしての役目を全うすることはできなかった。法大戦の悔しさを晴らすべく、まずは1回戦で田中誠に投げ勝ち、チームに勢いをもたらすことができるか。法大戦で3戦連続無失点の好投を見せた早川隆久(スポ2=千葉・木更津総合)にも注目だ。速球派左腕には、要所で流れを呼び込む投球に期待したい。

難攻不落の天敵・田中誠を打ち崩さなければ勝機はない

 スタートダッシュに失敗し、早くも正念場を迎えた早大。このカードを落とせば覇権奪還の可能性は限りなくゼロに近くなる。「あと8連勝するしか優勝の道はない」(岸本朋也副将、スポ4=大阪・関大北陽)。天敵・田中誠を打ち崩し、逆襲ののろしを上げることはできるか。王座への返り咲きに向け、絶対に負けられない戦いの火ぶたが切って落とされる。

(記事 宇根加菜葉、写真 金澤麻由、皆川真仁)