イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の男子シングルス2回戦で、2014年以来、3度の手首の手術をくぐり抜け、約2年半ぶりにグランドスラム大会でプレーしたフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼン…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の男子シングルス2回戦で、2014年以来、3度の手首の手術をくぐり抜け、約2年半ぶりにグランドスラム大会でプレーしたフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)が、第4シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を3-6 6-3 7-6(2) 6-3で下すという番狂わせを演じてみせた。

 デル ポトロは2009年の全米オープン・チャンピオン。故障でランキングを落とし、ただの156位とはわけが違ったが、それでも世界4位のワウリンカを倒したことは、本人を含めた皆にとっての驚きだった。

 試合は、アウトドアコートが雨で中断され、遅れる中、開閉式の屋根を閉めたセンタコートで行われた。これはデル ポトロにとって、準決勝に進出した2013年のウィンブルドン以来の聖地への帰還であり、2014年全豪オープン以来のグランドスラム大会だった。

 2013年11月以降、トップ10の選手とは一度しか対戦していなかった27歳のデル ポトロは、彼をテニス界でもっとも恐るべき選手にした爆発的プレーの片鱗を見せることになる。

 第1セットを落としたあとのデル ポトロはプレーレベルを上げ、第2セットで4-1とリードして試合の手綱を握った。彼はテニス界でもベストのひとつと言われる、低く弾むフラットの深いフォアハンドを頼みに、次第に主導権を引き寄せた。

 ワウリンカはウィナーより、多くのアンフォーストエラーをおかし(アンフォーストエラーが48本、ウイナーが47本)、彼のベストの調子には程遠かった。デル ポトロもアンフォーストエラーが25本にウィナーが23本と、それほど素晴らしかったわけではないが、デル ポトロのほうが4度のブレークに成功し、対するワウリンカは3度に留まった。

 「素晴らしい気分だ。今日ここで勝てるとは予想していなかった。3度のケガと手術を経て、ふたたびプレーできるようになった僕にとって、これは3度目のキャリアのようなものだ」とデル ポトロは試合後に喜びを吐露した。

 2009年に全米オープンを制したデル ポトロは、その後、右手首の故障に襲われて翌年に手術をし、戦線を離脱。2011年にツアーに戻り、2012年にはトップ10、その翌年にはトップ5に戻ったが、2014年にふたたび左手首を故障して手術、さらに2015年にも左手首を再手術して、2016年に3度目の復活を賭けて新しいスタートを切ったばかりだった。

 「今日はただ、プレーを楽しもうと努めた。故障に苦しんだここ2年の僕は本当に不幸だったから、プレーできてただただうれしい。観客たちは僕を大いに応援してくれ、本当に素晴らしかった。3年ぶりのグランドスラム大会(2014年の全豪オープンには出場できているので、厳密に言えばグランドスラムは2年ぶり、ウィンブルドンは3年ぶりの出場)で3回戦に進めるとは思っていなかったから、ここからは何が起ころうとすべていい意味を持つ。これは早く100%に戻るための最良の方法だと思う」とデルポトロは言う。

 ワウリンカは2014年の全豪オープンと2015年の全仏オープンで優勝し、過去2年のウィンブルドンで準々決勝に進出していた。一方のデルポトロは、2013年のウィンブルドンで準決勝に進んだが、その後、故障と手術で戦線を離脱していた。(C)AP(テニスマガジン)