武藤嘉紀だってチームのために水汲みをする!慶應ソッカー部流サッカー選手の育て方http://www.sakaiku.jp/column/thought/2016/011285.html「監督がやらなければいいというのであれば、(学生たちに)…

武藤嘉紀だってチームのために水汲みをする!慶應ソッカー部流サッカー選手の育て方
http://www.sakaiku.jp/column/thought/2016/011285.html

「監督がやらなければいいというのであれば、(学生たちに)全部任せる」これは、慶応義塾大学ソッカー部(編集部注:サッカー部の正式名称。慶応義塾大学はこう呼ぶ)を率いる須田芳正監督の言葉です。あくまでも監督はオン・ザ・ピッチでの仕事に専念するということですが、何も不安なく学生たちにさまざまな仕事を任せられる裏には、慶応義塾大学の伝統が大きいと須田監督は語ります。今回はこの名門大学における人間養成にフォーカスを当て、前編では慶応ソッカー部が組織として重んじる“主体性を育む”という点について迫っていきます。(取材・文 竹中玲央奈)


■グラウンドマネージャーを決めることで一致団結する

一般的に、大学でも部活動でスポーツを続けるためには相当な覚悟が必要です。高校と比べて学校数は少なく全国各地から優秀な人材が集まってくるため、トップチームで試合に出るためには厳しい競争を勝ち抜かなければなりません。それも慶應ソッカー部のような名門となれば、みな大きな決心を持って入部するでしょう。「高校で不完全燃焼だったから、大学で巻き返そう!」というような高いモチベーションを持っている選手も少なりありません。

「1年生ってよく見えるんだよね(笑)彼らはがんばるから。“新しい環境でがんばってやろう”と思って、いいプレーが出る」

須田監督もこう語ります。ですが、この慶応ソッカー部ではプレーをすることを断念せざるを得ない選手が毎年、確実に現れるのです。それは怪我をはじめとした個人の事情が理由ではありません。

かつての慶応ソッカー部には専任の監督が存在せず、特に平日は学生のみでトレーニングをしていた時期がありました。そのため、監督に変わるピッチ内でのまとめ役・管理役となる学生が必要だということで“グラウンドマネージャー”という役職が生まれたのです。このグラウンドマネージャーを決める過程が、組織における一人ひとりの自覚と責任感を生む大きなポイントになっています。

「ここに来る子たちはサッカーをやりたいという思いを持ってきていますが、グラウンドマネージャーは各学年から出す流れになっています。そのときにこっち(指導者陣)が決めるわけではなく、学生間で決めるように話しています。このミーティングへの時間の費やしかたがすごい。ここ数年、部員数が多くなってきて、昔よりサッカーをやりたいと思ってくる学生が多い。それでも決めなければいけないので、新入生が集まって30人くらいでミーティングをするんです。もちろん、そこでは全員がプレーヤーをやりたいと言う。でも、誰かが辞めなければいけない。これが1番キツいですよね。

Iリーグ(トップリーグに出られない選手を対象としたリーグ戦)もありますから。いろいろと話し合いをして、何人か候補を選んでそこから投票をするんです。そのときに『なんで俺が、やらなければいけないんだよ』と思う人もいるでしょう。どの学年も自分の代でチャンピオンになりたいと思うわけで、その目標のために“その年のグラウンドマネージャーは誰がいいのか”と話し合う。最後は泣きが入ったり言い合いになったりもします。でも、その中で人間との付き合いが深くなっていく。これによって仲間が一丸になれます」


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