メジャー版二刀流が圧巻の実力を見せつけた。ジャイアンツのエース左腕マディソン・バムガーナー投手が、30日(日本時間1日)に敵地で行われたアスレチックスとの交流戦で先発し、センターへ二塁打を放った。■エース左腕バムガーナーの二塁打で打線爆発、…

メジャー版二刀流が圧巻の実力を見せつけた。ジャイアンツのエース左腕マディソン・バムガーナー投手が、30日(日本時間1日)に敵地で行われたアスレチックスとの交流戦で先発し、センターへ二塁打を放った。

■エース左腕バムガーナーの二塁打で打線爆発、投げても今季9勝目

 メジャー版二刀流が圧巻の実力を見せつけた。ジャイアンツのエース左腕マディソン・バムガーナー投手が、30日(日本時間1日)に敵地で行われたアスレチックスとの交流戦で先発し、センターへ二塁打を放った。舞台がア・リーグ本拠地だったため「DH(指名打者)」を使うこともできたが、名将ボウチー監督はシルバースラッガー賞を2年連続受賞した左腕を打席に立たせることを選択。通算13本塁打を誇る“スラッガー”は、第1打席にいきなりセンターオーバーの二塁打を放つ活躍を見せた。本職でも仕事を果たし、7回途中を4失点で降板し、今季9勝目を飾った。

「9番・投手」で先発したバムガーナーは、0-1とリードを許した3回、先頭打者として打席に立った。相手先発は同じく左腕オバートン。3ボール1ストライクからの5球目88マイル(約141キロ)速球をフルスイング。センター深くへ飛んだ打球は追走する中堅バーンズのグラブを弾き、二塁打となった。この一撃を皮切りに、チームは一挙6点を挙げて逆転に成功。自ら起爆剤となり、打線を盛り上げた。

 地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」電子版によれば、ボウチー監督は「彼が攻撃の起点になってくれた。火の出るような打球だったな」とエース左腕の打撃を称えたという。また、打たれたオバートンは「長いこと彼のことをテレビで見てきたから、打てるのは知ってたよ。最初の2球をボール判定されたから甘いところに投げてしまった。浮いた球を、バムにしっかり捉えられたね」と完敗宣言したそうだ。

■「実現できてクール」と笑顔のバムガーナー、敵投手は「浮いた球を捉えられた」と完敗宣言

 MLBスタッツキャストによると、打球の初速は時速103マイル(約165キロ)。MLB公式サイトの記録部長ダレン・ウィルマン氏は、自身のツイッターで「バムガーナーの打球の平均初速はMLB全体で35位」とレポート。「完全に正気沙汰ではない」と、その驚異の打撃センスに衝撃を受けていた。

 DH制が採用されるア・リーグで、先発投手が打席に立つのは異例中の異例だ。MLB公式サイトによると、先発投手に代わるDHの起用を放棄したのは、1976年に先発ケン・ブレットを打席に立たせたホワイトソックス以来、40年ぶりだという。2009年にレイズがラインナップカードを誤って申請したため、先発ソナンスタインが打席に立たざるを得なくなった珍事や、1988年6月に当時ヤンキースに所属したリック・ローデン投手が、先発登板しなかった試合にDHとして出場したレアなケースはあったという。

 打席では中越え二塁打、マウンドでは9勝目と、見事“リアル二刀流”を全うしたバムガーナー。記事によれば、試合後に「今の時代、滅多に起こることじゃないから、実現できて本当にクールだよ」と笑顔で話したそうだ。

 本業の投手では、今季9勝4敗、防御率2.20の成績で、3度ワールドシリーズ優勝に貢献した左腕の実力を疑う者はいない。同時に、通算13本塁打、45打点をたたき出す打席での評価も高く、2014年と2015年は、2年連続でシルバースラッガー賞を受賞。今季はバムガーナー自らオールスターの本塁打競争出場を熱望したことが話題になった。

 日本では日本ハム大谷翔平投手の“リアル二刀流”が注目を集めているが、この日はメジャーの二刀流バムガーナーが野球ファンのロマンを広げる活躍を見せてくれた。