安定した活躍を続ける田中を辛口コラムニストが評価「エースに近い働き」 ヤンキースの田中将大投手が終盤戦で調子を上げてきて…

安定した活躍を続ける田中を辛口コラムニストが評価「エースに近い働き」

 ヤンキースの田中将大投手が終盤戦で調子を上げてきている。1日(日本時間2日)の本拠地タイガース戦で7回7安打1失点6奪三振と好投して今季10勝目を挙げると、7日(同8日)の敵地マリナーズ戦では8回3安打無失点10奪三振の快投。2試合連続ハイ・クオリティー・スタート(HQS、7回以上を自責2以下)で2連勝を飾り、11勝目(5敗)をマークした。

 デビューから5年連続2桁勝利を達成した右腕の“価値”について、ニューヨーク地元紙の辛口コラムニストは「ヤンキースが支払っている金額にほぼ見合っている」と分析。ポスティングシステム(入札制度)での入札金と年俸総額を合わせて、ヤンキースが田中のために使っている総額1億7500万ドル(約195億円)に見合った働きを見せていると絶賛した。

「マサヒロ・タナカはヤンキースが支払っている金額にほぼ見合っている」とのタイトルがつけられた特集記事を執筆したのは、地元紙「ニューヨーク・ポスト」のジョエル・シャーマン記者。辛口な原稿でヤンキースの監督や選手をぶった切ることも少なくないが、加入5年目のシーズンも安定した活躍を続ける日本人右腕については、高く評価している。

 田中は援護に恵まれない試合が多く、8月は白星なしに終わったが、後半戦は9試合登板で防御率2.30と数字を残している。同記者は今季の田中について、前半戦はエースに成長したルイス・セベリーノほどは良くなかったものの、後半戦は「ヤンキースのエースに近い働きをしている」と分析。そして、「タナカには7年1億7500万ドルの価値があるか?」と“問題提起”している。

 ヤンキースは田中を獲得するために楽天に譲渡金2000万ドル(約22億円)を支払い、本人とは7年総額1億5500万ドル(約173億円)の超大型契約を結んだ。つまり、計1億7500万ドルを費やしたことになる。記事では「タナカの契約は2020年までであるため、この結論を完全に下すことはできない」とし、「現時点でタナカは、ヤンキースが(年俸総額の)1億5500万ドルと東北楽天イーグルスにポスティングで2000万ドル支払った時に思い描いていたナンバー1の先発投手ではない」とも指摘。確かに、現在はエースの座をセベリーノに譲ってはいるが、それでも「彼は投資に見合っていると証明した」という。

理由は「耐久性」、ワイルドカードゲームの先発は田中が「最善の選択」

 同記者が「理由」として挙げているのが「耐久性」。田中は5シーズンのうち4シーズンで故障者リスト(DL)入りしているため「不思議に聞こえるかもしれない」と前置きした上で、その根拠について示している。

 2014年7月に右肘靭帯損傷が発覚し、靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)ではなくて保存療法を選択した田中は、翌2015年シーズンから計109試合に登板しているが、これはメジャー34位タイだという。さらに、計674イニングはメジャー25位だとシャーマン記者は紹介。ヤンキースが昨オフに獲得しようとしたゲリット・コール(現アストロズ)、そして今夏獲得したJ・A・ハップの成績と「何ら遜色ない」と言及している。

 さらには、野球専門の米データサイト「ファングラフス」が、金額とセイバーメトリクスの指標「WAR」を計算し、これまでの田中には1億1970万ドル(約134億円)があったと算出したことを紹介。このペースで行けば、7年で1億7000万ドル(約190億円)に達するという。確かに、譲渡金と年俸総額の合計とほぼ同じ額だ。

 昨年のプレーオフでは圧巻の勝負強さを見せた田中。シャーマン記者はこれについても振り返り、「昨年のヤンキースは、彼無くしてアメリカン・リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第7戦まで持ち込むことはできなかった」と絶賛。また、後半戦の防御率2.30という数字は、50イニング以上を投げている投手ではレッドソックスのデビッド・プライス(防御率1.78)に次ぐリーグ2位だというデータも紹介している。セベリーノが後半戦に調子を落とす中、まさにエースとしての働きを見せているのだ。

 ヤンキースは今季、ワイルドカードゲームに進むことが濃厚。一発勝負の決戦で田中とセベリーノのどちらを先発させるのか、早くも注目が集まっている。シャーマン記者は「タナカは10月3日に行われるワイルドカードゲームの先発投手として最善の選択かもしれない」と指摘。「そして、ヤンキースの1億7500万ドルの男がどれほどの価値を示してきたのかを思い出させてくれる」と締めくくっている。

 超名門ヤンキースで確かな地位を築いてきた田中。その安定感には、辛口コラムニストも一目を置いている。(Full-Count編集部)