100回記念大会の甲子園で圧倒的な強さを見せ、史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭(北大阪)。甲子園での成績は春夏通算で63勝12敗、8割以上の勝率を誇り、現在の高校野球界において「最強」の名をほしいままにしている。

 数ある名勝負を演じてきた大阪桐蔭だが、その名を広く知らしめたのは2005年の夏の甲子園だろう。初戦の春日部共栄(埼玉)戦でエース・辻内崇伸が左腕最速となる156キロを記録すれば、主砲の平田良介は準々決勝の東北(宮城)戦で3本のホームランを放つなど、大きなインパクトを残した。

 そんなレジェンドOBのふたりは、今夏の後輩たちの活躍をどう見ていたのか。まず今回は、中日ドラゴンズの主力として活躍する平田に、春夏連覇を成し遂げられた理由、プロ期待のスラッガーである藤原恭大(きょうた)の印象などを聞いた。




大阪桐蔭で1年時から4番を任されていた平田

──今夏の大阪桐蔭の戦いを振り返っていかがですか?

「単純に『すごい!』と思いました。選手たちはもちろんですが、あらためて”メンバー会”のみんなが優れているなという印象です。かなり貢献度が高かったように感じます」

──その”メンバー会”とは?

「大阪桐蔭では、ベンチ入りできなかった選手たちを”メンバー会”と呼んでいるんです。僕の高校時代にも、次に対戦する高校や、のちのち当たるだろうライバル校の分析をしてくれていました。他の高校では”データ班”と呼ばれているかもしれませんね。今大会の決勝の前にも、金足農のバッテリーの配球を徹底的に分析したと言われていますが、それがあったからこそ大阪桐蔭のバッターたちは思い切りバットを振れたんだと思います。

 そういった情報収集の他にも、通常の練習メニュー以外で『ちょっとスイングの調整をしたいな』と思ったときにバッティングピッチャーを買って出てくれたりと、早急に対応してくれる。ですから、この連覇は総合力が他校に勝った結果でもあると思います

──平田選手も指導を受けた、西谷浩一監督の采配の特徴は?

「昔から、最後まで気を抜かないところは変わっていませんね。たとえ大差でリードしていても、逆に敗色濃厚な展開でも、常に『次の1点を取る』ことにこだわっていました」

──西谷監督の人柄についてはいかがですか?

「フレンドリーというわけではなかったですが、選手と正面から向き合ってくれる人でした。とにかく子供が好きなんだろうというのが伝わってきます。少なくとも、僕らの世代の選手の中に監督を嫌いな人はいなかったと思います」

──平田選手が甲子園に出場した際には、東北のダルビッシュ有投手(現シカゴ・カブス)や駒大苫小牧の田中将大投手(現ニューヨーク・ヤンキース)とも対戦しましたね。

「ストレートはもちろん、ふたりともスライダーの精度が高かったですね。プロ入り後にさらに磨きがかかっていましたが、当時から高校生離れしていました」

──大阪桐蔭の2つ下の後輩として、中田翔選手(北海道日本ハム)が入部してきたときはどう思いましたか?

「彼を初めて見たときから、『夏のメンバーに入るな』と思いましたね。体格、打球の飛距離、投手としても球の速さがスバ抜けていましたから」

──同級生でエースを務めた辻内崇伸さんの印象は?

「僕が”天然”なら、彼は”のほほん”とした人物でした。2年生の秋でエースになってからも、キャプテンシーを発揮することはまったくなかった(笑)。練習でもマイペースなところがありましたが、3年生のときに西谷監督から檄を飛ばされて、そこからスピードが10キロくらい速くなって。その年のドラフトで巨人から1位の指名を受けたわけですから、辻内はすごい奴ですよ」

──今夏の甲子園では、エースナンバーを背負う柿木蓮選手だけでなく、根尾昂(あきら)選手も素晴らしい投球を見せました。根尾選手はこれから、投手、野手のどちらでいくべきだと思いますか?

「野手ですね。打撃もいいですし、何よりショートでの身のこなしが素晴らしいので」

──平田選手と同じく、4番で外野手の藤原恭大選手の魅力は?

「彼は枚方ボーイズ出身なんですよね。まさに名門出身のエリート(笑)。軸がブレにくいバッティングフォームなので、変化球で崩されても対応ができるでしょう。また、野球センスがある選手だなとも思いました。今大会でも、センター前のヒットを2塁打にしてしまう場面がありましたが、走力を含めて非凡なものを感じます。スター性もある選手ですし、今後が楽しみです」

──そんなチームの主力だった3年生が抜け、新たなスタートを切る母校に対してのメッセージをお願いします。

「贅沢な悩みですが、全国制覇を成し遂げた大阪桐蔭は他の高校よりも遅く新チームが結成されることになります。より追われる立場になりますし、前の代と比べられるプレッシャーもあると思いますが、1日でも早く新チームの和を築いて”自分たちのチームの形”を作っていってほしいですね」