イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第3日。 この日も断続的に雨が降り、予定されていた試合のうちの半分以上がキャンセル、または中断された。日本勢の試合も、前日に第3セット途中で中断になっていた…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第3日。

 この日も断続的に雨が降り、予定されていた試合のうちの半分以上がキャンセル、または中断された。日本勢の試合も、前日に第3セット途中で中断になっていた日比野菜緒(フリー)と第32シードのアンドレア・ペトコビッチ(ドイツ)との1回戦が行われたのみ。第5シードの錦織圭(日清食品)対ジュリアン・ベネトー(フランス)、土居美咲(ミキハウス)対第15シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)、奈良くるみ(安藤証券)対カリナ・ビットヘフト(ドイツ)の2回戦が中止となり、29日(木)に持ち越された。

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 前日に降雨のため中断されていた日比野とペトコビッチの1回戦は、最終セットでペトコビッチが5-1とリードし、日比野のサービスで40-15。ここで夜をはさみ、曇天の下での再開となった。普段ツアーに同行している竹内映二コーチに今回は小浦武志コーチも加わった強力サポート体制で、「2人から共通して言われたことは、目の前のポイントに集中して悔いのないようにしなさいということだった」と日比野。

 その結果、目の前のサービスゲームはキープしたが、いったん勢いづいたペトコビッチは一夜明けても止めることができなかった。

 6-3 5-7 2-6。第2セットの中盤以降には勝利もちらついていたが、「ペトコビッチ選手にミスがなくなってボールが伸びてきて、自分が何をしたらいいのかわからないときがあった」と振り返った。そのときそのときで何をすべきか------それは〈引き出し〉という言葉を使って、それが「多い」とか「整理されている」などとたとえられることがよくある。経験によって培われる部分が大きいのだとしたら、日比野はまだこれからだろう。

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 錦織は小雨が降る中で30分弱の練習を行ったが、脇腹痛の影響を一番受けているというサービスの練習は、ただフォームを確認しながらボールにラケットを当てているという程度。心配は拭えなかっただけに、試合が1日延びたことは幸いだったに違いない。ただ、もともと12番コートで行われる予定だった試合がセンターコートの1試合目に移動になった。センターコートには屋根があるため、必ず日本時間の午後9時にはコートに入る。これ以上回復を待つ時間はもらえない。

 順延がありがたかったのは奈良も同じで、2日前の1回戦の終盤にほぼ全身のケイレンに襲われていた。リカバリーの時間は長ければ長いだけいい。1日の猶予によって、よりベストのコンディションに近い状態で試合に臨めれば、109位のビットヘフトはランキング的にも十分チャンスのある相手だ。 (テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)