得意のエアKも出て、初戦をストレートで勝った錦織圭 錦織圭は、2年ぶりのフラッシング・メドウズでのプレーで、”エアK”も含めた躍動するテニスを披露してみせた。 今季グランドスラムの最終戦であるUSオープン(全米テ…



得意のエアKも出て、初戦をストレートで勝った錦織圭

 錦織圭は、2年ぶりのフラッシング・メドウズでのプレーで、”エアK”も含めた躍動するテニスを披露してみせた。

 今季グランドスラムの最終戦であるUSオープン(全米テニス)の1回戦、第21シードの錦織(ATPランキング19位、8月27日付け/以下同)は、マクシミリアン・マーテラー(50位・ドイツ)を、6-2、6-2、6-3で破り2年ぶりに2回戦進出を決めた。

 錦織は、各セットで2回ずつマーテラーのサービスブレークに成功し、自分のサービスゲームでは一度もブレークポイントを相手に与えない完勝だった。

 マーテラーは、191cmの長身で、クレー(赤土)コートでのプレーを得意とする23歳の選手。錦織が、リターンポジションをベースライン後方2~3mから、マーテラーの高速サーブをきっちりリターンし、さらに早い展開に持ち込んだため、マーテラーはそれについていけず多くのミスを強いられた。

 また、錦織はファーストサーブの確率こそ55%だったが、ポイント獲得率が87%、さらにセカンドサーブのポイント獲得率も84%と非常に高かった。

「相手のリターンミスもありましたし、助けられた部分もあった。平均的なところで、可もなく不可もなく、いいサーブは打てていた。リターンゲームであれだけブレークできていたので、少しリラックスして(サーブを打つことが)できたのもあったかもしれない」

 こう振り返った錦織は、フォアハンドの11本を含む合計25本のウィナーを打ち込み、マーテラーから29本のミスを引き出して、シード選手としての実力差を見せつけた。

 今夏のUSオープンシリーズ前哨戦で錦織は、ATPワシントンD.C.大会でベスト8に進出したものの、マスターズ1000・トロント大会は1回戦敗退、さらにマスターズ1000・シンシナティ大会で2回戦敗退と、満足できるような結果を残せていなかった。

 負けた試合で共通していたのは、ダブルフォールトをしたりファーストサーブの確率が下がったり、悪くなったサーブから他のショットへ悪影響を及ぼしたことだ。

「サーブはあんまりよくなかったですね。特に、この2大会は。ミスもありましたし、ファースト(サーブ)も入ってなかったので。サーブも修正していかないといけない一つではあります」

 このように課題を口にした錦織の全大会に帯同しているダンテ・ボッティーニコーチは、USオープンに向けて一緒に調整に取り組んだ。

「たしかに今までの夏と比べると、ベストな結果ではありませんでした。これまでの3大会の中で、いくつかいい試合もありましたが、シンシナティ(2回戦)での(スタン・)バブリンカ戦では、圭がレベルを落として敗れました。

 その後、フロリダに戻ってたくさんの時間を費やして、やるべきことをハードに練習したことで、とてもいいプレーができるようになったと思います。USオープンに向けて、ハードコートへの調整ができました」

 そして、問題のサーブに関して、ボッティーニコーチは、トスが重要なファクターだと指摘する。

「(トロントとシンシナティで)負けた2試合を除けば、サーブはよかったと思います。圭は、サーブのトスを上げる時に、低くなりがちなのが問題です。練習でのサーブはいいのですが、試合ではいい時とそうでない時があります。試合時に集中を保って、トスが安定するといいですね。そうすれば、試合でのサーブもよくなるはずです。

 トスを上げる時に、少し低くなることによって、タイミングが悪くなりサーブをネットにかけるミスが増えます。トスを少し高くし、少し右側に上げることで、いいサーブが打てるはずです。また、トスを高くすることで、時間的余裕をもってタイミングよく打つことができます」

 1回戦では、一度もサービスブレークをされなかった錦織だが、「ちょっとブレがあったので、修正はもうちょっとしていきたいです」と、次戦に向けてサーブのブラッシュアップに余念がない。

 そんな錦織は、2回戦でガエル・モンフィス(39位・フランス)と対戦する。対戦成績は、錦織の3勝1敗だが、モンフィスは、2016年USオープンでベスト4に進出し、元世界6位の実力者で、2回戦としてはタフドローになる。

「正直、モンフィスが2回戦は早いなとは思います。すごく長いラリーを好む選手なので、長い試合になるだろうな。毎回そういう展開なので、ちょっとプレーを変えれば、彼の攻略ができると思う。自信を持って次も臨みたい」

 このように語る錦織に、ボッティーニコーチも期待を寄せている。

「圭への期待は、いつも同じように高いですよ。ランキングが20位台だろうと、70位や90位だろうと、ベストを尽くして勝利をつかみ取ってほしいです」

 いい試合を何回かできれば、より自信がつき、その積み重ねが大事だという錦織が、モンフィスとの戦いで、さらにレベルの高いテニスをしながら、きわどい勝負をモノにできるかどうか注目したい。