ロシアワールドカップの盛り上がり覚めやらぬ2018年7月某日、サッカーと各国の文化、少年スポーツの関わりはどうなっているのか?そんな素朴な疑問から集まって頂いたサッカーと共にオトナになった3人が集合し、座談会を開催。国の文化、サッカーの関わ…

ロシアワールドカップの盛り上がり覚めやらぬ2018年7月某日、サッカーと各国の文化、少年スポーツの関わりはどうなっているのか?
そんな素朴な疑問から集まって頂いたサッカーと共にオトナになった3人が集合し、座談会を開催。
国の文化、サッカーの関わり、今の子供たちへの期待について、そして見守る親・オトナたちは一体どんな姿勢で子供たちと向き合うべきなのか? アツく語っていただきました。

◆ プロフィール紹介

◆ 中田 直人さん (以降、中田氏)
幼少期よりサッカーとともに成長、少年時代は某ユースチームに所属し、どっぷりサッカー少年。
オトナになっても社会人サッカーチームでプレーする傍ら、少年サッカーを長年指導。現在は一保護者として携わる。
まさにサッカーとともに人生を歩んできた。
本業では株式会社イデュース 代表取締役。ショッピングセンターの運営会社を経営。
地域との連携をテーマにスポーツクラブ・スポーツチームのタイアップを数多く手がける第一線のスーパービジネスパーソン。

 

◆ KTa☆brasil(ケイタ☆ブラジル)さん (以降、ケイタ氏)
東京うまれ、神奈川育ち。Newsweek誌が「世界が尊敬する日本人100」に、UNIQLO初の世界同時展開広告「FROM TOKYO TO THE WORLD」に選出。パリコレ〜F1GP〜W杯〜本場リオのカルナヴァルまで、世界各地で活躍するミュージシャン、DJ、サッカー関係者、打楽器指導者。
ブラジル代表ユニフォームのマークでおなじみの“CBF”=ブラジルサッカー連盟による公式番組“CBF TV”が、“外国人でありながら“80年代前半以来、ブラジルの歴代サッカー選手やクラブチーム、サッカー界と長く深く関わる人生”を番組特集した(現在唯一の日本人)。
今年も南米リベルタドーレス杯番組や、CBFブラジル杯公式プロジェクトに招集されている。
ブラジルとのご縁は幼少より約35年。10代より両国を往復し続ける活動は2018年で22年目。
ブラジル政府各省/リオ市観光局事業公式実績者。
サンバ応援の本場:リオの名門クラブチームC.R.Vasco da Gamaの名物応援団サンバ打楽器隊員を経て、スタヂアム殿堂刻名の現上級会員。同クラブの様々な公式プロジェクトに招集され、東日本大震災発生時には南米で一番早く企画・実行された救援プロジェクトの一員でもある。 
 日本でもTV/FM/新聞/雑誌/WEBなどのメディアではサッカーや音楽を中心にブラジルや欧米ラテン諸国のプレゼンターとして活躍。
TBSスーパーサッカー、スポナビ、NIKE FOOTBALL、SONY FOOTBALL、JTB、excite公式ブログ・・・
様々な現場とメディアでレポーター、MC、コラム寄稿を歴任。
Jリーグ、Fリーグの選手や関係者との関わりも深い。
リオ五輪では日本政府のパビリオンJAPAN HOUSEでの音楽イベントを11本プロデユース。
命名した共著書「リオデジャネイロという生き方」(双葉社)他、寄稿も数多い。
http://www.natsu-biraki.com/artist_ktabrasil/

 

◆ 埜口 隆之さん (以降、埜口氏)
小学3年生までは野球ばかりやっていたが、家族の転勤により南米へ2年間移住。
そこでサッカーと出会い、帰国後はキャプテン翼ブームもあり中学から部活動でサッカーを始める。
以来、高体連、社会人サッカー、シニアサッカーとカテゴリーを移しながらもサッカーライフを楽しんでいる。
一方で休日にはあざみ野FCのコーチとしても活動。体幹トレーニングコーチ、
しつもんメンタルトレーニングインストラクター、ライフキネティックトレーナーなど、
指導、育成にかかわるような資格も取得し、サッカー少年とともに歩んでいる。
本業ではキヤノングループのシステムエンジニアとしても活動のかたわら
グロービス経営大学院でMBAも取得、志を高め、仕事にコーチに活躍中。


皆、幼少期からどっぷりとサッカーと共に成長し、ビジネスの世界でも第一線のオトナたちです。

さて、なぜブラジル?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
日本から国策で移民し、日本国外最大の日系社会がある国=ブラジル。

 

実は今年、この国策で日本人がブラジルに移住して110周年になりました。
そしてそんなブラジルと関わりが深い、日本のサッカーがプロリーグ化してちょうど25周年。
2018年はそんな節目の年なのです。
このような節目ということで、日本とブラジルをはじめ、世界各地のサッカーシーンの現場や歴代選手と関わり30余年、そして日本やブラジルのメディアでも活躍されている日本人KTa☆brasil(ケイタブラジル(以下、ケイタ氏)*プロフィール詳細は本稿最後に紹介)さんに、まずはブラジルの歴史・社会性の背景からブラジルと日本の違いについてお話いただきました。

 

◆日本とブラジル、節目の2018年は「25周年」と「110周年」。

(Spportunity コラム編集部、以下 コラム編集部)
まずはブラジルとはどんな国なのか? そして日本とどんな関わりを持ってきたのか、改めて整理したいと思います。
ブラジルとの「25周年」、「110周年」についてお話を聞かせてください。

(ケイタ氏)
日本のサッカーはJSL時代を経て、1993年に念願のプロ・リーグ化=Jリーグ開幕から今年で25周年を迎えました。我が国のサッカーやフットサルが、どの国よりも最もお世話になって来た国=ブラジルです。王国ブラジルのサッカーの技術と発想と精神と感動をもたらしてくれた偉大なるブラジル人/関係者の先人達。セルジオ越後さん、ジョルジ与那城さん、ラモス瑠偉さん、ジーコさんをはじめ、Jリーグ各チームで活躍する現役の、そして歴代のブラジル人選手たち・・・その数はもう数え切れません。
言うまでもなく、日本のサッカー/フットサル、経済/資源に至るまで、ブラジルは私たちのとても大切にすべきパートナーであり、長年の大親友なのです。

 

 

そして奇しくも、2018年は日本政府による国策で日本人がブラジルに移住して110周年でもあります。一方で、特にこの15年余り、商業との連動性ばかりを重視してきた日本のメディアや業界は欧州リーグにばかりフォーカスする様になってしまいました。欧州各リーグの歴代トップ選手を、ブラジル国内リーグが送り出し続けているにも関わらず。どこか不自然さを感じませんか?

25周年、110周年。我々はもっとブラジルのことを、そして日本とブラジルの可能性について知り、両国の理解と交流をより深める事で、進化して行って良いのではないでしょうか?

 


ブラジル移住を促す当時のポスター

 

(コラム編集部)
なるほど。ブラジルに日本人が移住し、日系社会を作り、ブラジルと関わり続けて110年という年月がたっているのですね。
関係の深さを感じます。
にも関わらず、おっしゃるとおりサッカーにおいては欧州リーグに傾倒しつつありますので、ここで改めてブラジル、日本両国の理解を深め、関係を深めていくことは大事かもしれません。
そのためにも、日本とブラジルはどのように違うのか、知っておきたいですね!

 


RIO DE JANEIROの景色 (左手はキリスト像でお馴染みのCorcovadoの丘)

 

◆ 日本とブラジルの違い

(ケイタ氏)
【日本とブラジルの違い】についてですか? 

先ず、その前に知っておくべき【大前提】があります。
ブラジルは南米大陸の約半分の面積を占め、欧州の殆どが入ってしまう「世界第5位の国土規模」を持つ大国です。16世紀にポルトガル領となって以来、先住民族だけでも多種多数いた大陸各地に、アフリカ、欧州、中東、アジアの各地からの移民や奴隷民が、先住民族と混血して構成されている「多種多様な民族構成」など、歴史/民族/社会性/人生での世界への視野の広さ/歴史的な国際的経験値と関連性・・・どれをとっても日本と大きく異なる国です。なので、単純な比較は一概には難しいですよね。

 

 

一言でいうと、ブラジルは日本とは真逆の歴史と規模と多様性の上に成り立つ、社会性とやり方がある国だという事です。「日本人の感覚」からしてみたら、ある意味アメリカと似て、ブラジルの一つの州が日本でいう国の規模や違いと考えると分かり易いと思います。ブラジルの東西南北の距離はほぼ同じですが、その一辺はイスタンブールからロンドンと同じくらいの距離。だから州によって民族構成も気質もサッカーのスタイルも大きく異なります。ブラジル代表の選手達だけを見ても、様々な階級から、そして様々な肌の色、目や毛の色の選手で構成されているのがわかります。

この【大前提】を知って頂きつつ、「我々日本にとって有効なブラジル性とは何か」をお伝え出来たらと思います。

そして今回はサッカーとその指導〜クラブチームと親子や地域の関係について、話しをフォーカスした方が良いと思います。

前説が長くなりましたが、
分かり易さを優先するために、あえて端的にブラジルと日本の違いをサッカーと連動する社会性にフォーカスしてご説明するならば・・・
 

【ブラジルの良さ】は
日本人の想像や常識を遥かに越えた「多民族・多様性ある風通しの良い国際社会で磨かれた、個性と成熟した個人主義、コミュニケーション力、ハングリー精神、闘争心の高さ、臨機応変さ」。ブラジルのサッカーはそれらが反映され、自分が楽しんで、人に魅せるものです。

家族や親戚一同はもとより、ご近所さんや地域を代々大切に愛し、日常からコミュニケーションをコンスタントに深く持つ事。これが個の強さを育んでいます。だから「個」と言っても、1人じゃないんです。
 

【ブラジルのあまり良くない面】は・・・
サッカーに限らずですが、個人や個性を尊重するが故に、チームとして噛み合わないと、我々日本人の想像を絶する程に、全然機能しなくなってしまう事。組織だった事を構成/運営/展開するのに時間がかかること。例えば、今回のブラジル代表は個々人の選手は欧州やブラジルの各リーグで知られる実力者でも、代表チームとしての組織力に欠けていましたよね。歴史的にも噛み合った時は優勝し、噛み合ないと、ブラジル大会でドイツに大敗した様に、物凄く崩壊してしまうんです。
 


SAMBAの力で一丸となり横浜でW杯優勝を成し遂げた2002年のメンバーたちと


【逆に日本の良さ】は
やはり世界から見ても、とてもまじめで、几帳面。きちんとしている事。決められた事を遵守する良さ。調和や統制が取れ、組織的な纏まりを大事にする文化がある。目的をシェアして運営、実現し易いですよね。
 

【日本のあまり良くない面】は
まず個性や独自性が育ちにくい教育や社会性である事。「本音と建前」のズレがあったり、他人や上の目や意見を気にしすぎたり、「日本独特の同調圧力」があること。「決められた事」はやるが、「決められていない事」は自分のポジションや役割の責任以外の事はやらない/やりにくい社会性であること。だから「個人力」が弱かったり、肝心なところで「自主判断/自主展開」ができなかったりする。発想、手法、意思決定の柔軟性や自由度が低く、自ずと自主性や自己実現度も制限されている事など。

でも、「ブラジルとはまるで特性がまさに間逆な国」だからこそ、両国がその長所/短所を補い合える事が多いのです。だから、日本はブラジルに、ブラジルは日本に学べるのです。ブラジルは日本国外最大の日系社会もあり、親日国なので、日本の皆さんがサッカーや音楽など文化を通じてもっと繋がるととても良い事が沢山起きるはずです。
 

 

◆ 日本とブラジルのサッカーファンの違い

(コラム編集部)
サッカーファンにも違いがありますか?

(ケイタ氏)
これも単純にブラジルと比較は出来ませんが・・・日本社会全体において、サッカーへのプライオリティーやコミットメントがまだまだ高くないと言えると思います。
そしてまだ1番人気のスポーツでない事もあげられると思います。
そしてユース、中学・高校・大学・社会人・プロに至るまで、野球の方が業界と社会のシンクロと理解、政治的介入が強固で、一日の長が根強くありますね。
日本はブラジルをはじめ南米・欧州に比べ、まだまだサッカーの歴史が浅いので、仕方が無いかなと思います。
しかし、時間の問題である点と、そうでない点とがありますね。
サッカーへの社会日常的な求心力、認知度、個人・企業のコミット、地域の集約文化度がまだ低いですね。
ファンは増えているけど、まだまだ一部の熱心なサッカーファンに留まっている段階の途中かもしれません。
日産ありきのマリノス、トヨタありきのグランパス、マツダありきサンフレッチェ、三菱ありきのレッズ他、「JSL時代から、日本の大企業チームが母体」で、安定した経営基盤を持つ都会型のチームと、それがない他の地方チームとの格差も大きくあります。あくまで大企業的で商業ベースな経営・リーグ体質が日本のJリーグには根強く残っている点も特徴です。
母体スポンサー第一のクラブであるか、クラブ第一でのスポンサーであるのか。 
また、サッカーに限らず、日本の大衆はマスコミが煽らないと興味を持たなかったり、盛り上がらない層が未だに大多数ですよね。 ワールドカップでさえ、今回、日本代表が勝つまで全然盛り上がっていませんでしたよね。勝てば盛り上がるけれど、トーンダウンも物凄く早い、便乗型にわかファンがまだ多数派ですよね。「にわか」を否定する訳ではありません。誰でも最初はにわかです。でもそれが本当に社会文化になるレベルにまだ全体的には行っていないという状況ですね。

一方、ブラジル社会も21世紀のネット/スマホ時代に入り、特に米国の介入で他のスポーツが増え、以前に比べればサッカーへのコミットメントとプライオリティーが下がり、サッカー一辺倒では無くなって来ました。とは言え、やはり「圧倒的な1位」は今もこれからもサッカーです。日常社会で1年を通して常にサッカー熱が高く、生活や人生・人格の一部にさえなっています。
 

【何故そうなのか?】
「クラブへの参加・応援文化の歴史」にも大きな違いがあります。この事については様々な雑誌や書籍で長年具体的にご紹介してきましたが、ブラジルや南米各国ではサッカーチーム部門以前に、クラブ=共同体としての創立と伝統があるのです。これが日本のJリーグサッカーチームとの決定的な違いです。地域を集約するクラブ文化は生涯、代々、共有され受け継がれるものです。
 

◆今年で創立120周年を迎える世界的実績の名門C.R.Vasco da Gama

(ケイタ氏)
実例を実体験からあげたいと思います。
1990年イタリアW杯のブラジル代表として活躍し、1991年には南米代表としてキリンカップに来日、日本代表と戦ったC.R.Vasco da Gamaのキャプテン、ビスマルク選手との出会いが、彼がJリーグ開幕時に加入したヴェルディー川崎(現:東京ヴェルディー1969)の地元、家の近所でたまたまありました。
その後もヴェルディーにはヴァスコ出身の選手がラモーンやエヂムンドなどが来日加入して行きました。
それ以来、ヴァスコとのご縁を持っています。
1898年に創立されたリオデジャネイロ州のC.R.Vasco da Gama。
僕はその応援団での活動にはじまり、東日本大震災時の救援プロジェクトなど、
ヴァスコ公式の社会事業のスタッフ、公式サイトの日本語版翻訳、上級会員として20年以上に渡り様々な形で関わって来ました。

 


VASCO 公式サイトの公式番組VASCO TV にも出演。

 


東日本大震災発生時には即座に日本を応援するプロジェクトを南米でいち早く展開、公式戦では入場時に「がんばれ日本」のシャツで入場し、試合用ユニフォームにも日の丸を付け、日本救援をブラジル全国TV 放送他マスコミに訴えた。クラブの社会性と精神性、柔軟で迅速な実現力が有事にも見えた。

 

そこで味わって来た「クラブ文化の濃密さと豊かさ」には今も驚かされ続けています。
例えば、ヴァスコは昔リオがポルトガルの首都であった歴史背景を持ち、ポルトガル系民の重要な社会共同体である事が前提にあります。
そしてサッカーに限らず、様々な競技部門でブラジル代表育成・輩出の歴史があります。
本部スタヂアムの敷地内にはサッカーのスタヂアムだけでなく、他の競技のコート、施設、プール、レストラン、学校も教会もあります。
そんな中でのサッカー部門なのです。また、クラブの年間カレンダー上には社交会や音楽ライヴイベントまで多数あります。
応援歌も世界的なブラジルの音楽家たちが歴代制作し、そのCDや音源も海外、日本でも買える程です。
会員の寄付によって創建された伝統あるスタヂアムの会員席は「●●家の席」の様に家族でシェアされるもので、既に5世代に渡り同じ席に座っていたりするのにも驚きました。
 現バルセロナのブラジル代表選手、コウチーニョの事は1998年:当時6歳位から知っていますが、彼は今もヴァスコの一員なのです。ワールドカップ時も彼が多額の私財をヴァスコに寄付した事がニュースになっていましたね。

 


Fonte: VASCO.com.br ユースからVASCO の生え抜き、W杯でも活躍したコウチーニョ選手。欧州移籍後もVASCO を度々訪れ、貧しい少年少女やユースプログラムに多額の資金援助をしている。


Fonte NetVASCO.com.br

 

一方、プロ選手になれるのは一握りですが、生涯クラブと共に生きるのも大きな特性です。
たとえば最近、高齢の名物ヴァスコ応援家女性の事がメディアにとりあげられていて有名です。
彼女は少女時代から家族でヴァスコを応援しにスタヂアムに来ていて、その伝統を伝えるべく通い続けているだけのです。
これが豊かな社会文化/共有共同体としての、一時的な企業スポンサーに左右されない本質的なクラブ文化の姿なのです。

 


ブラジル国旗の左側にはポルトガル国旗も常に掲揚され、VASCO のエスターヂオ・サォン・ジャヌアーリオ正門


ブラジル杯2011 年優勝時のVASCO
 

話をヴァスコからブラジルのクラブチームとファンの事に戻します。

他の州のクラブチームも元々移民する前の各国母国コミュニティーや移民時期によって創立され、分かれています。少しだけご紹介すると、イタリア系移民の象徴的なクラブではサンパウロ州のパルメイラスやミナス・ジェライス州のアトレティコ・ミネイロ、ドイツ系民ならリオ・グランヂ・ド・スウ州のグレーミオ(フロンターレのオリジナルとなったユニフォーム)、 オランダ系民ならペルナンブーコ州のスポルチ・レシーフェと言った具合に。
なので、新大陸屈指の移民大国であるブラジルにおいて、クラブ文化というものは特に、移民やその共同体としての機能と誇りと歴史を象徴するものとして、2部、3部、4部リーグでも100年ほどの歴史を持っていたりするのです。だから、ブラジル広しと言えども、各地の街中では愛するクラブチームのユニフォームを着ている人を365日、沢山見つける事が出来ます。

 


VASCO の名物応援団

 

社会性と歴史性の違いですよね。対する日本は日常を楽しむオプションが多過ぎで、国民のコミットメントとプライオリティーが細分化し過ぎています。
サッカーを社会の代名詞的文化として、市民の大多数が興味と誇り持つ感じでは無いですよね。

この様に、サッカーへの社会、国民、地域、企業、国レベルの関わり方の歴史と成熟度が日本はブラジルや他の強豪国に比べるとまだ低く、
「社会全体がサッカーへと集中・集約・集積していくパラダイム」にあまりなっていないと言えるかもしれません。
ブラジルや他の強豪国では、もはやサッカーとクラブの存在が100年レベルで地域社会や市民の顔となり、
市民文化・機能の一部として歴史的に確立しています。
ここが決定的に日本と違いますね。「クラシコ」という言葉がありますが、
それを言う南米・欧州のクラブチームには「100年を越える歴史と成熟した市民文化があってこそ」使われる言葉なのです。
 

◆ Jリーグをもっと盛り上げよう!

承前・・・とは言え、とても熱心に地域事業を展開しつづける川崎フロンターレが良い例であるように、
Jリーグ各チームは1993年のJリーグ開幕時以来、地域に根ざした社会事業を沢山やっていて、熱心に長年活動されているファンは増加し、Jリーグ開幕前とは比べ物にならない程の結果とドラマ、人間関係、サッカーへの理解と関心と愛着を育んで来ました。
なので、「日本社会全体」的には今はまだ道半ばなだけで、日々進化していると思います。
これが「地域と国をあげた文化・伝統のレベル」にまで行くにはまだ少し、必要な事と時間が必要なのかもしれません。Jリーグ、選手、スタッフ、サポーターまで、クラブチームの社会的地位と人気をより高め、皆で生涯応援出来る、楽しめる、参加出来るものとし、日常から愛し続ける事が大切ですね。
 サッカーは世界で最もポピュラーなスポーツ。
ボール一つあれば、言葉が通じなくても、上手にプレー出来なかったとしても、通じ合える「大きなコミュニケーション文化」である事も、ブラジルをはじめ世界各地で実体験してきました。
そういう意味でもサッカーは世界的で偉大なスポーツ文化なのだと思います。
サッカーを通じて、世界各国の個性、文化、歴史、国際的な世間を知って行く事は、世界各地との自主的な相互理解や生涯の友情を育む上でも、とても有効だと思います。

 

第二回へ続く

◆ KTa☆brasil(ケイタ☆ブラジル)さん 詳細プロフィール 
東京うまれ、神奈川育ち。Newsweek誌が「世界が尊敬する日本人100」に、UNIQLO初の世界同時展開広告「FROM TOKYO TO THE WORLD」に選出。パリコレ〜F1GP〜W杯〜本場リオのカルナヴァルまで、世界各地で活躍するミュージシャン、DJ、サッカー関係者、打楽器指導者。ブラジル代表ユニフォームのマークでおなじみの“CBF”=ブラジルサッカー連盟による公式番組“CBF TV”が、“外国人でありながら“80年代前半以来、ブラジルの歴代サッカー選手やクラブチーム、サッカー界と長く深く関わる人生”を番組特集した(現在唯一の日本人)。今年も南米リベルタドーレス杯番組や、CBFブラジル杯公式プロジェクトに招集されている。ブラジルとのご縁は幼少より約35年。10代より両国を往復し続ける活動は2018年で22年目。ブラジル政府各省/リオ市観光局事業公式実績者。サンバ応援の本場:リオの名門クラブチームC.R.Vasco da Gamaの名物応援団サンバ打楽器隊員を経て、スタヂアム殿堂刻名の現上級会員。同クラブの様々な公式プロジェクトに招集され、東日本大震災発生時には南米で一番早く企画・実行された救援プロジェクトの一員でもある。現ブラジル代表/バルセロナのコウチーニョをはじめ、多くの選手をユース時代より現地で見守り続けている。ブラジルと関連性の高いポルトガル、スペインとの縁も深い。
 日本でもTV/FM/新聞/雑誌/WEBなどのメディアではサッカーや音楽を中心にブラジルや欧米ラテン諸国のプレゼンターとして活躍。TBSスーパーサッカー、スポナビ、NIKE FOOTBALL、SONY FOOTBALL、JTB、excite公式ブログ・・・様々な現場とメディアでレポーター、MC、コラム寄稿を歴任。Jリーグ、Fリーグの選手や関係者との関わりも深い。リオ五輪では日本政府のパビリオンJAPAN HOUSEでの音楽イベントを11本プロデユース。命名した共著書「リオデジャネイロという生き方」(双葉社)他、寄稿も数多い。


●リオデジャネイロという生き方(双葉社)
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC-KTa%E2%98%86brasil-%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%AB/s?ie=UTF8&page=1&rh=n%3A465392%2Cp_27%3AKTa%E2%98%86brasil%20%28%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%96%E3

 

●夏びらきフェス  http://www.natsu-biraki.com/artist_ktabrasil/
●Newsweek寄稿コラム  https://www.newsweekjapan.jp/writer/ktabrasil/
●excite公式ブログ  https://blog.excite.co.jp/ktabrasil/
●FLY Basket Culture Magazine  https://flymag.jp/feature/2017072571710/
●クーリエ・ジャポン対談  https://courrier.jp/news/archives/57132/
●ブラジル代表サッカー連盟公式CBF TVインタビュー  https://youtube.com/watch?v=jOzUqWFQESA&time_con
● 毎日新聞  https://mainichi.jp/articles/20180210/dde/041/070/032000c